軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第85話 食堂とクラーケンのお味

午前の授業が終わり、お昼の時間になった。

ライトは1年A組の同級生達全員に連れられて、食堂に向かう。

ちなみに、1年A組の生徒はライトを含めて20人だ。その20人が、ぞろぞろと連れ立って食堂に歩いていく。

教室から食堂まで移動する間に、食堂におけるシステムや暗黙のルールなどを教えてもらうライト。

昼食は生徒用の食堂に移動し、その日のメニューの中から食べたいものを注文して各自席を確保して食べるのだという。

メニューといっても六種類で、値段が高いもの、普通のもの、安いもの、それぞれ二種類、計六種類という区分らしい。実に分かりやすく、シンプルなシステムだ。

メニューこそ少ないが、毎日入れ替わるので飽きる心配がほとんどなさそうというのも、実に良い点だとライトは思う。

また、食べる席の位置も明確に分けられている訳ではないが、貴族エリア、平民エリア、混合エリアが何となーく、ある、らしい。

ライトに言わせれば、そんなもんめんどくさい、全部混合エリアにしちまえばいいやろがえ!と思うのだが、貴族や平民という身分格差が社会構造として認められている以上、そんな簡単に混ざれるものでもないのだろう。

とはいえ、今では貴族と平民そこまで険悪ではないので、大体は混合で食事をするという。

食事代金は、月末に一括払いするらしい。

食事を注文し、受け取る際に所定の装置にカードを翳せばメニューの金額分が記録されるのだという。その合計額を月末に請求される、という仕組みだ。

まずは入学時の諸々の手続きの中に、このカード作成も含まれている。生徒一人一人に、個人の名が刻まれたカードのようなものが支給される。

これはライトも既に作成済みで、指紋認証によりカードの名義本人でなれけば読み取り不可な仕様なので、悪用される心配もなさそうだ。

ちなみにメニュー記録カードを忘れると、その日の昼食は抜きということになる。紛失したら、所定の手続きを経て再発行しなければならない。

だが、この記録カードは本人以外の他人には使えないため、教室内に置きっぱなしの子も多いらしい。

そこまで説明を受けていると、ライト達一行は食堂に到着した。

食堂は初等部と幼等部合同で利用するそうで、中等部と高等部はまた別の施設を使うようだ。ライトよりもっと小さな子、おそらく幼等部の子だろう集団もかなり見受けられる。

ライトは皆とともに、入口にある立看板の本日のメニュー一覧を見た。

『A:赤毛暴走牛のサイコロステーキ』

『B:地平線クジラのムニエル』

『C:山岳シャモのからあげ』

『D:クラーケンフライ』

『E:角兎のうす切りしょうが焼き』

『F:ウロコトカゲの炒めもの』

ABはお高い系、CDは普通、EFはお安い系の値段である。

まぁ名前からしてそれっぽいが、クラーケンて中級素材なんだな。どんな味だろう、イードより美味しいのかな?

かつて食べたイードのお味と比べてみたくなったライトは、Dコースにした。

受取口でカードを翳し、食事を受け取るライト。

メインメニューの他に、パンと飲み物、ちょっとしたデザートがついている。

デザートは果物、飲み物はどうやら例のぬるぬるドリンクのようだ。真っ赤な色をしているので、おそらくは赤いぬるぬるのトマト味と思われる。

というか、ぬるぬるドリンクって本当に普及してるのね。

これの原料がスライムだってこと、皆知ってんの?偉い人達やお貴族様も普通にゴクゴク飲んでるの?ライトはぬるぬるドリンクを見る度に、いつもそう思う。

でもまぁ、そこら辺牛乳なんかと比べて一体何が違うんだ?と問われれば、大差ない気もしてくる。冒険者ギルドの売店でも名物として好評販売しているし、名門学園の食堂でも出しているくらいなんだから、何の問題もないのだろう。

やはりこういうことは、考えた方が負けなのだ。キニシナイ!……でもやはり、気になるものは気になるのだけど。

同級生達が陣取る混合エリアに移動し、席について各自昼食を食べ始めるライト達。

ライトも早速、クラーケンフライに齧りついた。

なかなかにジューシーで、味もそこそこ良い方だとは思ったが、イードのお肉と比べるとやはりイードの方が断然美味しかった。

何でだろう、やっぱり鮮度の問題かしら?

1年A組全員昼食を食べ終え、各自食器を所定の位置に下ろしていく。昼食後は、午後の授業が始まるまで自由時間だ。

校庭に出て遊んだり、教室に戻っておしゃべりしたり、図書室で本を読んだりと、様々な過ごし方がある。

では、ライトは何をして過ごしたいかといえば、やはり図書室一択である。

この世界、何しろ書籍類はお高いからね!図書室でタダで読めれば、それに越したことはないのだ!

ライトは食事中の会話で、同級生達に既に聞いていた。

「ぼく、お昼休みは図書室にいってみたいんだけど、誰か図書室行く人はいる?」

「えー、お昼休みに図書室行くのー?」

「ライト君て、ホントに真面目なんだねぇ」

「皆外で遊んだり教室でおしゃべりしてるから、図書室行く子はほとんどいないよー」

「あ、そうなんだ。どうしよう、図書室の場所だけでも知りたいんだけど……」

ライトが困惑していたその時、突然ライトの背後から声をかけられた。

「ライト君、よければ僕が図書室に案内しようか?」

その声に振り向くと、そこには昨日理事長室から職員室まで案内してくれた、中等部生徒会会長のジョルジュ・ミラネージがにこやかに立っていた。

同級生は一様にぽかーん、と口を開けたままその光景を見ていた。

「あ、ミラネージさん、こんにちは。では、今日も案内でお世話になってもいいですか?」

「もちろんだよ」

「じゃあ、お願いします」

ライトは急いで残りのクラーケンフライを食べて、急いで食器を下ろしてジョルジュのもとに戻る。

「それじゃ、図書室に行こうか」

「はい、よろしくお願いします」

二人は食堂を出て、図書室に向かった。

そのやり取りをずっと見ていた同級生達は、停止した時間が再び動き出したように、ハッ!と我に返った。

「え、ちょ、今の何、あの人、誰?」

「俺達初等部の人間じゃないよな?背ぇ高かったし」

「あれ、中等部の人じゃない?」

「中等部の生徒会会長よ。私のお兄様が中等部の生徒会に入ってて、会長ともお友達だからうちにも何度か遊びにいらしたこともあるもの」

「「「「「えええええーーーっ」」」」」

同級生達は一様に驚きの声を挙げた。

そうなるのも無理はない。昨日途中入学してきたばかりの転入生のために、中等部の生徒会会長がわざわざ様子を見に初等部の食堂まで来ることが異例中の異例なのだ。

「何かよく分かんないけど、ライト君てすごい子……なのかなぁ?」

同級生達は、ライトと過ごすのはまだ二日目ということもあり、よく分からないまま、うーーーん……と唸りながら二人の背中を見送るしかなかった。