軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第869話 ドライアド達の同族認定

ラグナロッツァの屋敷の浴室から、ウィカとともに天空島のドライアドの泉に移動したライト達。

そこにはたくさんの三頭身の幼女達———ドライアドがゴロゴロと寝転がっていた。

『あッ、ラウルだー!』

『マカロンのお兄さんー!』

『ネコちゃんもいるー!』

『キャー、遊ぼ遊ぼーーー!』

ラウルを見つけたドライアド達。それまでのんびりと寝転がっていたのに、急にガバッ!と起き上がる。

ドライアド達がわらわらと大勢集まり、目を輝かせながらラウル目がけて一斉に突進していった。

ラウルの頭や顔はもちろんのこと、首から肩から腕からあらゆる身体の部位にドライアドがへばりついていく。それはまるで、木登りのために木にしがみつく小猿のようだ。

そしてドライアド達が何処からともなく集まり続ける。ドライアド達が口々に『皆ー!ラウルが来たわよー!』と叫んで他の仲間達に知らせているせいか。

湧き出る泉の如く、数多のドライアド達がラウルに群がり続ける。

その結果、あれよあれよという間にラウルはすっかりドライアド 塗(まみ) れになってしまっていた。

「………………」

「おチビちゃん達、すまんな。うちのラウルが埋もれて窒息しちまうから、全部剥ぎ取るぞー」

「ドライアドさん達、ごめんねー」

『『『キャー☆』』』

ドライアドに埋もれて、全く身動きが取れなくなったラウル。ただただその場で棒立ち状態となり、無言のまま立ち尽くす。

そんなラウルを救出すべく、ライトとレオニスが大木に群がる小猿状態のドライアドを一体づつペリッ☆と剥がしては、空中にポイポイ、ポイー、と放り投げていく。

放り投げられたドライアド達も、キャーキャーと笑いながら空中を浮遊していて実に楽しそうである。

そんなことをしている間に、空から突如誰かが現れた。

ライト達の目の前に現れたのは、天空島警備隊隊長であるパラスだった。

「おお、誰かと思ったら、勇敢なる人族の英雄達ではないか!」

「あッ、パラスさん!こんにちは!」

「よう、パラス、久しぶり」

「皆久しぶりだな。そして妖精族の英雄は、今日もドライアド塗れなのか?」

「………………」

ライト達のもとにふわりと舞い降りた天使パラス。上機嫌な声で、ライト達と再会の挨拶を交わす。

そして未だに腰から上がドライアド塗れのラウルを見て、パラスがクスクスと笑う。

「ドライアド達よ、あまり客人に迷惑をかけてはいけないぞ?」

『ダイジョーブ、ダイジョーブ!私達が迷惑をかけたことなんてないもん!』

『そうよそうよ!それにラウルはね、私達と同じで木から生まれた妖精なのよ!』

『精霊と妖精、種族は多少違えど私達は仲間。同族も同然なんだから!』

『私達が迷惑だなんて、そんなことラウルが思うはずないじゃなーい!ねー、ラウル?』

「………(コクコク)………」

クスクスと笑いながら、ドライアドの除去作業に加わるパラス。

慣れた手つきでドライアドをラウルから剥がしては、ポポイのポイー、と空中に解き放つ。その剥がすスピードは、ライトやレオニスの倍以上は早い。

さすが天空島の警備隊隊長を務めるだけあって、いたずらっ子の扱いも達人級である。

一方のドライアド達は、すっかりラウルを気に入り同族認定する程懐いている。

『私達、仲間よね!』と話しかけてくるドライアドに対し、ラウルは無言ながらもコクコクと首を縦に振り首肯する。

ちなみにラウルが無言なのはシカトしているのではなく、ただ単に顔も口もまだドライアドに塞がれていて声が出せなかっただけである。

そして全てのドライアドを剥がし終え、パラスが改めてライト達に話しかけた。

「今日は皆、何用で参ったのだ?」

「まずは俺とライトとマキシの三人に、ドライアドの加護をもらえるようにお願いしにきたのと、後はエルちゃんの顔を見たり、女王達と邪竜の島の討滅戦の話をしたりかな」

「何やらいろいろと用事があるのだな」

「ああ。……あ、あと、ヴィーちゃんとグリンちゃんにも美味しい野菜を届けにきた」

「おお!それはヴィー様達だけでなく、女王様方もお喜びになられるであろう!」

ライト達の今日の用向きを尋ねたパラス。

レオニスの答えに、顔を綻ばせながら喜んでいる。

「先日お前達からご馳走された、地上で作ったという野菜。ヴィー様もグリン様も、大層お気に召されたようでな。もとから艶やかだったお身体がますます美しく輝くようになり、それはもうご機嫌であった」

