軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第881話 水上歩行のコツ

早速天空樹とドライアドのいる島に移動したライト達。

まずはレオニスがユグドラエルに、転移門設置の事情を話していった。

「……という訳で、ここに俺達が天空島に出入りするための門を設置したいんだが。いいだろうか?」

『もちろんですとも。私がそれを断る道理などありません』

「ありがとう。そしたら女王達がここに転移門を設置するからよろしくな」

『分かりました』

ユグドラエルの了承を無事得ることができたレオニス。

次は二人の女王に向かって声をかける。

「ここに転移門を設置できたら、最後の仕上げとして地上にも転移門を作ってもらわなきゃならんが。二人とも地上に来るのは無理だよな?」

『ええ、そうね。せめてどちらかが留守番しないとね』

『どっちが地上に行く? 地上に行きついでに、目覚めの湖にいる水の女王の迎えにも行くことができるが」

『『…………』』

レオニスの問いかけに、光の女王と雷の女王が顔を見合わせる。

そして何を相談するでもなく、光の女王が一歩前に進み出た。

『私が行きましょう』

「……そうだな、その方がいいだろうな」

光の女王の申し出に、レオニスも頷きながら承諾する。

転移門を設置するだけならともかく、目覚めの湖に行くなら雷の女王は不向きであろう。

何故なら彼女は雷の化身。巨大な電気の塊と言っても差し支えない。

そんな彼女が目覚めの湖に直接行ったら、周囲にどんな被害が出るか分からない。

もちろん彼女自身が力を抑えることだってできるだろう。

だが地上に降りるリスクを考えると、絶対に光の女王の方が少ないはずだ。

どちらかが地上に行き、どちらかが天空島で留守番する。二人で役割分担するならば、前者を光の女王、後者を雷の女王がこなすのが最善なのだ。

「そしたら雷の女王、ここに三つ目の転移門を設置してくれ」

『分かったわ!』

レオニスの要請に、雷の女王は元気良く頷く。

そして両手を前に突き出し、転移門の魔法陣を作り上げて地面設置した。

二つ目の転移門は雷の女王が作ったので、二度目ともなればその動作にも余裕が感じられる。

雷の女王が転移門作りをしている間に、レオニスは空間魔法陣から操作用の石柱と魔石を取り出して設置準備をする。

転移門の地面設置が無事完了したのを確認し、早速レオニスが転移門のすぐ横に石柱をドカン!と置いた。

そして石柱の背面に魔石を収納し、操作画面を開いて何やらピコピコと動かしている。

「ここの名称を『天空島・地点C』にして……地点Aと地点Bを登録して……これでよし、と」

一通り作業を終えたレオニス。

今度は光の女王に声をかけた。

「よし、そしたら地上にいくために、ドライアドの泉に行くぞ」

『分かったわ。……雷の女王、ちょっとの間だけだけど、お留守番をよろしく頼むわね』

『任せて!……って、そしたら皆はどこの門に帰ってくるの?』

雷の女王にしばしの留守番を頼む光の女王に、雷の女王もまた力強く頷く。

そして何気なく彼女が発した疑問に、二人の女王の視線は自然とレオニスに向けられた。

「ン? ……ああ、地上からこっちに戻る門か? 畑の島だな。あっちではラウルとマキシが土を掘り起こす作業をしてるし、水の女王に泉を作ってもらわなきゃならんからな」

『そうよね!じゃあ私も畑の島で、皆が戻ってくるのを待ってるわ!』

「よろしくな」

ここで雷の女王と一旦分かれて、ライト達はドライアドの泉に向かっていった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

