軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第995話 破壊神 vs.【武帝】

『おらァァァァッ!』

『ぐはッ……!』

破壊神イグニスの渾身の一撃が、【深淵の魂喰い】の剣身のど真ん中に炸裂する。

フルスイングの大鎚攻撃をまともに食らった【深淵の魂喰い】は、その剣身を大きく 撓(しな) らせた。

燃え盛る業火のような剣身全般には大きな罅が入り、赤黒い地色の下から白銀色の神々しい光が漏れ出る。

しかし、さすがは負の状態の聖遺物と言うべきか、【深淵の魂喰い】は完全に壊れるまでには至らない。何とか堪えきった【武帝】が苦しげな声で呻く。

『ぐぅッ……我とて廃都の魔城の四帝の一角……これしきのことで、敗れる訳にはいかん……』

『ンー? 今のはすんげー会心の一撃だったのに……一発で壊せないなんて、オイラもまだまだ未熟だなー』

未だに受け答えできる【深淵の魂喰い】を、破壊神イグニスは小首を傾げながら意外そうな顔で見つめる。

破壊神にしてみれば、今の一撃はかなりの出来だったらしい。

だが、当人の手応えに反して【深淵の魂喰い】は未だ喋る余力があるようだ。破壊神イグニスにとっては、それが心底不思議でならないらしい。

そのせいか、イグニスの鼻がムズムズしたようで、いつものように鼻の頭を右手人差し指で擦っていた破壊神イグニス。

鼻の奥のムズムズ感が強いのか、時折『ン?』という表情をしながら若干眉間に皺を寄せて険しい顔になっている。

しかし、イグニスはこの程度のことではへこたれない。

一撃で仕留められなかったから何だと言うのか。

一回の打撃で駄目なら二回、二回で駄目なら三回、というように、己が使命を果たすまで何度でも叩き続けるだけだ。

破壊神イグニスは、左肩に担いでいた大鎚を再び下ろして両手で握り直す。

『……ま、おめーのその『武器としての根性』だけは認めてやらぁ』

『……貴様如き小僧を認めるのは、甚だ遺憾ではあるが……我も認めよう。貴様は我等四帝にも対抗し得る、 真(しん) に神に遣わされし破壊の使徒である―――とな』

『ンだからな? オイラは小僧なんて名前じゃねぇって言ってんだろ!?』

実に不遜な物言いの【武帝】に対し、大鎚を左手一本で持ち上げ振り回しながら、その場でピョンピョンと飛び跳ねプンスコと怒る破壊神イグニス。

口を尖らせながら文句を言う様は、幼さが残る年相応の振る舞いに見えて少しだけ微笑ましい。

しかし、客観的に見れば、廃都の魔城の四帝の一角である【武帝】が他者の力をこうも素直に認めるというのは、何気にかなりすごいことだ。

しかもその相手は、勇者候補生でもなければ世界最強の金剛級冒険者でもない。一見して普通の鍛冶屋の息子にしか見えない、イグニスという少年。

これは、見る人が見たらものすごく驚愕する事実である。

そしてプンスコと怒るイグニスに向けて、【武帝】はなおも馴れ馴れしく話しかける。

『おお、それはすまなかった。少年―――いや、イグニス、と言ったか?』

『そうそう、オイラはイグニスってんだ。よーく覚えとけ!』

『イグニスよ、貴殿を見込んで話がある』

『何だ?』

『ここはおとなしく引いて、黙ってこのままそこにいる 本体(・・) に戻ってはくれまいか?』

【武帝】が破壊神イグニスに持ちかけたのは、イグニスとの対決の手打ちだった。

【武帝】が言う『本体』とは、未だ水晶の壇の前で立ち尽くしている九歳の少年イグニスのこと。

本体の方は、まるで時が止まってしまったかのように微動だにしない。瞬き一つすらせずに、ただただ水晶の壇の前で水晶玉を覗き込んだまま棒立ちしている。

そして【武帝】の手打ち交渉はなおも続く。