「そうか、それは何よりだ」

「特にあの、トウモコロシ?という黄色い品がお気に入りらしくてな。女王様方も『あれをこの天空島で育てることはできるかしら?』と話し合いをしておられたくらいだ」

「そ、そんなにか……」

前回ライト達が天空島を訪問したのは、今から約一ヶ月ほど前のこと。

その時に、神樹襲撃事件で大活躍してくれたヴィゾーヴニル達への御礼として、ラウル特製の巨大野菜を振る舞った。

トウモロコシやニンジン、枝豆などのたくさんのカタポレン産巨大野菜。ラウルが次々と繰り出すご馳走を、神鶏達それはもう美味しそうにものすごい勢いで食べていた。

その時の様子がつい昨日のことのように、皆の脳裏に思い出される。

しかし、巨大野菜をたらふく食べた神鶏達だけでなく、光の女王と雷の女王まで気に入ったとは予想外だ。

しかも天空島での野菜栽培まで検討しているとは、想定の範囲外もいいとこである。

もしかしたら、近い将来この天空島に巨大野菜畑が出現するのかもしれない。

パラスから話を聞いたレオニスが、ラウルに向かって声をかけた。

「……ま、そこまで気に入ってくれたってんなら、それはそれで嬉しいことだな。たくさんの野菜をご馳走した甲斐があったってもんだ、なぁ、ラウル?」

「ああ。今日もヴィーちゃん達のためにトウモロコシを持ってきたし、それ以外の新しい野菜も持ってきたからな。パラス、また後で振る舞いに行く、とヴィーちゃんや女王達にも伝えておいてくれ」

「おお、そうか!では早速お伝えしに行くとしよう!」

パラスがラウルの言葉に大喜びしつつ、早速翼を広げてふわりと宙に浮いた。

どうやらラウルの話を早速女王達や神鶏達に伝言しに行くようだ。

空に浮いたパラスがはたと止まり、振り返りながらレオニスに向かって改めて確認する。

「お前達はドライアド達の加護をもらうために、しばらくここに留まるのだよな?」

「ああ。それが終わってからエルちゃんや女王達のところに行くつもりだ」

「エル様と神殿、どちらを先に訪ねるのだ?」

パラスの問いかけは、ドライアド達のところで用事が済んだら、次はどこに行くのだ?というものであった。

これまでライト達は、様々な要因を経て天空島の面々と親交を得ている。もちろんパラスとも今ではすっかり気楽に話せる仲だ。

だがしかし、パラスは天空島の警備を担う立場にある。

いくらライト達が天空島の皆とも親しい客人とはいえ、動向予定を把握しておきたいと思いそれを尋ねるのは当然のことである。

職務に忠実なパラスの問いに、レオニスは顎に手を当てつつ考えながら答える。

「そうだなぁ……ヴィーちゃん達って、基本的にいつもエルちゃんの天辺に座ってるんだよな?」

「ああ。もちろん今もエル様のもとにおられる」

「なら、エルちゃんの方を先に訪ねよう。エルちゃんのところで話が終わったら、ヴィーちゃん達といっしょに神殿のある島に行く。それでいいか?」

「承知した。ではそのように、女王様達にもお伝えするとしよう」

レオニスからの返事を得たパラスが、一際大きく翼をはためかせて上空に飛び立つ。

そして天空神殿と雷光神殿、二つの神殿が建っている島がある方向に飛んでいった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

パラスが飛び去った後、レオニスは周りにいるドライアド達に声をかけた。

「さて……そしたらドライアド達に早速頼みがあるんだが」

『えー、何ナニー?』

「前にラウルに授けた【ドライアドの加護】。それを俺とライト、そしてマキシの三人にかけてもらいたいんだが。三人分の加護をつけてもらえることは可能か?」

本日の目的の一つである『ドライアドの加護をもらう』の交渉に入るレオニス。

レオニスの話を聞いたドライアド達は、互いに顔を見合わせながらウフフ♪と笑う。

『もちろんできるわよー』

『それくらい、朝飯前のちょちょいのちょいー、よねー!』

『『『ねーーー☆』』』

ライト達の周りをくるくると飛び回りながら、きゃらきゃらと笑うドライアド達の何と愛らしいことよ。

しかし、彼女達はただ愛らしいだけの存在ではない。明るく笑いながら、ドライアド達も利益を得るための交渉に入る。

『でもー。三回分もの加護をつけたら、きっとすっごく疲れちゃうと思うのよねー』

『『『ねーーー!』』』

『でもって、すっごく疲れちゃったら、ものすごーくお腹も空くと思うのよねー』

『『『ねーーー!』』』

『だからぁー、いーっぱい頑張ったらぁー、その分いーーーっぱいご褒美を欲しいなー!』

『『『欲しいなーーー!』』』

ドライアドの一人が何かを言うと、他のドライアド達もそれに続いて唱和しつつ賛同する。

彼女達は、ライト達に向かって具体的に何をどうしろとは一切明言していない。だが、ドライアド達が何を要求しているのか、ライト達は瞬時に理解していた。

要は『いっぱい頑張る代わりに、美味しいご褒美をちょうだい!』ということである。

「もちろんドライアド達への御礼だって用意してあるぞ。なぁ、ラウル?」

「ああ。皆の大好きなマカロンを、今日のこの日のためにたくさん作ってきた。後で出すから、皆でいっしょに食べよう」

『『『ヤッターーー♪』』』

レオニスとラウルから望みの回答を得たドライアド達が、両手を上げて万歳している。

ドライアド達の大好物である、ラウル特製のマカロン。作って用意するのは全てラウルの仕事だが、レオニスとて何もしていない訳ではない。

十何種の味があり、総数が何百個にもなるマカロン。その材料費は全て、レオニスが負担しているのだ。

労使交渉は無事円満に解決し、人族代表から希望の報酬を引き出して花咲く笑顔のドライアド達にレオニスが改めて頼み込む。

「じゃあ早速だが、皆の加護をつけてもらっていいか?」

『いいわよー!誰からやるのー?』

「まずは俺が受けて、その次にライト、ライトの次はマキシで頼む」

『『『はーーーい!』』』

レオニスの依頼を快く引き受けたドライアド達。

早速レオニスの周りに集まり、手を取り合って輪になっていった。