軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

495.メスゴブリン

さくらと二人でカリホルニウムダンジョンに飛んだ。

生け垣が壁になった巨大迷路のダンジョン。

初めて来るわけではないが、さくらはまわりを見回して。

「ここって面白いよね」

「面白い?」

「他のダンジョンとかと違って、ザ・異世界でもないくせに、異世界感がバリバリなんだよね」

「ああ」

それは何となく分かる。

こんな感じの生け垣の巨大迷路は、向こうの世界でも存在する。

むしろアトラクションの一種として、普通に存在するくらいだ。

だが、こういうのに入ると非日常感をこれでもかってくらい感じてしまう。

多分どっかの遊園地にあったとして、そこに入ったとき俺は「ファンタジーみたいだ」って感想をつぶやいてしまうだろう。

「テルルとかザ・異世界って感じのダンジョンなのに、こっちに比べるとむしろ異世界感がないよね」

「だな。不思議なもんだ――おっと」

迷路の曲がり角からゴブリンが姿を見せた。

俺はとっさに拳銃を抜いて、眉間を正確に撃ち抜いて倒した。

「はえー、やっぱすごいねおじさん」

「そうか?」

「抜いてから撃つまで早いし、超正確に打ち抜いてるし。もしかしてこっちに来るまでは新宿で掃除屋とかやってた?」

「それって俺の事種馬とかに持ち込むためのネタだろ」

軽くため息ついて、先回りで指摘した。

「バレた? あっちもチーレム体質だし、おじさんとなんか似てるしね」

「あの作品をチーレムって分類するのはすごく斬新だ」

「でもそうじゃん? あれの新宿なんて半分異世界じゃん。裏新宿とかいってるし」

「それは別の作品な」

というかもっこりの方はともかく、裏新宿まで知ってるって結構読書量すごいかもしれない。

「それよりも始めよう」

「そだね」

さくらはスケッチブックを開いて、ジェネシスを唱えた。

さっきの箱をもう一度呼び出して、縁に手をかけて俺を見る。

俺は銃を構えて、頷き返す。

さくらは箱を開けた、俺達は同時に箱から飛びのいて距離をとった。

中からモンスターが飛び出した。

「おー?」

「これは……」

俺もさくらも、思わず手が止ってしまった。

「ザ・レアって感じだね」

「だな」

まったく同じ感想を持った俺達。

箱から現われたのは――メスのゴブリンだった。

特徴らしき特徴は無い。

ただ、ゴブリンで、はっきりとわかるメスってだけだ。

しかし、今まで遭遇したゴブリンは――。

「全部オスだったよね」

「ああ」

「メスか――あっ消えた!」

メスゴブリンは逃げ出した、壁に突っ込んでいったと思ったら、そのまますぅと透明になって消えてしまった。

「壁の向こうかな」

「えっと――ちがうな、消えたっぽい」

空中に向かって、空砲を撃つかのように追尾弾を撃った。

敵をどこまでも追尾する追尾弾はまっすぐと上空に向かって飛んでいき、やがて力を失って俺のそばの地面にぽとりとおちた。

「すぐに倒さないとだめッぽいね」

「そうだな。もう一回頼めるか」

「まかせて」

再びジェネシスを唱え、箱を出してレアモンスターを召喚。

またメスのゴブリン。

今度は早すぎず、遅すぎない。

メスゴブリンの全身がちゃんと確認できた段階で、容赦なく眉間を撃ち抜いて倒した。

メスゴブリンは弱かった。

反撃もなく、特殊能力も無い。

眉間を撃ち抜かれて、すぐに消えた。

そして――ゲートが現われた。

平面の扉かのようなゲートが俺達の目の前に現われた。

俺はこれを知っている、さくらははじめて見る。

「これでいいの?」

「ああ。この先にもう一戦あるだろうけど」

「よし、じゃあ入ろう」

「あっ、ちょっとまって!」

止める間もなく、さくらは扉の中に飛び込んでいった。