軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第598話 使い魔だよ、全員集合!

ラグナロッツァの屋敷でレオニス達と昼食を摂ったライト。フォルとともに、一旦カタポレンの森の家に戻る。

先程のラウルの問いかけには『午後はフォルといっしょに、カタポレンの森の散策に行く!』と答えておいたが、もちろんそれは 方便(ウソ) である。

今日は転職神殿にいるミーナに、彼女の先輩使い魔である幻獣カーバンクルのフォルや、水の精霊ウィカチャのウィカを連れていき会わせるのだ。

一旦カタポレンの森の家に戻ったのはそのためである。

ライトは浴室に行き、水が張られている浴槽に向かってウィカの名を呼びかける。

するとウィカは主であるライトの声を聞き取り、目覚めの湖から瞬時にライトのもとに駆けつけてきてくれる。

浴槽の水面に空気の泡が一つ二つ、ポコポコと浮かび上がった後に水面からウィカが現れた。

「うなぁーん♪」

「こんにちは、ウィカ。昨日はお疲れさま」

「にゃうにゃう」

「今日はぼくの新しい使い魔、フォルやウィカの後輩の子達を紹介したいんだ。今日もぼくといっしょに、お出かけに付き合ってくれる?」

「うにゃッ♪」

ライトの問いかけに、ウィカはいつもの糸目の笑顔で応える。

ライトとウィカは昨日の目覚めの湖で散々遊んだばかりだが、今日も主のお出かけ要請に快く応じてくれるようだ。

ライトはフォルやウィカとともに自室に戻り、転職神殿へと瞬間移動していった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

