軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

次の議題と、キスの波紋?

「で、では予定どおり皆、席に着いてくれ」

ギリギリしているレオナルドから少し距離を置いたアレクセイが、仕切り直すようにゴホンと咳をした。

この後は話し合いをする予定だ。

レオナルドがセラフィーナの隣にさっと腰掛ける。その距離がやけに近い気もするが、セラフィーナが気づいていないようなので誰も何も言わなかった。

全員でテーブルを囲むとアレクセイが説明を始める。

「まずはパーティーの事後処理についてだ。マケドニーだがあのような衆人観衆での醜態だからな。大臣を返上、二ヶ月間王城の出入り禁止とした。これでさすがに大人しくなるだろう。フィーナ嬢、よくやってくれた」

「いいえ、ティア様のお役に立てて嬉しく思います」

「うむ。もう一人、アレンの処遇だが今期いっぱいは自宅謹慎とした。リドリー侯爵は息子の再教育をしてもらう。フィーナ嬢の怪我を公にすると問題が大きくなるのでな。不服があるかもしれないがこれで収めてくれ」

足の怪我はたいしたことないし、アレンはあの場で父親に殴られたのだ。今後の社交にも影響が出るだろうしセラフィーナに異論はない。

「いえ、十分です」

「そうか。リドリー侯爵は実直な人柄だし後継もしっかりしている。次男の教育には失敗したようだが、それ以外は問題ないからな。レオは納得していないが」

セラフィーナがレオナルドを見ると、レオナルドは眉間にしわを寄せていた。

「妥当な判断なのは理解している。ただ心情的に納得いかないだけだ。兄上、次に進めてくれ」

冷え冷えとしているレオナルドに、アレクセイは戸惑いながらも先を続ける。

「あ、ああ。そうだな。では次に今後の話だ。ティアのお披露目が済んだことで謁見希望が増えている。内容はこちらで精査するが、いつまでもティアを隠してはおけない。徐々に始めていく。フィーナ嬢、リンカ、ゾーラ、ターニャ、補佐を頼んだぞ」

「「「「はい!」」」」

アレクセイが言いにくそうな顔になる。

「あー、合わせてフィーナ嬢に縁談が多数きている」

「え?そうなんですか?」

「しかし君は本来の姿ではないから意味がない。こちらはすべてうまく断っておくがよいだろうか」

アレクセイはなぜかチラッとレオナルドを見た。そこには無表情のレオナルドがいる。

なぜ?と思いつつも返事を返す。

「はい。それで問題ありません。よろしくお願いします」

「ではそちらの謁見希望は「意味がないからな。会う必要ないだろう、セラフィーナ?」………」

「え?あ、はい。会わなくてもよいならそうしてください」

「だそうだ、兄上。手配は私とユーリでやろう」

「そ、そうか。なら任せる。ユーリも頼むぞ」

「かしこまりました」

レオナルドが割って入ってきたことで微妙な空気になっているが、セラフィーナにはありがたい。レオナルドに任せておけば大丈夫だ。

「レオナルド様、よろしくお願いします」

「ああ、任せろ」

レオナルドはなんだか黒い笑顔になった。

「……で、では次に進める。二週間後には学園で前期の最終試験がある。レオ、ユーリ、フィーナ嬢はそちらを優先してほしい。フィーナ嬢、前回は何位だ?」

「後期最終試験は二位でした」

「素晴らしいな。だが今回の試験も同等の成績をとってほしい。なぜならセラフィーナ・ダウナーは現在レオの補佐という形で休学中だ。成績が落ちればこれを取り消される恐れがある」

「わかりました。あの、質問よろしいでしょうか?」

「どうした?」

「試験中は学園の寮に戻るのでしょうか?」

「そうか、そうだな。レオとユーリはここから通っているから一緒でもよいが。お前達どうする?」

レオナルドが呆れた顔をした。

「お前、学園に行くなら残念令嬢になるんだろう。寮のが偽装しやすいんじゃないのか?」

「ハッ!そうでした。寮でお願いします」

そうだった。

今ではフィーナの存在が大きすぎて、不覚にも残念令嬢を忘れていた。

「ではその間、フィーナはいなくなってしまうのね」

「はい、ティア様。ですがすぐ戻ってきます。一位を取ってきますから安心してください」

「大きく出たな」

ニヤリと笑うレオナルドに大きく頷く。

「はい、ティア様のためですから!」

「ふふふ。頑張ってね、フィーナ」

「その意気で頼むぞフィーナ嬢。最後に、ティアのメイドについてだ。フィーナ嬢の偽装もあるし、パーティーで大人しかったペドラ侯爵も気になる。今までどおり少数精鋭でいきたいが、謁見が増えることを考えると少なくとももう一人メイドが欲しい。ロイズ」

「はい。こちらは近いうちに選定します。出自はもちろんですが、婚約者のいる者もしくは既婚者で、仕事ぶりや周囲の評価を鑑みて決定します」

ティターニアが不思議そうな顔をした。

「なぜその条件なのかしら?リンカもターニャも該当しないはずですが」

「ティターニア様のお側にあがるということは必然的にレオナルド殿下にも近くなります。婚約者がおらず、使用人にも優しい完璧な王子が近くにいても、きちんと仕事をこなせるメイドが必要です。ターニャはゾーラの遠縁で幼い頃から王城にあがっており、レオナルド殿下の素を知る数少ないメイドです」

納得だ。レオナルドに優しく声をかけられたメイドが浮き足だってしまうのが目にみえる。

じと目を向けるとレオナルドが眉を上げた。

「仕方ないだろう。爽やかな貴公子だからな」

「まあ、そうですけど」

アレクセイが締めに入る。

「皆質問はあるか?なければこれで終わろう。ティア、フィーナ嬢はまだ動けないからバラ園でお茶をしないか?」

「はい。ご一緒します。ではフィーナ、また後でね」

そうして順に部屋から出て行き、残ったのはレオナルドとユーリアスだけとなる。

だが突然、レオナルドがセラフィーナを横抱きに抱え上げた。

「キャッ!レ、レオナルド様!」

「ソファに移動させるだけだ」

「で、でもそんな急に!」

「なんだ?嫌なのか?」

「…嫌じゃないです」

「なら首に腕を回せ。ユーリを心配させてやるな」

「お兄様?」

「お前が怪我をしたとき、そばについていてやれなかっただろう。ユーリは落ち込んでいるんだ。これ以上怪我を長引かせるな」

セラフィーナがユーリアスを見ると、ユーリアスは曖昧な表情を浮かべている。

「お兄様、心配かけてごめんなさい」

「いいんだよ、セラフィ。殿下の厚意に甘えなさい」

「はい。レオナルド様、お願いします」

セラフィーナはおずおずとレオナルドの首に腕を回す。少しだけ力を込めると、レオナルドも返してくれた。

なんだか心が踊る。やっぱりこの腕の中は安心する。恥ずかしいけど。

そう思っていると優しくソファに降ろされた。

それはあっという間で、なんとなく寂しく感じたセラフィーナはもう少しあのままでいたい気持ちになった。

そんな表情がでていたのだろうか、レオナルドは目を細めてセラフィーナの頭を優しく撫でる。

「私達は仕事に戻る。お前はまずは怪我を治すことに専念しろ」

そしてユーリアスを連れて部屋から出て行った。

その後の二人の会話をセラフィーナは知らない。

「あの、殿下。エメレーン殿下に対抗する気持ちはわかりますが」

「なんの話かわからんな」

「……私を出汁にするのはやめてもらえませんか?」

「嘘は言っていないだろう」

「そうですが」

「なら問題ないな」

「…………」