『何、我とて貴殿にただで引いてもらおうなどと思ってはおらん。我もまたこの【深淵の魂喰い】の中に戻り、しばし深い眠りにつこう』

『しばしと言っても、高々数年ではない。これ程の傷を負わされたのだ、百年くらいは眠らねば、この傷を癒やすことはできまい』

『つまり、貴殿らがこの世に生きるうちは、我との再会はないということだ』

『これは、全ての人族にとって福音となろう。ともすれば貴殿は『荒ぶる【深淵の魂喰い】を鎮めた者』として、未来永劫語り継がれる英雄となるであろう』

『これ程の栄誉を生きて得られる者は、そうはいない。……いや、そうはいないどころの話ではない、貴殿を於いて他にはおらぬと断言しよう』

ペラペラと饒舌に語る【武帝】。何とかこの場から逃れようと必死に見える。

【武帝】とは、少なくとも武を極めた者に与えられる称号のはずだが、今ここにいるこの【武帝】は武の腕前だけでなく弁舌も達者なのだろうか。

これが世界を震撼させた廃都の魔城の四帝かと思うと、些か拍子抜けすらしてくる感がある。

だが、【武帝】にしてみれば必死になるのも当然だ。

相手はどんなに頑強な武器防具であろうとも、必滅の一撃を放つことのできる破壊の権化。

如何に【武帝】であろうとも、【深淵の魂喰い】が大剣という形状を取っている以上は、何をどう足掻いても最悪の相手であることに間違いないのだ。

破壊神イグニスに対して、撤退を促すだけでなく『人族にとって福音』『未来永劫語り継がれる英雄になれる』といった甘言までも繰り出し囁く。

そんな【武帝】に対し、破壊神イグニスは一旦大鎚を立てながら下ろし、目を閉じうんうん!としたり顔で頷いている。

『何だ、おめーもよく分かってんじゃん!オイラのこの鍛冶の腕は、まさに神から与えられた唯一無二の能力だからな!』

『そうだろうとも。なればこそ、今は互いに身を引きこの場を静かに去―――』

【武帝】に褒めそやされて、天狗になっている破壊神イグニス。

【武帝】は内心でほくそ笑みつつ、破壊神イグニスの退場を促そうとした、その時。

破壊神イグニスの全身から、鍛冶炉に灯る炎の如きゆらりとした赤いオーラが立ち上った。

『……だがな、オイラにだって破壊神としての意地ってもんがある。こんな中途半端なところで引く訳にはいかねぇ』

『…………』

『つーか、おめー、耳当たりのいいことばっか言ってっけどよぅ。百年もその剣の中で寝るなんて、嘘だろ?』

『…………』

『おめーの持つ邪悪な力は、そんじょそこらに転がってる生半可なものとは訳が違う。数年どころか一年、いや、半年も放っておけば元通りの力を取り戻すに違いねぇ。なぁ、そうだろう?』

『…………』

破壊神イグニスが静かに語る言葉に、それまで饒舌だった【武帝】は途端に黙り込む。

彼が指摘したことは、全て真実であり正解だ。

『剣の中で百年は眠りにつく』と【武帝】が言ったのは、その場しのぎの大嘘。破壊神イグニスを騙して逃げるための方便だった。

すっかり黙り込んだ【武帝】に、破壊神イグニスは更に言葉で詰めていく。

『オイラだって、伊達や酔狂で鍛冶師やってる訳じゃねぇぞ? ……オイラには分かるんだ。だって、おめーの 悪者(わるもん) オーラ、半端ねぇもん』

『…………』

『おめーのその赤黒い魔剣は……いずれこのラグナロッツァを恐怖のどん底に叩き落とす、とんでもねー厄災になるだろう』

『…………』

『でもって、オイラがそんな厄災を目の前にして、みすみす逃がすと思ってんのか?』

『…………』

今ここで【武帝】を見逃せば、【深淵の魂喰い】は半年もしないうちにその力を取り戻す。そして力を取り戻した【深淵の魂喰い】は、再び【武帝】の隠れ蓑となってこのラグナ神殿の中で祀られ続ける。