『主様、こんにちは!』

『ライトさん、こんにちは。ようこそいらっしゃいました』

『あるじさま、こんにちは!』

転職神殿に瞬間移動したライト達を、ミーアとミーナ、そしてルディが早速出迎えた。

ヴァレリア製魔法陣の上に立つライトのもとに、ミーナが一目散に駆け寄ってくる。天使なので、文字通りその美しい薄桃色の翼で飛んでいる。

ルディもミーナに負けじとばかりに、空中を浮遊しつつ駆け寄る。

ミーアはミーナに少し遅れて、静々とライト達のもとに来る。

移動の様子一つ取っても、三者の性格が滲み出ているようだ。

「ミーアさん、ミーナ、ルディ、こんにちは。今日は約束通り、ミーナとルディの先輩達を連れてきました」

『主様、約束を守ってくださってありがとうございます!』

『その白いふわふわなお方と黒猫さんが、ミーナより先にお生まれになられた使い魔の先輩さん、なのですか?』

『兄たまと、姉たま?』

ミーナはライトに礼を言い、ミーアは新たな客に早速着目している。

フォルはライトの右肩に乗り、ウィカはライトの頭上にちょこんとおすわりしている。

ライトはフォルとウィカを手で手繰り寄せ、二匹を腕の中に抱えて抱っこした。

「はい。この子が一番目の使い魔で、カーバンクルのフォル。二番目の使い魔はウィカ、見た目は黒猫ですがウィカチャという種族で水の精霊です」

「フィィィ」

「うにゃッ」

ミーアとミーナに早速フォル達を紹介するライト。

その紹介に合わせるように、フォルとウィカがにこやかな笑顔で鳴く。

二者の愛らしい姿に、ミーナはもちろんミーアもルディもふるふると身体を震わせて感動している。

『フォルお姉様に、ウィカお兄様……何と愛らしい御姿なのでしょう!』

『本当に可愛らしいですねぇ』

『フォル姉たま、ウィカ兄たま……』

「……ン? フォルはお姉ちゃんで、ウィカはお兄ちゃん、なの?」

『はい!』『あい!』

ミーナとルディが、打ち合わせをした訳でもないのに二者ともフォルを姉、ウィカを兄と呼んでいることに気づいたライト。

そこを問い質してみると、二者とも強い確信を以って答える。

フォルとウィカ、見た目だけでは雌雄の判別など全くつかないのだが、使い魔同士では何か通じ合うものがあるのだろうか。

「あー、そういえばフォルとウィカのステータスって、今まで一度も見たことないな……ステータス見れば性別も分かるし、ちょっと見てみよっと」

ここでライトははたとステータスの存在を思い出す。

見た目ではさっぱり分からないフォルやウィカの性別も、ステータスを見れば判明するはずだ。

ライトは早速『アナザーステータス』でフォルとウィカのステータスを鑑定した。

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【名前】フォル

【種族】カーバンクル

【レベル】58

【属性】風

【状態】通常

【特記事項】従属型使役専属種族第十五種乙類

【HP】2320

【MP】2900

【力】174

【体力】174

【速度】464

【知力】232

【精神力】290

【運】580

【回避】464

【命中】348

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【名前】ウィカ

【種族】ウィカチャ

【レベル】62

【属性】水

【状態】通常

【特記事項】従属型使役専属種族第二十一種甲類

【HP】1860

【MP】3720

【力】248

【体力】310

【速度】432

【知力】310

【精神力】432

【運】372

【回避】496

【命中】310

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「あ、ホントだ。フォルは乙類で女の子、ウィカは甲類で男の子だ」

『ですよね!フォルお姉様とウィカお兄様で正しいですよね!』

フォルとウィカのステータス、その中の特記事項を見て初めて彼らの性別を知ったライトが感心したように呟く。

それまでライトは、フォルやウィカの性別など特に考えたこともなかった。だがミーナやルディのステータスを見れたことにより、使い魔の雌雄の判別も可能なことが分かったのだ。

手乗りサイズの神獣型のフォルと、見た目黒猫のウィカ。どちらももふもふ系で、雌雄関係なく愛らしい姿をしている。

だが、フォルは女の子、ウィカは男の子、と改めて知ると何となく「ああ、そんな感じはするな」と思えてくるから不思議なものだ。

『フォルお姉様、ウィカお兄様、初めまして。私は主様の三番目の使い魔である、力天使のミーナと申します。同じ主様を戴く者として、以後お見知りおきくださいませ!』

『フォル姉たま、ウィカ兄たま、ぼくはルディです。あるじ様の四番目の使い魔です。よろちくお願いいたちます』

『フォルさん、ウィカさん、初めまして、こんにちは。私はこの転職神殿を預かる巫女、ミーアと申します。ライトさんの使い魔ではありませんが、私とも仲良くしていただけたら嬉しいです』

ライトがふつふつと思考している間に、ミーナとルディ、ミーアがそれぞれフォルとウィカに向かって自己紹介している。

特にミーナとウィカは先達への挨拶とあって、恭しく頭を下げている。

転職神殿組の自己紹介が終わると、フォルとウィカはライトの腕からスルッ、と抜け出して、ミーナ達のもとに駆け寄る。

フォル達から順番に、頬ずりという親愛の挨拶を受けるミーナ達。先輩達の強烈な頬ずりパワーに、皆ノックアウト寸前だ。

『はわわわわ……な、何て畏れ多くも可愛らしい……』

『兄たまも姉たまも、ぼくより小さいのにとっても 強(つお) い……』

『このふわふわ感、尊いですね……』

ミーナとルディは同じ使い魔だからか、他者のステータスは見れずともそのレベルの高さや強さは何となく分かるようだ。

ヨロヨロと蹌踉めくミーナ達を見て、ライトが慌てて提案する。

「あ、え、えーと、こんなところでずっと立ち話も何ですし!いつものように、皆でお茶会しましょう!」

『そ、そうですね、ライトさんの言う通りですね』

『お姉様やお兄様とお茶会……いいですね!』

『皆でお茶会、嬉ちい!』

「キュゥゥゥ♪」

「うにゃっ♪」

ライトの提案に皆嬉しそうに賛同する。

早速ライトは神殿跡地の床に敷物を敷き、お茶会の準備をしていった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

