作品タイトル不明
天空を舞う花③
エリアルさんと目的の場所に向けて歩いていると、結構町行く人たちの視線を感じた。まぁ、その理由は分かりやすいというか、エリアルさんを見れば明らかである。
エリアルさんは整った顔立ちで見た目は完全にクール系の美女で目を引く美しさがあるが、それ以上に服装だ。明るめのオレンジと金色の間ぐらいの色合いのビキニっぽい服の上に、シースルーの布を重ねている……イメージではあるがアラブとかの踊り子が着ていそうな服装で、ハッキリ言って色っぽい。
その上、踊りを煌びやかに見せるためなのか装飾品も多く付けており、ただ歩いているだけでもかなり注目を集めるのは必然といえた。
なんというか、注目されるというのはダンサー? としては正しいのかもしれないが、どうも多くの人たちに注目されているという状況は気恥ずかしい。いや、別に俺が注目されているわけでは無いんだけど……それでも、隣を歩いているといやがおうにもこちらにも視線が向くのである。
まぁ、当のエリアルさんはまったく気にした様子はないが……。
「……と、ところでエリアルさん。これから行く店って、どんな店なんですか?」
なんとなく気分を変えたい、というか他のことに集中したくてエリアルさんに話を振る。エリアルさんから受け取った地図には場所が書かれているだけで店名は無く、どのような店なのか不明である。
わざわざ指定して買い物を頼まれるということは、なにかしらそこでしか買えないものがあるのではないかと思う。
「花屋……つまりは、園芸よりの店でいろいろな種なんかがたくさん置いてある店らしいよ。友達の趣味……つまりは、『ティルタニア』っていう私の友達の趣味。目的は野菜……つまりは、ただし頼まれたのは花の種じゃなくて野菜の種だけどね」
「……ティルタニア……えっと、もしかしてですけど、その方ってティルとかって愛称で呼ばれてたりしませんか?」
「肯定……つまりは、その通り。私もそう呼んでる……つまりは、私も普段はティルって愛称で呼んでる。疑問がひとつ……つまりは、愛称を知ってるってことはカイトはティルと顔見知り?」
「いえ、会ったことは無いです。ただ、よくラズさんから聞く名前だったので、自然と覚えてました」
ティルタニアさん……ティルさんに関しては、直接会ったことは無いものの心当たりはある。ラズさんがよく口にしている名前で、妖精の友達らしい。
ラズさん曰く『一番仲良しの友達』とのことで、服もお揃いのものを着ていたりといろんな話を聞いた。
「楽器の演奏がとても得意な妖精だとか、そんな話を聞いたことがありますね」
「肯定……つまりは、ティルはたしかに楽器がとても上手、なんでも演奏できる。明るく元気な子……つまりは、性格もとてもいい子だから、会う機会があればすぐ仲良くなれると思う」
「いつか会ってみたいですね。っと、話を戻しますが、そのティルさんが野菜の種を育てるんですか?」
「再び肯定……つまりは、その通り。勧められたらしい……つまりは、ラズリアが新しく畑に加えた野菜らしく、ティルにオススメしてきたみたい。地域限定……つまりは、最近シンフォニア王国で見つかった新種で、王都にしか売ってないらしいよ」
「へぇ、新種の野菜ですか……いったいどんな野菜なんでしょう」
中々新種の野菜なんてものを見つけるのは難しいと思う。品種改良とかなら分かるんだけど、わざわざ新種って言うことは既存の野菜には存在しないものってことだろう。
なんらかの突然変異とか、そんな感じだろうか……。
「観光地で発見……つまりは、最近シンフォニア王都の名所に加わった『天空城で発見』されたらしい」
「……うん?」
「特殊な効果……つまりは、なんでも少しだけ魔力を纏っていて、少し疲労を軽減してくれるらしい。大人気らしい……つまりは、治癒ってほど高い効果じゃないみたいだけど、品薄になるぐらい人気なんだって」
「へ、へぇ……そそ、そうなんですか……不思議な野菜ですね」
天空城? ってアレだよね? 俺の誕生日会したところだよね? ……アレ? おかしいな、あそこにあったとんでも効果の果実だとか泉だとかは、終わったあとに撤去してくれたんじゃ……。
(効果を調整したものを再配置しました。城はリリア・アルベルトに贈ったので、多少は利益が出るものがあった方がいいだろうと……サービスしました)
それ、ちゃんとリリアさんは知ってるんですよね?
(はい。城を観光地にする際の事前調査で見つけ、リリアに報告は入っています。なぜか気絶していました、不思議です)
リリアさん……なんて不憫な。しかし、なるほど、これで合点が言った。確かにシロさんが作った野菜であるなら、新種であったとしても不思議ではない。
そして最近になって流通したというのは、おそらくリリアさんに話が行ってから、どういう扱いにするかをライズさんとかと相談していたのだろう。
それで栽培の目途も立って最近流通させ始めたと、そんな感じかもしれない。確かに儲けは凄そうではあるが……それ以上にリリアさんの胃が心配である。
いや、まぁ、元を辿れば俺に行きついてしまうのがなんとも言えないのだが……。