軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

薔薇姫の来訪②

フェイトさんから届いたハミングバードの内容を確認して、スケジュール帳にメモをする。旅行の件はフェイトさんもかなり乗り気で、現在は日程の調整を行っているところだ。

フェイトさんから送られてきた都合のいい日にちと、俺の予定が空いてる日を照らし合わせると……う~ん、神界自体が忙しくなる新年は避けたいので、年末あたりで計画しよう。

いまは天の月の14日目なので、10日後の24日目あたりが俺もフェイトさんも都合がよさそうだ。ただ、今年中にと思うと結構急になってしまうので、クリスさんに伺いを立ててからフェイトさんに連絡しよう。

そしてクリスさんにハミングバードで連絡をすると問題ないとのことだったので、改めて手紙を書いて送っておくことにしよう。ハミングバードは便利なんだけど、過去の文を保存したりという機能は無いので正式なやり取りはやはり手紙になる。

皇帝であるクリスさんへの手紙は作法とかがかなり難しく、イルネスさんに代筆を頼む必要があるので、あとでお願いしよう。

さて、これで今日は『これ以上なにも予定はない』な……まだ昼の2時ぐらいだし、本屋にでも行こうかな。もうちょっと観光系の雑誌も欲しいと思っていたし丁度いい。

そんなことを考えつつ軽く身支度をして部屋の外に出ると、こちらに向かって飛んでくるネピュラの姿が見えた。

「主様~」

「うん?」

「来客です。明るい金髪の精霊と思わしき女性で、薔薇の飾りがついたドレスを着ています。かなり人見知りをする性格の方です……心当たりはありますか?」

「それって、ロズミエルさん? え? いま来てるの?」

「はい! 庭に興味があるようでしたので、現在は庭を見学しつつお待ちいただいています」

ネピュラが口にした特徴は、間違いなくロズミエルさんのものだが……『なんでロズミエルんさんが来てるんだろう?』

あれ? もしかして、俺勘違いしてた? と、とりあえず待たせてもいけないから庭に向かおう。

「ありがとう、ネピュラ。それと、悪いんだけど、イルネスさんに紅茶を用意してもらえるように頼んでくれるかな?」

「はい! 庭のテラス席にお持ちする形で大丈夫ですか?」

「うん、そうしてくれると助かる」

「了解です。妾にお任せください!!」

「ありがとう、よろしくね」

ネピュラの頭を軽く一撫でしてから、俺は早足で庭を目指して歩き始める。そして同時にマジックボックスから愛用しているスケジュール帳を取り出して確認する。

う、う~ん……やっぱりスケジュール帳には俺の思った通りの記載があるけど、書く時点で俺が間違えたという可能性もある。

「……アリス、ちょっと確認したいんだけど……」

「……『明日でしたよ』」

歩きながらアリスに呼びかけると、アリスは俺が聞きたいことを察してすぐに返答をくれた。

「ロズミエルさんから届いたハミングバードに記されていた日程は、天の月15日目の14時……明日っすね」

「だよな! よかった、俺の勘違いじゃなかったのか……」

「ロズミエルさんの方が緊張して間違えた可能性が高いですね。このタイミングで別件で訪れたとは考え辛いですし……」

アリスの言葉にとりあえずはホッとする。そう、ロズミエルさんが来る予定はあった。白神祭で永久の花を譲ったお礼に訪れるとそう言う話は聞いていたし、ハミングバードでやり取りもしていた。

しかし、それは明日の話だ。ロズミエルさんは極度の人見知りなのでリリアさんの屋敷の門番とかに声をかけるのは無理だろうから、早めに庭に出ておいて出迎えるつもりだったのだが……まさか一日早く来るとは予想すらしていなかった。

むしろよく、ネピュラはロズミエルさんを来客と認識できたものだ。まず会話はできてないと思うんだけど……まぁ、ネピュラは凄く優秀なのでなんか上手いこと意思疎通をしたのだろう。

そうこう考えているうちに、庭に辿り着くと、花壇を見ているロズミエルさんの姿がすぐに目に留まった。

「ロズミエルさん、すみません。お待たせしてしまいましたか?」

「……あっ、カイトくん……う、ううん、大丈夫だよ。きゅ、急にごめんね」

声をかけると、ロズミエルさんは非常に小さい……本当に耳を寄せないと聞き取れないほどの声で告げる。

とりあえず可能性は低いが別件で訪ねてきた可能性もゼロではないが……どうだろう?

「え、えっと、連絡した通り、この前のお礼にきたんだ」

「……」

やっぱり予想通り日付を勘違いしていたようだ。

う~んけど……わざわざ指摘する意味もないような? 今回の話は他の人が関わるわけでもなく、あくまで俺とロズミエルさんの個人的な約束だ。

幸い今日はもうなんの予定もないので問題ないし、わざわざ指摘してロズミエルさんに恥をかかせる必要もないだろう。

「すみません、ちょっと手紙を書いてて、来るのが遅くなってしまいました」

「う、ううん。気にしないで、素敵な庭を見れて……楽しかったよ」

「それならよかったです。あっ、立ち話もなんですし、こちらにテラス席があるのでどうぞ」

そう言って微笑みながら、ロズミエルさんを庭が見えるテラス席に案内した。