『へー、フォルお姉様は十五番目の種族で、ウィカお兄様は二十一番目なんですねぇー』

「そうなんだー。フォルはカーバンクルという幻獣で、ウィカはウィカチャという水の精霊なんだよ」

『幻獣に精霊……私は使い魔システムのことは全く分かりませんが、たくさんの珍しい種族がいるのですねぇ』

「はい。ミーナの力天使が三十七番目で、ルディの黄金龍が三十九番目で、それよりもっと後に追加された種族もいるかも」

転職神殿内でお茶会を始めたライト達。

今日もライトが出したスイーツや飲み物を、皆でのんびりと飲み食いしながら会話をしている。

特に使い魔達は初顔合わせということもあり、殊の外フォル達に会いたがっていたミーナの興味は尽きない。

転職神殿巫女であるミーアも、使い魔システムに興味津々のようだ。

『主様、そしたら使い魔の卵がもっとあれば、他の種族にも会えますよね? これからもっともっと卵を孵化させていくのですか?』

「うん、それはそうなんだけど……孵化させても、住まわせるところがないとね……」

『そうですねぇ、ライトさんには人族としての生活もありますものねぇ』

ミーナの期待に満ちた瞳に、ライトは申し訳なさそうに答える。

「フォルは一番最初に孵化させた子で、サイズが小さいのもあってぼくと暮らしてて、ウィカは水の精霊だから目覚めの湖に住んでもらってるんだ。ミーナとルディは転職神殿でミーアさんとともに過ごしてもらってるけど、これ以上ここに使い魔を置いてもらうのも気が引けるというか……多分かなり手狭になると思うんですよね」

『確かに……ミーナはともかく、ルディは龍族だからこれからもっともっと大きくなるでしょうし』

ライトの懸念に、横で聞いているミーアも都度同意する。

実際この転職神殿は、敷地的にはさほど広くない。

ライトとしても、今以上に使い魔を増やしてここに押し付けるのもさすがに気が引けるようだ。

『主様、そしたらフォルお姉様やウィカお兄様のように、身体が小さめの種族とかは選べないのですか?』

「ンーーー……使い魔の種族って四十種類近くあるみたいだし、与えるご飯によって出てくる種族が変わることまでは分かってるんだけど……どのご飯を与えれば何が生まれるのかとか、ぼくにもまだよく分かってないんだよね」

『そうなんですかぁ……複雑で難しいシステムなんですねぇ』

ミーナの案を、やんわりと否定するライト。

今のところ、使い魔の種族に関して判明しているのはフォル他四種族のみ。

ご飯=餌もなるべく単一のものを与えるのが望ましいとされている、ということしか分かっていない。

ライトのゲーム知識では、使い魔が三十種類くらいいたところまでは覚えている。だが、このサイサクス世界では与える餌などの条件も変化してるし、追加の新種族もかなりいるようなので、ライトの知識だけでは覚束ないのが実情だ。

かと言って、孵化方法が分かっているカーバンクルやウィカチャの二体目、三体目と同じ種類を増やしても、それはそれで芸がないというかつまらない。

どうせなら全く違う種族に孵化させたい、と思うのがライトの偽らざる心情である。

それに、かつてのゲームのようにやたら孵化させたところで、今のライトには手に余るのは目に見えている。

孵化させたら、居場所の確保はもちろん、食事のことだってできる限り世話をしてやりたい。卵から孵すだけ孵して後はそのまま放置、なんて無責任なことは絶対にしたくなかった。

「でも……ホントはぼくも、たくさんの使い魔の子達と会いたいんだけどね。何とか新しい居場所を作ることができるよう、これから探してみるね」

『私も何か良い方法がないか、一生懸命考えてみますね!』

「ありがとう、ミーナ。……さ、難しい話はここまでにして、今は皆で楽しくお茶しましょう!」

努めて明るい声で、ライトが話を切り替える。

ここで使い魔システムのことをずっと論議しても、おそらく良い案はすぐには出てこない。

ならば、ライトが孵化させた四体の使い魔全員が初めて揃った今は、楽しく過ごすことに専念しよう。ライトはそう思ったのだ。

『そうですね、せっかくフォル姉様やウィカ兄様にこうしてお会いできたんですもの、たくさんお話したいです!』

『ええ、私達のこともフォルさんやウィカさんに知っていただきたいですしね』

『皆でおやつ!楽ちい!』

「キュウキュウ」

「うななぁーん」

ライトの言葉に皆賛同する。

そうしてライト達は再び美味しいスイーツを食べながら、話に花を咲かせていくのだった。