軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

記念SS 恋の予言が告げる日だまり

これは、もしや、あの時視た光景なのだろうか。

ラディルは、離れた場所から気配を消してその光景を眺めていた。

エレナが笑っている。そして、その周囲の人たちもみんな。

ほんの少しの疎外感、その後、背後からの視線を感じてラディルは振り返る。

そこには、無理矢理連れてこられたようにしか見えないローグウェイの困り顔と、満面の笑みを浮かべたジャンがいた。

「――――どうやって、見つけたんですか。完璧に気配を消した予言師を見つけるなんて」

「……簡単ですよ! 予言師殿は、いつもエレナ殿が絶対に気がつかない場所にいます。そして、もう匂いを覚えましたから」

「え……。後半ものすごく嫌だな」

「そもそも、そんなに気になるなら、正面から声を掛けるべきです!」

首をかしげた、大きな瞳の少し可愛くも見える騎士の言葉。

それは、ラディルにとって、ちょっとした願いでもあるかもしれない。

「――――できない」

「なるほど……。予言師殿の言葉は」

「それ以上言うと、未来が変わるかもしれない」

「……う~ん」

その言葉を聞いた、ジャンは首をかしげ、しばらく何か考えているようだった。

そして、袖を掴まれたまま、長いため息を吐いたローグウェイは、この後の出来事を正確に予測していた。

「ま、未来とは変わるものじゃないですか! さ、婚約祝いに行きましょう!!」

エレナとレイの婚約。

アーノルドはすでに、エレナに祝いの贈り物をしている。

制服だけでなく、ドレスも美しく着こなしたフィルも、うれしそうに笑っている。

まぶしい、日だまりのような場所。

そこは、ラディルがいつも視ているばかりの場所だったはずだ。

両手でそれぞれ、ローグウェイとラディルの袖を掴んで無理に歩き出したジャン。

その力は、想定以上に強くて、だれも振り払うことができない。

振り返ったエレナが、満々の笑みで笑う。

それは、たしかに、かつて予言師になったばかりのラディルが、手に入れることができないくらいか細い未来の予言の先に視た、幸せそうに笑うエレナだった。