軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

443.それでもドロップは変わらない

「これって……どういう事でしょうか?」

「ユキの能力が俺のに加算されている、のか?」

「そういう事があるのですか?」

ユキも驚いた顔をした。

俺は首を振った。

「分からない、でも状況的にそう推測出来てしまう……一旦戻ろう」

「戻るのですか?」

「ああ、この『SSS』がここだけなのか、それとも通常のナウボード系でもそうなるのかチェックしたい。持ってきたポータブルナウボードも使い切っちゃったし」

「なるほど、分かりました」

俺たちは頷き、その部屋を出て、九階に戻った。

そのまま来た道を引き帰していき、地下一階にある転送部屋を使って屋敷――バナジウムダンジョンに戻った。

俺はユキとバナウジムの方を向いて。

「ユキは先に俺のテスト部屋に行っててくれ。バナジウムはどうする?」

「……(ぎゅっ)」

幼げな精霊はいつもの無言のまま、しかしユキの手をぎゅっとにぎった。

「一緒にいてくれるのか、じゃあ先にいってて」

「……(こくこく)」

頷くバナジウム。

精霊とスライムは連れだって、まるで仲のよい姉妹のように先に部屋に向かった。

その後ろ姿は微笑ましくて、何もなければしばらくこのまま見つめていたい、そんな気分にさせられるものだった。

「おっといけない」

俺は街に出て、道具屋でポータブルナウボードを買った。

他のアイテムと違って、普段はそんなに使わないものだ。

この世界での冒険者は日々生産の為に延々と周回するもので、気づいたらレベルがカンストしているのが普通だ。

そしてそれは俺たちリョータファミリーも一緒で、仲間達は皆カンストして、普段はポータブルナウボードなんか使わないから、常備している数が少ない。

それをありったけさっきのニホニウムに持って行ったら、使い切ってもうなくなったのだ。

だから俺は道具屋に走って、これまた同じような理由でほとんど在庫がないポータブルナウボードをありったけ買い占めた。

屋敷に戻ってくるなりテスト部屋に入る。

テストはハグレモノのため、前の屋敷の地下室にもましてだだっ広いスペースにしたその部屋の中で、バナジウムが床に直に座り、その膝の上にユキ――スライム姿のユキが乗っていた。

これまた微笑ましくて、今日はテストなんかどうでもいいかもしれないと一瞬思ってしまった。

「あっ、お帰りなさいです」

俺に気づいて、ユキはバナジウムの膝から飛び降りて人間の姿に戻った。

「器用Sの格好だな」

「はい」

「じゃあ確認するよ。ユキはそこでそのままで」

「分かりました」

―――1/2―――

レベル:1/1

HP SS

MP SS

力 SS

体力 SS

知性 SS

精神 SS

速さ SS

器用 SSS

運 SS

―――――――――

―――2/2―――

植物 S

動物 S

鉱物 S

魔法 S

特質 S

―――――――――

「おおっ」

思わず声が上がった。

ポータブルナウボードでも確認できた。

器用のところが、本当にSSSになっている。

しかもこれ……他とはちょっと違う表記だ。

間違いなく、ユキの影響を受けての上昇だ。

でもこれまでのどの上昇――いや、外力によるステータス変化とも違う。

クイックシルバー、それにポーション、さらにはバナジウムダンジョンのデバフ。

それらは、数値の後ろに「+」とか「-」とかつけられるものだ。

それが、ない。

ただ、SSSと。

「すごいです、本当に上がってます」

「他の姿にもなってみて」

「わかりました!」

ユキは意気込んで、次々と変身した。

その度に俺はポータブルナウボードで確認すると、ユキの「S」のヤツに呼応して、俺の同じ所はSSSになる。

まるで、ユキの存在そのものが俺にバフをかけているような感じだ。

「なるほどね。でもやっぱり不思議な感じだ」

「そうなのですか?」

「うん。バナジウム、俺の能力を下げてみてくれないか」

「……(こくこく)」

バナジウムはいつもの感じで頷き、手をかざして綿毛を召喚。

バナジウムダンジョンのモンスターで、それは俺の能力を下げてきた。

―――1/2―――

レベル:1/1

HP S(-1)

MP S(-1)

力 S(-1)

体力 S(-1)

知性 S(-1)

精神 S(-1)

速さ S(-1)

器用 SS(-1)

運 S(-1)

―――――――――

―――2/2―――

植物 S(-1)

動物 S(-1)

鉱物 S(-1)

魔法 S(-1)

特質 S(-1)

―――――――――

ポータブルナウボードで確認すると、今度はよく知っている表記が見えた。

全部に「(-1)」の表記、そして種で上がったものはおちて、俺がこの世界に転移してきた時から既にそうなっていたドロップSはまったく変わらない。

写し出されたこれをユキに見せた。

「普通はこう、上がったら『+』がつく、下がったら『-』がつくもんだ。でもユキのはなにもなくてそのままだ。これがちょっと不思議だ」

「なるほど」

「……ユキにかけたらどうなるんだ?」

「どうなるのでしょう?」

ユキは首を傾げて、純粋に疑問を呈した。

俺は少し考えて、またバナジウムに言う。

「俺の能力を戻してくれ。それと、今度はユキのを下げてみて」

「……(こくこく)」

バナジウムは頷いて、まず俺に手をかざし、それから綿毛を召喚してユキに飛ばした。

俺が直前にやったから、ユキはそのまま綿毛を受け入れた。

そして、ユキにポータブルナウボード。

―――1/2―――

レベル:1/1

HP F(-1)

MP F(-1)

力 F(-1)

体力 F(-1)

知性 F(-1)

精神 F(-1)

速さ F(-1)

器用 A(-1)

運 F(-1)

―――――――――

―――2/2―――

植物 F(-1)

動物 F(-1)

鉱物 F(-1)

魔法 F(-1)

特質 F(-1)

―――――――――

「下がりましたね」

「さがったな……俺のは、と」

―――1/2―――

レベル:1/1

HP SS

MP SS

力 SS

体力 SS

知性 SS

精神 SS

速さ SS

器用 SS

運 SS

―――――――――

―――2/2―――

植物 S

動物 S

鉱物 S

魔法 S

特質 S

―――――――――

自分にもナウボードを使うと、能力はここしばらく見慣れた、ニホニウムを「完全攻略」してからのものだ。

「Aだとこっちにはつかないのか」

「そうみたいですね」

「SS+SでSSS、か。なるほどなあ」

「もっと下げればどうなるのでしょう」

「ためしてみよう。バナジウム、ユキをオールFだ」

「……(こくこく)」

バナジウムは次々と綿毛を呼んで、ユキにぶつけた。

AからB、BからC、CからD、DからE……。

その都度チェックしてみたが、何も変わらなかった。

が、オールFとなった途端。

「――っ!」

―――1/2―――

レベル:1/1

HP SSS

MP SSS

力 SSS

体力 SSS

知性 SSS

精神 SSS

速さ SSS

器用 SSS

運 SSS

―――――――――

―――2/2―――

植物 S

動物 S

鉱物 S

魔法 S

特質 S

―――――――――

俺の能力が更に一段階突き抜けた、オールSSSになっていた。