軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

久しぶりの学園

とうとう学園の試験が始まる。

セラフィーナは久しぶりに残念令嬢姿になって学園に戻るのだ。

パーティーが終わってからの二週間、足の怪我も治り王妃教育をこなしつつも、セラフィーナはかなり必死で試験勉強をしてきた。

一位宣言をしたのだ。万が一にも取りこぼすなんてしたくない。

本に埋もれ机にかじりつくセラフィーナにターニャは最初驚いたようだったが、すぐに慣れて変わらず世話を焼いてくれた。

時折レオナルドが勉強をみてくれ、これなら問題ないとお墨付きをもらった。

学園に戻る日、寂しがるティターニアに別れを告げ、張り切るターニャに残念令嬢に仕上げてもらい、用意してもらった馬車で学園に向かった。

「フィリア!」

「おかえりなさい、セラフィ。相変わらず素敵な残念令嬢ぶりですわ!」

「ありがとう!メイドについてくれたターニャが張り切ってくれてね。フィリアが作ってくれた体型に少しでも近づけようと頑張ってくれているの」

「そうですのね。セラフィに腕のよいメイドがついてくれてよかったですわ。さあ、まずはお化粧を落としていらっしゃいな」

「ふふふ。フィリアのその言葉、久しぶりに聞けて嬉しいわ」

そうして二人で積もる話をたくさんした。

お互い手紙で報告しあっているが、やはり直接話したい。こうなることを予想して試験の二日前に戻ってきたセラフィーナだったので、今日は夜通しおしゃべりしても大丈夫だ。

セラフィーナが王宮にいってしまってからフィリアは一人で寮生活を続けている。

「セラフィ以外の方と同室になるつもりはありませんわ」

そう言って断ったため、学園では数日に一度侍女を派遣することを前提に了承したらしい。

「ロイズ様からも聞いておりましたが、フィーナ・ガレント様の装いも素敵でしたわよ。足はもう大丈夫ですの?」

「大丈夫よ、ありがとう。軽い捻挫だったからすぐ治ったわ。リドリー様は再教育と聞いているけど」

「ええ、そのようですわね。さすがにあのような場での失態ですもの。ずいぶん大人しくされていると聞いていますわ」

さすがのアレンも気落ちしているようだ。

これに懲りて傲慢な態度を改めるとよいと思う。

「本当はパーティーでフィリアに話しかけたかったのだけど、結局できなくて残念だったわ」

「あの日のセラフィは色々と大変そうでしたもの。でも公爵を追い詰めるセラフィの姿はとても格好良かったですわ」

フィリアに褒められてえへへと照れた。

「すごく緊張してたんだけどね。でも公爵の方はひとまず落ち着いたみたい。あとはペドラ侯爵がどうなるかわからないけど」

するとフィリアは思案顔になった。

「どうしたの?」

「ペドラ侯爵は巧妙に野心を隠していたつもりでしょうけど漏れ出ていましたわ。他国に嫁がれた侯爵の実姉のこともございますし、今後も注意が必要でしょう。ですが……娘のアリシア様はたぶん今はレオナルド殿下をお慕いしていらっしゃる気もしますわ」

「そ、そうなの?」

セラフィーナはなぜか動揺した。

「以前のアリシア様は王太子妃を目指しているのが丸わかりでしたの。ですがアレクセイ殿下のご婚約披露が終わり、矛先を変えられたのではないかと思いますわ。レオナルド殿下はあのとおり、表向きはとても紳士な方ですから」

「フィリアはレオナルド様のあのお姿を知ってるの?」

「いいえ。ですがわたくしは王家に近い出自ですし、ロイズ様の婚約者ですので情報としていただいておりましたの」

「そうなのね。…でもアリシア様がレオナルド様をお好きなんて……」

なぜこんな嫌な気持ちになるのかわからない。

だがパーティーでの二人のダンスを思い出した。楽しそうに笑顔を向け合う姿がなんだか胸をざわつかせる。

黙り込んでしまったセラフィーナに、フィリアは何かを察したように優しく声を掛けた。

「これはあくまでわたくしの予想に過ぎませんわ。それにレオナルド殿下はどなたにでも紳士的ですもの。決してアリシア様が特別ではありませんわ。それよりティターニア殿下のことを教えていただけませんか?早ければ試験明けの長期休暇中にティターニア殿下とフィーナ様とのお茶会に参加させていただけそうですの」

「え?本当?」

「ええ。ですのでぜひ」

それならとティターニアの素晴らしさを機関銃のように説明する。自分でも少々アレクセイ節を感じるが仕方ない。その後もセラフィーナはフィリアと楽しい時間を過ごした。

心に残る影を感じながら。

だがセラフィーナはその理由がわからないままだった。

次の日、教室に入るとキャサリンとリサが出迎えてくれた。

「セラフィーナ様!お久しぶりですね!」

「キャサリン様、リサ様、お久しぶりです!」

「突然お休みされたときはびっくりしましたが、理由を聞いて納得いたしました!」

「ええ!レオナルド殿下のお手伝いなんて、さすがセラフィーナ様ですね!」

「いえ、それほど大したことはしていないのですよ。レオナルド殿下の周りの方はとても優秀でいらっしゃいますから」

その日は久しぶりにキャサリンとリサと四人でランチをする。今月もなかなか人気のデザートがあるからと楽しそうに話す三人に囲まれ、カフェテリアに向かった。

セラフィーナは久しぶりに学園の空気に触れ、温かく迎えてくれたフィリアに嬉しく思い、変わらない態度でいてくれるキャサリンとリサに感謝した。

そして気合いを入れて試験に挑んだのだった。