ユグドラエルのもとからしばし歩き、ドライアドの泉に到着したライト達。

泉の畔には、多数のドライアド達が戯れていた。

しかし、畔の周辺を見回してもウィカの姿が見当たらない。

はて、ウィカってばどこに行ったんだろ?と思いつつ、ライト達がキョロキョロと探していると、一番最初に見つけたのはレオニスだった。

「……ン? 泉の真ん中辺りで浮かんでるの、アレ、ウィカじゃね?」

「……あ、ホントだ」

レオニスの言葉に、ライトも泉の中央辺りを見る。

するとそこにはレオニスが言っていたように、一匹の黒猫がお腹を出してぷかぷかと浮いていた。

それはさながら水族館のラッコのような姿で、何とも気持ち良さそうに目を閉じて水面に浮かんでいる。

もしかして昼寝中だろうか。

とりあえずライトが水の上を歩き、ウィカのもとに近寄っていく。

この水上歩行は、ウィカから教わったものだ。

以前ライトがウィカに「どうやったら水の上を歩けるようになるの?」と尋ねたことがある。

それまでも、水の女王の加護のおかげで水の中でも普通に歩いたり呼吸もできるようになってはいたが、ウィカのように水の上を歩くことはできなかったのだ。

できればウィカのように、水の上でも歩けるようになりたい!と思っていたライト。そのコツをウィカに聞いたのだ。

そしてその時のウィカの答えは『水の上を『床だ!』と思えばいいんだよ!』であった。

ウィカ曰く、水面を床だと思えば地面を歩くのと同じように歩ける。床だと思わず水だと思えば、普通に水の中として動き泳げる。ということらしい。

ほとんど根性論のようにしか聞こえないが、ライトがそういうイメージでやってみると実際に歩けてしまった。

なので、ウィカの言うことは正しい。

ウィカのもとまで歩いていったライト。

水面でぷかぷか浮いているウィカに向かって「おーい、ウィカー、起きてるー?」と声をかけてみた。

すると、ウィカの閉じ目がすぐにいつもの糸目に変わり、ぴょこんと飛び起きた。

そして水の上にちょこんと座り、おすまし顔で口を開いた。

『ライト君、レオニス君、おかえりー!もう地上に帰るの?』

「ううん、ちょっと用事があって一旦地上に戻るんだけど、またすぐに天空島に戻らなくちゃいけないんだ」

『そなの? 忙しいんだねぇ』

「うん」

ライトとの会話中に、ウィカがふぁぁ……と口を開けて欠伸をする。

そんなウィカを見て、ライトはウィカに問うた。

「ウィカはお昼寝してたの?」

『うん!僕、目覚めの湖以外の水場でお昼寝なんてしたことないんだけど。何だかこの泉は特別というか、他と違って気持ち良いんだよねー♪』

「そっか。お昼寝中に起こしちゃってごめんね」

『ううん、いいよいいよー、全然そんなことないからキニシナイ!でねー』

水の上で前足と背中をグググ……と伸ばしながら、ライトと会話を続けるウィカ。やはりドライアドの泉で昼寝をしていたようだ。

しかし、ウィカが目覚めの湖以外の水場で寝るのは非常に稀なことらしい。

このドライアドの泉は、何代か前の水の女王が作ったものだという。ウィカもそれを無意識のうちに感じ取っているのだろうか。

『てゆか、レオニス君の横にいるのは、光の女王さんだよね? 光の女王さんも地上に行くの?』

「うん。光の女王様にも、地上に来てもらう必要があるんだ」

『そっかー。光の女王さんもお外にお出かけすることあるんだね!』

糸目笑顔でニッコリと笑うウィカ。

そんなウィカに、光の女王も微笑みながら声をかける。

『水の精霊ウィカ、地上への移動よろしくお願いしますね』

『オッケーオッケー、任せてー♪』

光の女王の優しい言葉に、ウィカの糸目笑顔もますます輝く。

ウィカが昼寝から起きたことで、地上に戻る準備が整った。

ウィカがライトと手を繋ぎ、ライトはウィカとレオニスと手を繋ぎ、レオニスが光の女王と手を繋ぐ。

一つに繋がったライト達は、ウィカの先導によりドライアドの泉にとぷん……と消えていった。