それはやがて、このラグナロッツァに住む人々を脅かす存在になるだろう。

【武帝】の浅ましい奸計に、破壊神イグニスが乗ることなど決してなかった。

破壊神イグニスは、強い決意を以って【深淵の魂喰い】に向かって宣言する。

『人族の福音? 語り継がれる英雄になれる? ンなもんぶっちゃけどーでもいい。今オイラが守りたいのは、オイラの周りにいる人達が安心して過ごせる未来だ!』

『そのためには、おめーみてぇなとんでもねえ邪悪な魔剣は邪魔だ。オイラや皆が住む家のすぐ近くに、こんな物騒なもんがずっといたらおちおち暮らせやしねぇ』

『だから、オイラがここでおめーを倒す!破壊神イグニスの名にかけて、完膚なきまでに粉々に砕いてやらぁ!』

後ろの床で気絶しているイヴリンやジョゼ、そしてリリィ。

少年イグニスの幼馴染を庇うかのように、破壊神イグニスは毅然と立つ。

そして徐に大鎚を再び両手で持ち上げ始める。

事ここに至っては、もはや両者の和解や双方同時撤退の可能性は潰えた。

この場が何らかの結果を以て解決に至るには、どちらかが倒れどちらかが生き残る―――この二つの道しか残されていない。

そのことを【武帝】も覚悟したのか、【深淵の魂喰い】からもゆらりとしたドス黒いオーラが放たれた。

『……よかろう。我とて【武帝】の名を冠する者。そもそもこのような交渉事や 謀(はかりごと) の類いは不得手なのだ』

『そりゃ奇遇だな。オイラもその手のことはサッパリ苦手だぜ!』

『フフッ……最初からこうしておけば良かったのだ。貴様如き小僧に、四帝たる我が敗けるはずなどないのだから』

『ンなもん、やってみねぇと分かんねぇぞ?』

強がる【武帝】に、破壊神イグニスも不敵な笑みを浮かべる。

だが、強がりに見える【武帝】の言い分も、あながち間違ってはいない。

廃都の魔城の四帝とは、何百年にも渡って人類や全ての生き物を苦しめ続けてきた悪の権化。

破壊神イグニスやレオニスのように、特別に強い力を持っていなければ到底敵わない強大な敵なのだ。

『如何に神から与えられし権能であろうとも―――我が武威に傷をつけることなど能わぬ』

『おめーこそ、オイラのハンマーが持つ真の力をまだ知らんだろ?』

『今こそ神の奸計を打ち破る時―――いざ、参る!』

『破壊神が振るう極上の一撃、その身でとくと味わいやがれ!!』

破壊神イグニスと、廃都の魔城の四帝が一角【武帝】。

両者の意地と存亡をかけた戦いが再び始まった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

『せいやッ!』

『ハッ!』

破壊神イグニスと【武帝】の激しい鍔迫り合いが続く。

といっても、打撃を繰り出すのはほとんど破壊神イグニスのみで、【武帝】が宿る【深淵の魂喰い】はひたすら回避に回っている。

しかし、【深淵の魂喰い】もただ逃げ回っている訳ではない。

【武帝】が放つ邪悪なオーラで破壊神イグニスの霊体に接触し、少しづつ破壊神イグニスの霊体維持のためのエネルギーを削ぎ落とし続けていた。

そう、破壊神イグニスが戦っているのは【深淵の魂喰い】だけではない。その中に潜む【武帝】も同時に相手取らねばならなかった。

逃げる【深淵の魂喰い】を追い、素早い動きで大鎚を振り回す破壊神イグニス。

『下手な鉄砲数打ちゃ当たる』方式じゃないが、クリーンヒットには至らずとも何度か大鎚がその剣身に掠り、その都度【深淵の魂喰い】の中にダメージが蓄積されていく。

そうして両者が激しい剣戟を繰り広げた後、しばしの間立ち止まり無言で対峙した。

破壊神イグニスはハァ、ハァ、と肩で息をしており、彼の方にもそれなりに疲労が蓄積しているのが目に見えて分かる。

だが、相対する【深淵の魂喰い】の方はもっと深刻だ。

赤黒い剣身には無数の罅が入り、もはや赤黒いオーラよりもその下から漏れ出る白銀色の方が強く輝いている有り様だ。

息を整えている間に、破壊神イグニスの鼻からツー……と一筋の赤い雫が垂れ落ちた。

その赤い一雫―――鼻血を、破壊神イグニスは右手の甲でグイッ、と拭い取る。

そしてすぐさま口の中に溜まった鼻血混じりの唾を、ペッ、と吐き出した。

【武帝】が放つ邪気に、破壊神イグニスもかなり侵蝕されているようだ。

今の破壊神イグニスが出せる打撃は、もはやあと一回か二回。

クリティカル狙いで大振りして、もし空振りすれば―――その虚を突いて【深淵の魂喰い】が相討ち覚悟で刺突の急襲を繰り出してくるかもしれない。

そうなれば、如何に破壊神といえどただでは済まない。下手をすれば破壊神イグニスという存在そのものが消滅してしまう。

だが、ここで退くという選択肢は破壊神イグニスの中にはない。

己の後ろで気絶している幼馴染三人、そして水晶の壇の前で立ち尽くす少年イグニス本体に視線を遣る。

友達や仲間の未来、そして己の生死をも賭けた、絶対に後には引けない戦い。その熾烈な戦いに再び身を投じるべく、破壊神イグニスは再び前を向き【深淵の魂喰い】を睨みつけた。

