軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

白神祭⑧

ワイワイと賑やかに、それぞれ思い思いに会話をしながら進んでいく。

「……なんというか、まぁ、流石にこれ以上増えることは無くて安心しましたね」

「ははは、コレだけ広い会場でそうそう知り合いと巡り合うことなどないさ。それこそいったいどんな確率だという話だね」

「……いや、フォルスさんはその少ない確率で遭遇した方ですけどね」

「それを言われてしまうと困ってしまうね。しかし、地図を見る限り中層はもう間もなくだが、私はどうすればいいのやら……トーレくんと違って、私は中層に行ってもラグナが居るわけではないしね。さすがに、国王たちが集まっている場所に行くのもごめんだし、皆にこのままついていくのも迷惑だろうが、ひとりでは絶対迷ってしまうので困ったものだね」

「……いや、まぁ、それ以上に……フォルスさん、地図読めたんですか?」

地図を見ながら呟いたフォルスさんの言葉に、つい頭に浮かんだ疑問をそのまま聞き返してしまった。

「おいおい、さすがにそれは馬鹿にし過ぎだよ。私も地図ぐらい読めるさ」

「……じゃあ、なんであんなに迷子になるんですか?」

「むしろ答えを教えて欲しいのは私の方でね……やはり私個人が方向音痴というだけではなく、なんらかの外的要因が関わっているのではないだろうか? 例えば呪いとか……呪いを私に悟られることなくかけることができるほどの実力者が、私を道に迷わすことにどういった利点を見出せるのかは謎だがね」

フォルスさんは数百メートルの直線で迷うという、ちょっとレベルが違う方向音痴……いや、直線で迷うって方向音痴って言っていいのか? フォルスさんの言う通り、もうのろいとか言ったほうがいい気がする。

ともかくそんな方向音痴のフォルスさんだが、地図は普通に読めるらしい……本当に何故迷う?

なんとも言えない馬鹿馬鹿しい疑問にフォルスさんと一緒に首を傾げていると、不意に聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「快人さんたちと……トーレ様にフォルス? なんと言うか不思議な組み合わせですね。というか、例によってチェント様とシエン様が居ないですし……」

「おや? これはヒカ――ノインじゃないか、こんなところで奇遇だね。それに隣にいるのは……」

「え? このちみっこいのがフォルス? なんで? ボクが知らないだけで、ハイエルフって成長すると縮むの?」

「おいおい、なんてことだ。正直心の底から驚いたよ……まさか、こんなところで千年ぶりの再会をすることになるとは……というか、君、生きていたんだね、ハプティ」

そう、遭遇したのはノインさんとハプティさんのコンビだった。以前に会った時にハミングバードを登録し合ってたみたいだったので、それで連絡を取って一緒に来たのだろうが驚いた。

俺以上にフォルスさんは驚いているみたいで、口調こそいつものような感じだが、表情は驚愕一色に染まっている。

そんなフォルスさんに対して、ノインさんとハプティさんは軽く事情を説明し、フォルスさんはハプティさんが生きていたことに驚きつつも、なんだかんだで再会を喜ぶような表情を浮かべる。

「なるほどね……いや、奇妙な偶然とはあるものだ。ふたりがここに来ていたというのにも驚いた。いや、コレだけの規模の祭りだし、居ても不思議ではないが、やはりふたり連れだって歩いているのを見た時の驚きはなんとも筆舌に尽くしがたいよ」

「いや、ボクとしては引きこもりのフォルスがここにいることの方に驚いたんだけど、しばらく会わない間にアウトドア派にチェンジしたの?」

「舐めないでくれ、私は今でも根っからのインドア派さ……ラグナに連れてこられたんだが、ラグナは私を放って仕事に行ってしまってね。ひとり文字通り路頭に迷っていたところを、ミヤマカイトくんに拾ってもらったというわけだ。だが、結果だけ見ればよかったと言っていいかもしれないね。こうして旧友に再会できたのだから、偶然に感謝しなければいけないだろう。そういう意味で言えば、拾ってくれたミヤマカイトくんにも感謝だね。いや、もちろん迷子になっていたところを助けてもらったことにはもともと感謝をしていたのだが……」

「うわ~相変わらずくっそ面倒な喋り方だね。引きこもりこじらせるとこうなるのかな?」

「……君も相変わらずまったく容赦がないね」

フォルスさんの長い台詞をバッサリ切って捨てるハプティさんに、フォルスさんは苦笑を浮かべる。

するとそのタイミングで、ノインさんが俺に話しかけてきた。

「事情は分かりました。それでしたら、フォルスは私たちと一緒に来ませんか? 後でラグナのところにも顔を出す予定でしたし、丁度いいかと」

「ああ、それは素晴らしい案だね。というわけで、ミヤマカイトくん、それに他の皆もありがとう。本当に助かったよ。このお礼はまた改めてさせてもらうことにするつもりだ」

「いえいえ、気にしないでください」

中層に付いたらどうしようかと考えていたフォルスさんにとって、ノインさんの誘いはまさに渡りに船といった感じだろう。

それはいいのだが……もうすでに、中層に辿り着くまでに五人の知り合いと遭遇してるんだけど、本当にいったいどんな確率だ?