軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

一筋縄ではいきそうにない

先に風呂場に入り、軽く体にお湯をかけてから湯に浸かりリリウッドさんを待つ。

……なんで『昨日と景色が変わってる』んだろう? どういう仕組みになってるんだここ?

眩しいほどに青々として葉の木が立ち並び、まるで森の真ん中で温泉に入っているような雰囲気だった。清涼感があってこういうのもいいな。

『すみません、お待たせしました』

「あ、いえ……は?」

そんなことを考えていると、穏やかなリリウッドさんの声が聞こえてきて、反射的に顔を動かし……硬直した。

「なっ、なっ、なぁ……」

『どうしました? カイトさん?』

現れたリリウッドさんは、普段はポンチョに似た民族衣装で隠れている白い肌が惜しげもなく晒し出され、まるで淡く輝いているようにさえ見えた。

そして、なにより目を引くのがまるでメロンのように巨大で、圧倒的な存在感を誇る双丘……そしてその頂点にある形のいい突起が……。

「なんで『全裸』なんですかぁぁぁ!?」

『え? 入浴は、なにも身につけずに行うものでは?』

「タオルとか巻いてください!!」

『は、はぁ……しかし、私は木ですし……』

「木とかいまはどうでもいいから、早くタオル巻いてください!!」

『あ、は、はい!?』

叫びながら大慌てでリリウッドさんから視線を逸らす。か、完全に油断してた……アッサリ混浴を了承した時から違和感はあったけど、リリウッドさん……羞恥心が全然ない!?

というか、本人はあくまで自分は木であるってスタンスだから、俺が裸を見て欲情するとか欠片も考えていない感じだ。

ま、まさか、一番安全だと思っていたリリウッドさんが、一番ノーガードだったなんて……出会い頭にコークスクリュー喰らった気分だ。

特にあの凄まじい破壊力の体が、脳裏に完全に焼き付いてしまって、か、かなりヤバい。

『では、私も入浴を……確か『タオルは浸けないのがマナー』でしたね?』

「いえ、駄目です!」

『え?』

「今日の温泉は、濁り湯じゃないので、絶対に駄目です」

『え、えっと……』

「タオルを巻いたまま入ってください。お願いします。本当にお願いします!」

『わ、分かりました……』

この際温泉に入るマナーとかそういうのはどうでもいい。リリウッドさんの、あの凄まじい体を見続けたら、俺の理性なんで粉々に粉砕されてしまう。

リリウッドさんは俺の剣幕に戸惑いつつも頷き、タオルを巻いたまま湯に浸かる。

『はぁ……気持ちがいいです。たまには、温かい湯に浸かるのもいいものですね?』

「え、えっと、普段は湯に浸かったりはしないんですか?」

『基本的に水風呂に入ります。食事も兼ねていますので……』

木の精霊であるリリウッドさんは基本的に食事はせず、水を飲むだけらしい。

できるだけリリウッドさんの方に視線を向けないように気をつけつつ、会話を続けて気を紛らわそうとする。

『しかし、ふふふ……こうして誰かと一緒に入浴するのは久しぶりです。数度、アイシス達と一緒に入ったぐらいですからね』

「そうなんですか……いまさらですけど、俺と一緒に入って良かったんですか?」

『ええ、カイトさんとこうして親睦を深めることができて、私は嬉しいですよ』

「……」

他意はない。他意はない。他意はない……落ち着け、変な妄想をするな。

『むしろカイトさんの方こそ、良かったんですか? 私のような木では、せいぜい景色の足しぐらいにしかならないでしょう?』

「い、いえ、むしろ、リリウッドさん……全然木って感じはしないです。普通の女性みたいです」

『そうですか? でも、ほら、私の髪は葉ですよ?』

「……それぐらいじゃないですか」

確かにリリウッドさんの髪は緑の葉っぱが幾重にも折り重なったものだが、正直木っぽさなんてソコぐらいしかない。

あとはほぼ人間の女性……これで木と思えなんて言われる方が無理ってものだ。

『いえ、他にも……ほら』

「なぁっ!? な、なにしてるんですか!?」

『へ? いえ、ですから、私の『足先は根』で……』

「足を広げないでください!? 見えちゃいますから!!」

『見える? ああ『陰部』ですか? 確かに少々はしたないかもしれませんね。失礼しました』

「口に出さないでください!? あとそういう問題じゃないですから!?」

ちょ、ちょっと、本当に予想外にノーガード過ぎるんだけどこの人!? 自分が美女だって自覚ないの!? そして俺が男だということを、本当に分かってるんだろうか?

『……は、はぁ……しかし、木である私の肢体を見たところで、カイトさんが性的に興奮するわけでは……』

「します! するんです!?」

『……へ? そ、そうなんですか? し、しかし、私は……』

「リリウッドさんが自分のことをどう思っていようと、俺にとってリリウッドさんは綺麗な女性なんです!」

『……』

顔が沸騰しそうなほどに熱いのを実感しつつ叫ぶと、リリウッドさんは俺の顔を見てキョトンとした表情を浮かべる。

『……そ、そうですか……変わった方ですね』

いや、絶対俺の反応の方が正常だ。だってリリウッドさん、アイシスさんとかにしか裸を見せたことが無いんでしょ? リリウッドさんが知らないだけで、絶対他の男だって俺と同じ反応するよ……。

どうやら、本当にリリウッドさんは自分の体を見て俺が興奮するというのが意外だったみたいで、目を大きく開けたまま俺を見つめてきた。

そしてしばしの沈黙の後、まるで花が咲くように美しい笑顔にかわる。

『……本当に変わった方です。ですが、そのようなことを言われて……理由は分かりませんが『嬉しいと感じている』私も……変わり者なのかもしれませんね』

「……え、え~と」

『失礼しました。カイトさんの前では、ちゃんと女性として振舞うように、気をつけることにします』

「あ、は、はい。よろしくお願いします」

『ええ、ふふふ……』

そう告げてリリウッドさんは姿勢を正した後、上品な微笑みを浮かべて俺を見つめてきた。

拝啓、母さん、父さん――なんだろう? さっきまでの会話のせいか……変にドキドキする。こ、これは、俺の見通しが甘かった……リリウッドさんとの混浴も――一筋縄ではいきそうにない。