軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

三人で縁日へ③

ある程度雑談をしたあとは、いよいよ話の本題に入る。最初アリスから聞いた話だと、三人で遊びたいとのことだったが、先ほどのマキナさんの発言では祭りという単語が出てきていた。

つまりは、祭りで遊ぶということだろうか? いや、でも白神祭はまだ先だし、そもそもこの空間に呼ぶということは、トリニィアである祭りに参加するとかそういう話ではなさそうだ。

「……マキナさん、祭りって、どうするんですか?」

「ふふふ、心配しなくても大丈夫だよ! ちゃんと準備してるから……よっと」

自信満々といった感じの笑みを浮かべながら、マキナさんが掌をスライドさせると、景色が滑るように切り替わった。

空は夜に代わっていて、足元も真っ白の空間から情緒あふれる石畳に代わっており、どこからともなく祭囃子も聞こえてくる。

出店の明かりに照らされる道と、かなり遠方に神社っぽい建物が見えるってことは……縁日をイメージした感じだろうか?

「これはまた……というか、なんか微妙に見覚えのある感じですね」

「うん、昔アリスと一緒に行った縁日を参考にしたからね。といっても、かなり広くしてるし、出店の数も増やしてるけどね」

「へぇ……確かに懐かしさというか、古き良き縁日って感じですね」

たしかにこれぞ縁日って感じであり、なんというか少し楽しそうな雰囲気だ。まぁ、人が全然いない貸し切り状態ではあるが、そういうのも楽しそう……って、あれ?

「……マキナさん、これ出店の店員とかは?」

「うん? ああ、 楽園(エデン) にやらせてるよ」

「なんすかそれ、ほぼホラーみたいなもんじゃないですか……」

呆れたようにツッコムアリスの言葉を聞きつつ、近くにあった屋台を覗いてみると……翼の付いたリングを外して半被を着たエデンさんがいた。

他の屋台も見てみると、そちらにもエデンさんがいる……どの屋台にもエデンさんがいる……なにこれ、怖い。要はアリスの分体みたいな感じだろうか? よく見ると目の色が虹色じゃなくて、灰色になっているので若干普段のエデンさんとは違うのかもしれない。

「まぁ、そんなわけでここで三人で遊ぼう! ってことで、えいっ」

「「ッ!?」」

明るい笑顔のマキナさんの掛け声と共に、俺とアリス、そしてマキナさんの服が浴衣に代わった。ご丁寧に靴も草履っぽいものに代わっている。

なんというか、結構ムード出てきたというか……少しワクワクしてきたかもしれない。

「……大変だよこれ、愛しい我が子の浴衣姿の可愛さったらないよ。どこもかしこもペロペロポイントが高すぎる。こ、これは冷静でいられないかも……いや! こんな可愛い我が子を前にして冷静でいる方が問題だよ!! だから今こそ解き放――へぶっ!?」

なんかヤバ目なスイッチが入りかけていたマキナさんだったが、直後にその顔にアリスの裏拳が叩き込まれた。

大きく吹き飛んでいくマキナさんを見ることもなく、アリスは呆れたような声で呟く。

「……はぁ、しょっぱなから先が思いやられますね。まぁ、ここだと本体に攻撃できる分、ある程度マシですが……」

「……あのね、アリス。止めてくれるのは、正直ありがたいんだけど……躊躇なく顔面に裏拳を叩き込むのはどうなのかな? もうちょっとこう、手心というか……」

吹っ飛んだかと思ったらいつの間にか戻ってきていたマキナさんがアリスに苦情を入れるが、アリスは呆れた表情を浮かべたままそれを無視して、俺の方を向いて口を開く。

「……まぁ、不安はあるでしょうけど、安心してください。とりあえずマキナが暴走しかけたら、私が止めるので」

「う、うん、よろしく頼む。あと、アリス……浴衣に合ってるよ」

「あ、ありがとうございます」

アリスは黒色の浴衣を着ており、金色の髪が映えていてかなり可愛らしい。

「我が子! 私は? 私は?」

「マキナさんもよく似合ってますよ」

「えへへ、嬉しいなぁ。我が子もカッコいいよ!」

マキナさんは白地の浴衣を着ており、こちらもまた可愛らしい……うん、間違いなく美少女であるとは思う。なんというか、暴走癖さえなければなぁ……。

ともかく、準備は整った感じだし、これからのんびり縁日を楽しむ感じかな?

「……しかし、本当にたくさんの屋台がありますね」

「うん。定番のものからちょっとマイナーなものまでいろいろ用意したよ。例えば定番だと輪投げとか……」

「WANAGEはちょっと、俺の身体能力では厳しいかもしれませんね」

さすがにあの超次元バトルスポーツは、いくら人気とはいえ勘弁してもらいたいところだ。見る分にはいいんだけど、やるとなると……。

「……我が子、大丈夫? いま想像してる輪投げは、異世界のやつだよ?」

「……あっ……そういえば、そうでした」

そうだった。本来輪投げはそういうものじゃない……WANAGEのインパクトがでかすぎて、ついそっちに毒されてしまっていた。

いかんいかん、あの変な超次元スポーツに思考が染まってしまうのは、メイド=超人を受け入れるぐらい危険なので、洗脳されてしまわないように気を付けよう。

しかしまさか、マキナさんが常識人のように見える日が来るとは……失礼かもしれないが、まったく予想していなかった。