『……そろそろおめーも、いい加減年貢の納め時だぞ?』

『フッ、強がりはよせ……如何に破壊の神の権能を持つ貴様とて、我が業と怨嗟の闇からは逃れられぬ』

『その台詞、そっくりそのままおめーに返すぜ』

『虫の息のくせに、言うことだけは立派よの。その減らず口―――この【深淵の魂喰い】にてとどめを刺してくれるわ』

最後に言いたいことを言いたいだけ言い切った両者、再びしばしの沈黙が流れる。

破壊神イグニスの荒かった息遣いも次第に収まったいく。

そうした数瞬の静寂の後、両者同時に動き出した。

『どりゃああああぁぁぁぁッッッ!!』

『ハアアアアァァァァッッッ!!』

己が持てる力を全て出し尽くす勢いで、両者の力が高まっていく。

その壮絶なまでに激しい力の奔流に、周囲の大気はもちろん主教座聖堂全体が揺れに揺れる。

破壊神と【武帝】、正真正銘最後の衝突であった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

一際大きな轟音と衝撃波が、主教座聖堂内に響き渡った。

だが、強大な力の衝突が起きたのは一回のみで、その後ぶつかり合う音などは一切聞こえてこない。

そうした静寂の中、最後まで立っていたのは破壊神イグニスだった。

内陣の後方にある祭壇部には、真っ二つに折れて砕けた白銀色の剣身と柄が落ちている。

破壊神イグニスと【深淵の魂喰い】に宿る【武帝】の戦いは、破壊神の勝利という形で決着が着いた。

ハァ、ハァ、と肩で息をしていた破壊神イグニスが、目の前に散らばる白銀色の剣を見遣る。

それは、先程まで【深淵の魂喰い】がまとっていた赤黒い剣身ではなく、清浄な光に満ちた輝き。

負の聖遺物【深淵の魂喰い】が完全に浄化された【 晶瑩玲瓏(しょうえいれいろう) 】の姿だった。

『あー、その、何だ……次いくぞ、次!』

折れた【晶瑩玲瓏】を見ながら、誰に言うともなく呟く破壊神イグニス。

その言葉は、BCOで鍛冶による装備品強化を失敗した時に、イグニスが持ち主に吐きかける『定番の台詞』だ。

依頼主の大事な装備品をブッ壊しておいて、間違っても吐ける台詞ではないと思うのだが。ゲームの中では一枚絵で、イグニス他ショップ店員全員の台詞も固定されているので、こればかりはイグニス自身の意思でどうこうできる問題ではないので致し方ない。

そして、破壊神イグニスがお約束の台詞を吐いた後、ガハッ!と大きく噎せ込んでそのまま後ろに倒れた。

仰向けで寝そべる破壊神イグニスの口からは、かなりの量の血が溢れ出てきている。やはり廃都の魔城の四帝【武帝】が放つ邪気の侵蝕は、破壊神イグニスの全身に大量のダメージを与えていた。

