軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

海水浴後編③

全員で遊ぶビーチバレーの二対二での対戦。ここでもクロが皆をまとめてくれて、対戦のルールについても説明していく。

内容を要約すると……今回はあくまで遊びが目的なので、ガチの対戦ではなく5本先取で行う。ペアに関しては午前中のペアをそのまま採用し、俺に関しては試合ごとに対戦相手以外の誰かが加わる形になる。

リリアさん、ジークさん、アニマに対し、クロ、シロさん、アイシスさん、アリス、フェイトさんが攻撃を行う際には、ちゃんと手加減をすること、またそれ以外でもビーチが壊れるような力は出さず、あくまで楽しむことをメインにする。

『過去の改変』『現実の上書き』『未来の確定』などの行為は行おうとした時点で即失格、それ以外にも変なことはしないと……まぁ、これが基本のルールである。

「さて、次にカイトくんに関してだけど、どうしても身体能力って面だとカイトくんが不利になっちゃうからね。カイトくんと対戦する場合に関しては、特別ルールを追加するね。カイトくんと対戦をする場合は、全員基本的にカイトくんの身体能力に合わせること……まぁ、そこまで厳密にってわけじゃないけど、カイトくんがまったく反応できないような攻撃は禁止って感じだね」

どうやら懸念していた俺と他の面々の身体能力の圧倒的差については、俺が対戦を行う際にハンデを設ける形になるみたいで一安心だ。

まぁ、今回は遊びがメインだから割と全体的に緩めではあるが、だからこそあまり危険なことや周辺の被害が凄まじい事態にはならないという安心感がもあるので、俺もしっかりと楽しめそうだ。

「とまぁ、大雑把にはこんな感じかな。実際にやってみたあとで細かくルールを追加してもいいしね。さて、それじゃあ質問とか……って、シロ? ちゃんと聞いてる?」

クロの声を聞いて視線を動かすと、シロさんがなぜか俺たちに背を向けていて、クロの声を聞いて振り返るのが目に入った。

「……ええ、ちゃんと聞いています。おおむねクロの語った内容で問題はないと思いますが……一点だけ、提案があります」

「提案?」

あれ? なんだろう? いまほんの一瞬だけど、なんかシロさんが疲れたような表情を浮かべた気がしたが……さすがに見間違いかな? ここまでの流れにシロさんが疲れるような要素はないし、いまは普段通りの感じだ。

「はい。快人さんのペアに関してですが、その都度決めるのでは揉める可能性もありますので、この場でペアを決めてしまいましょう」

「……言いたいことは分かるけど、ボクたち奇数だよ?」

「ええ、なので提案です……この形で、いかがでしょうか?」

シロさんがそう告げた直後、なぜかどこからともなく疾走感のあるBGMが聞こえてきた。なにこれ? なんのBGM?

そんな疑問を抱いた直後、俺の目の前に人……らしきなにかが姿を現した。らしきと言ったのは、その人物はなぜか全身が眩しくない不思議な光に包まれており、形が人型であるということ以外なにも分からなかった。

突然の事態に混乱していると、その人影がパンチを打つように右腕を前に出すと、そこに光が収束し……手が現れた。『肉球付き』で『大きな布の手』が……。

続けて左腕も同じように突き出し、その次に流れるような動きで上段蹴りを放つと、こんどは光の中から足が現れ、両手と両足が揃うと一際眩しく光ったあとで、胴体も現れた。

そしてその人影は、布で出来た両腕……着ぐるみの腕を頭らしき場所の前で交差させ、一呼吸溜めてから力強く腕を開く。現れたのは赤錆の付いた鉄板で補強されたような、どこか生物と機会が融合しているように見える不気味な猫の顔だった。

そのあたりでBGMがサビらしき激し目の音を奏で、着ぐるみの背に巨大なゼンマイが出現……残った僅かな最後に光が尾を引くように動き、深紅のマフラーとなって猫の首に巻かれると、ビシッと効果音でも聞こえそうなポーズが決まりBGMが止まった。

ツギハギだらけと言える体に、背中の大きなゼンマイ……イメージはゼンマイ人形だろうか? ともかく、どこかレトロで機械チックな猫の着ぐるみが出現した。

……さて、そろそろ突っ込みいいかな? アリスじゃねぇか!? なに変身バンクみたいな登場してんだよ!! ここまで真面目にやってた反動がきたのか?

「……快人さんのペアです」

「シャルティアじゃん……」

クロも俺と同じ感想を抱いたみたいで、どこか呆れたような表情でツッコミを入れていた。しかし、俺も呆れつつも……これは意外と悪くない手かとも思っていた。

分体が得意なアリスが、俺のペアを兼任するというのは実際いいアイディアである。アリスはテクニックもあって心強いし、たぶんうまく合わせてくれるので連携も問題ない。俺としても安心感がある。

他の皆も同じことを考えたのか、少し話し合ったあとで、シロさんの提案が採用され俺のペアはアリス(着ぐるみ)が務めることになった。

ただひとり……なぜか当のアリスが、なんとも言えない微妙な表情を浮かべていた。