軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第20話

スライムクイーンが上界で暮らしていた?

一体、どういうことなのだろうか?

……人には、魔物を使役するスキルを持っている者もいるというのは知っている。

そういった関係だろうか?

そして、何か問題を起こして……俺のように下界に送られたのか? ……いや、それはあり得ないだろう。

魔物ならば、その場で消せばいいはずだ。考えても分からないな。

「上界で? それはまたどうして?」

「一部の国では、スライムを発見して捕らえているのは知っているかしら?」

「……そうだな。確か、ゴミ収集の仕事をさせるため、とかだったか?」

聞いたことがある。なんという国だったか……。

「ええ、そうよ。水の国、アクアフィールド。そこで私は毎日毎日、生活をしていたわ。人間たちにいいように使われてね。その時はまだ、私はただのスライムだったわ」

「……そうなんだな」

「けど、だんだんと自我が芽生えてきたわ。今のような人間の姿をとることは結局上界にいる間にはできなかったけど」

「……それで、どうやって下界におりたんだ?」

「アクアフィールドにある川に、滑り落ちたのよ。あとはそのまま流れて行って……気づけば浜辺に打ち上げられていた。そして、下界で暮らすうちに私は力をつけた。今のように人の姿をとれるようになったのも下界に来てから」

……下界という環境は、魔物が強くなるための条件が揃っているのかもしれない。

あるとすれば、この魔力か。上界よりも魔力が濃いのが、何かしら魔物に影響を与えているのかもしれない。

そこまで語ったスライムクイーンは鋭い視線とともにこちらを見た。

「だから私は、あなたたち人間も嫌いなの」

「けど……ワーウルフたちに抵抗するために、手を組むべきじゃないか? このままでは、厳しいことはわかっているだろ?」

俺がそういうと、スライムクイーンは不敵に微笑む。

「あなたたちは厳しいのかもしれないけど、私たちは違うわ」

「なに?」

「私たちは騙されただけだわ。本気でぶつかり合えば、負けることはないわ。私たちは魔法に弱いけれど、ワーウルフたちは魔法系スキルを所持していることが少ないわ。物理攻撃だけなら、私たちのほうが有利よ」

「……」

俺たちはスライムの戦力がどれほどあるのか知らないからな。

北のワーウルフたちが危険、である情報は持っている。

実際に戦ったスライムたちがいうのなら、彼女らの判断が間違っているとも思えなかった。

「それじゃあ、どうしてここに俺たちを呼んだんだ?」

「同盟、までは結ぶつもりはないわ。けれど、今あなたたちに攻め込まれても面倒であることは変わりないわ。だから、北のワーウルフの問題が解決するまでは、お互いに手を出し合わないことにしない? あなたには、ポーションを頂いた恩もあるわ。……だから、手を組むつもりはないけれど、敵対もしない。それでどうかしら?」

……なるほどな。

確かに俺たちだって無理に仲間を増やしても、それだけ集団での生活は大変だからな。

「わかった。それで行こう」

「交渉成立ね。それでは、今後とも今の中立の立場でいましょう」

スライムクイーンがそういって一礼をする。俺も合わせるように頭を下げてから、背中を向けた。

「帰ろうみんな」

「……ああ」

皆が小さく頷く。俺たちはそれから、彼女らの村を後にした。

村まで戻る途中、俺たちはポイズンスネークを狩っていた。

オルフェはどこか心ここにあらず、と言った様子だった。

ポイズンスネークを狩る際も、力に任せて剣を振ることが多い。

「あれていますね、オルフェさん」

「……だな」

リビアとともに、オルフェの戦闘を眺めていた。

……恐らく、北のワーウルフの話を聞いて気持ちが高ぶっているのだろう。

「オルフェ、北のワーウルフというのは……強いのか?」

ポイズンスネークを倒し終えたところで、訊ねた。

オルフェは剣についた血を葉で拭い落しながら、こちらをちらと見る。

真剣な眼差しとともに、オルフェはこくりと首を縦に振った。

「ああ、強い。……正直言って、あの時のオレでは手も足も出なかった」

「……そうか」

オルフェの悔しそうな顔に、俺は息を吐いた。

「俺たちは北のワーウルフたちを仕留めるつもりだ。……敵将を討ち取り、万が一他のワーウルフたちが降参した場合……それらをまとめる王はおまえだ、オルフェ」

驚いたようにこちらを見る。

「俺は味方になるというのなら、皆殺しにするつもりはない。だから、そんな情けない顔をするなオルフェ。今のおまえじゃ、ワーウルフたちは任せられない」

「……ああ、すまない」

オルフェは一度息を吐いてから、顔をあげる。

「スライム族が万が一やられれば、次は俺たちだ。戦いの準備を整えていったほうがよさそうだな」

「そうだな」

「戦いに迷わないでくれ、オルフェ。ここで生きていくのなら、いずれはぶつかっていた相手だ。奴らが力をつける前に叩き潰せるのなら、それに越したことはないんだ」

運が良かったのは、スライム族が北のワーウルフに敵対してくれたところだな。

オルフェは俺の言葉に、すっと頭を下げた。