大の字で倒れ込んだ破壊神イグニスの下には、イヴリンやジョゼ、そしてリリィもいる。

だが、顕現した破壊神イグニスは半透明の霊体状態なので、ここにいる者達を押し潰す心配はない。

破壊神イグニスは仰向けで倒れ込んだまま、自分の腰の下あたりにいるイヴリンとジョゼを見遣る。

そして視線は足元のリリィにも向けられ、幼馴染三人が気絶してるだけで無事そうな様子を見てほっとしている。

『ぁー……皆を守ることができて良かったぁ……つーか、大丈夫だよな? 皆気絶してるだけで、死んでねぇよな?』

『……って、人の事心配してる場合じゃねぇんだよなぁ……オイラももう、限界、だぁ……』

『つーか、何だよ、あの赤黒い剣め……武器のくせに、破壊神であるこのオイラにここまで重傷を負わせるなんてよぅ……』

『ったく……この世にはオイラが知らないことが、まだまだたくさんあんだなぁ……』

幼馴染の心配をしたり、自分自身もう限界だと呟いたり、かと思ったら【深淵の魂喰い】に文句を言ったり、【武帝】との対決という未知の体験に心から感動したり。

なかなかに忙しい破壊神イグニスだが、その表情が百面相のようにコロコロと変わりまくる間、徐々にその霊体の色が薄れだした。

『ぁー……オイラも本当に限界が来たかぁ……さっきの【武帝】じゃないが、こりゃ数年はおとなしく療養しなきゃならんかもなぁ……』

『…………ま、もともとオイラがこの世界で 活躍(・・) するのは、もう少しオイラが成長してからの話だし』

『ここで数年の間……のんびりと 中(・) で休んでても……問題ねぇっしょ……』

腰の辺りで未だに気絶しているジョゼやイヴリンの頭を、どんどん薄れゆく手で撫でる破壊神イグニス。

目を閉じながら弱々しい声で呟くその顔は、安堵に満ちていた。

目を伏せたままのにこやかな笑顔の破壊神イグニスが、右手人差し指で鼻の頭を擦りながら、現世での最後の言葉を呟く。

『……イヴリン、ジョゼ……リリィ…………また会おうな』

破壊神イグニスの霊体は光の粒子となり、空中に散っていく。

大気に霧散した光の粒子は、風も吹いていないのにある一点に集中してふわり、ふわり、と飛んでいく。

光の粒子の行き着く先には、水晶の壇の前で立ち尽くしたまま微動だにしない少年イグニスがいた。

宙を舞う光の粒子が、時を止めた少年イグニスの身体に入っていく。

そうして全ての光の粒子が少年イグニスに吸い込まれた後、その身体に時が戻ったかのように少年イグニスの膝が崩れ落ち始めた。

少年イグニスは完全に白目を剥いたまま、他の幼馴染同様床に伏して倒れていった。