軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第42話

今俺が考えている脱出の流れについて、カトリナとゴルガに簡単に説明した。

具体的、といっても内と外から同時に攻め込むだけのものだ。

すべてを話したところで、俺は二人へと視線を向ける。

「というわけで確認させてほしいんだ。ゴーレムとドリアードはどちらも脱出したいと思っているのか?」

彼らがここでの生活を望むのなら、この作戦は失敗に終わる。

俺の問いかけに、ゴルガとカトリナは顔見合わせ、首を縦に振った。

「もちろん、だ」

「うん。もうここでの生活は、嫌。だから、作戦に協力する」

とりあえず、これで作戦の第一段階は問題ないな。

彼らの表情からも、それが嘘ではなく本心なのは見て取れた。

「それなら俺たちはまた後日戦力を集めてここに攻め込もうと思っているんだ。……いつか、攻め込むのにいい日はあるか?」

「……三日に一度、宴会を行う。だから、三日後がいいと思う」

カトリナがそう言って、思いだす。

確かに、ここに来る途中に酔っぱらっていたオーガがいた。

「今日がその宴会の日なのか?」

確認してみると、カトリナは素直に頷いた。

「うん。何人かヴァンパイアの子たちが給仕をさせられていた」

「なんじゃと。奴らめ……」

ヴァンニャが怒りを抱いたような表情でそう言った。

きっとこき使われていることは簡単に想像できる。

怒りを抱くのは当然だが、今すぐに何かできることはない。

「それなら、三日後にまたこちらに来る。その時に全員を解放して、外と内側から攻め込むつもりだ」

「三日後、分かった。オレたち、協力する」

俺の言葉にゴルガはこくりと頷いた。

ゴーレムたちはかなり力がありそうだ。彼らが協力してくれるのならば、心強い。

「それじゃあ、作戦に関しては以上だ。何か他に質問はあるか?」

「それなら、一つ、確認したい。助けてもらった後、私たちは、どうなる?」

カトリナの目には力がこもっていた。

救助してもらっても、俺のもとで奴隷のように働かされる可能性もあると考えているのかもしれない。

カトリナだけではなく、ゴルガも注目している。

ただ、そんな二人に対して、俺はあっけらかんと答えて見せる。

「別に自由にしてもらっていい。これまで通り、元の場所に戻って生活してもいい。俺はオーガの脅威を排除することと、ヴァンパイアたちの救助だけが目的だからな」

同盟くらいは結びたいと思っているけど、そこまで強制するつもりはない。

俺がそう言うと、カトリナは考えるような素振りを見せた後、こちらに顔を近づけてくる。

「なら、あなたの傘下に入りたい」

「……え? 俺たちのか?」

「ヴァンニャが信用しているのなら、大丈夫だと思う。それに、オーガたちから解放されても、私たちだけのまま生活していたらまた誰か他の力を持つ存在に従わされるだけ」

確かに、その可能性がまったくないとは言い切れない。

さらに北にはもっと魔物もいると話していたしな。

俺としても、仲間が増えてくれるのは心強い。課題も出てくるだろうが、数が増えるのは単純に嬉しい。

「オレたちも、入れてほしい。それなりに、力はある。何かしらの、力にはなれるはずだ」

ゴルガもそう言ってくれた。

彼らがいれば、村を守る防壁なども作れるかもしれない。

ドリアードとゴーレム。これらの種族を断る理由は、俺にはなかった。

「ああ、分かった。それじゃあ、脱出した時は俺たちの村に来てくれ。もちろん、最低限の仕事はしてもらうことになるけど、それはいいよな?」

「うん、分かってる」

「オレたちも、だ。今みたいに、傷つけられないなら、なんでもする」

「ああ、それに関しては保障する」

与えた仕事をこなしてくれれば、別に何もするつもりはない。

仕事をしないのなら、村から出て行ってもらうだけだしな。

「それじゃあ、決行は三日後の夜だ。もう一度、ここに俺が来て、全員の首輪を外す。その後、俺が単独で門の解放を行い、合図の魔法を打ち上げる。そのタイミングで内と外で暴れるつもりだ」

その辺りの詳細に関してはまた後で話をしよう。

二人が頷き、俺の話したいことも終わったところで、ヴァンニャが首を傾げた。

「そういえば、何か村内で変わった動きはあったかの?」

「ううん、前とは変わらない、と思う。ただ、オーガたちは何か明確に敵がいて、今も戦力を補強している、みたい。南の方にいたワーウルフたちも仲間にしたいと思っているみたい」

「……それって、もしかして――」

ちらとヴァンニャがこちらを見てくる。

確実に俺たちのことだろう。

「俺の仲間の中にはワーウルフもいる。近いうちに目をつけられるかもしれないな」

「大丈夫?」

「とりあえずはな」

敵意があったとしても、こちらの戦力だってそれなりにある。

すぐに攻め込まれることはないだろう。

「これで話は終わりだ。俺たちはもう少しこの村内を歩いて情報を集めようと思ってる。最後に何か質問はあるか?」

ゴルガとカトリナは顔を見合わせてから、お互いに首を横に振った。

もう話すこともないため、俺たちは立ち上がる。ゴルガも自分の部屋へと戻っていったところで、ヴァンニャが控えめに手を挙げる。

「クレスト。少し仲間たちに話をしておきたいんじゃ」

ヴァンパイアたちのことだろう。もちろん、そのくらいの時間的な余裕はあるので頷いた。

ヴァンパイアたちが眠る右側の部屋へと入る。

給仕をさせられていると言っていたからか、二人しかそこにはいなかった。

そちらにいたヴァンパイアたちは皆小柄だ。

ヴァンパイアはそういう種族なのだろうか?

それからヴァンニャは一人の少女へと近づいていく。

その時に一度スキルを解除して、使用という流れを行った。

ヴァンニャはゴルガたちを起こしたときよりもかなり雑な様子で肩を掴んで揺さぶる。

「おい、起きるんじゃ」

「ふえ? ヴぁ、ヴァンニャ様の声が聞こえる……ってヴァンニャ様!?」

「そうじゃよ!」

「ふ、ふえええ! 無事でよかったですヴァンニャ様! もう死んだのかと思ってました!」

「そんなに泣くでない!」

「だ、だってぇぇぇ……。そ、それにしても、ヴァンニャ様。どうしてここにいるのですか?」

「それはのぉ……」

先ほど、ゴルガとカトリナに話した内容についてヴァンニャは伝えた。

俺についても話してくれたため、俺がこの場にいることも納得してくれた。

「わ、分かりました。みんなにも共有しておきます!」

「頼んじゃぞ。もう少し、寂しい思いをさせるが……あと三日の辛抱じゃからな」

「が、頑張ります!」

「ああ、踏ん張ってくれなのじゃ」

「はい!」

ヴァンニャがふっと柔らかな笑みを浮かべ、その後で首を傾げるようにして問いかける。

「先ほどカトリナから聞いたのじゃが、他の者たちは給仕をさせられてるのかえ?」

「は、はい……そうです」

「……なるほどのぉ。了解じゃ。それじゃあ、クレスト。もう大丈夫じゃ」

「分かった。それじゃあ、外に出ようか」

そういってヴァンニャとともに立ち上がったところで、ヴァンパイアはぺこりと頭を下げた。

「クレスト様! ヴァンニャ様をよろしくお願いします!」

「ああ、分かってる」

そう答えたところで、俺たちは建物の外へと出た。