軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第586話 宇宙一賢い天才

ライトの四番目の使い魔、黄金色の龍。

名前もライトが挙げた『ルディ』に目出度く決まったところで、次の観察に入る。

『ルディはいつか会話できるようになるでしょうか?』

「ンーーー、それは分かんないですねぇ……まだ生まれたばかりですし、しばらく様子を見てみないと何とも」

ミーアの問いかけに、ライトは明確な答えを返せない。

力天使のミーナは最初から人型だったせいか、生まれた直後から普通の会話ができた。

だが、神獣系である龍の場合はどうなるか全く分からないし、予想もつかない。

ライトの前世の知識では、龍は知性ある高貴な生き物として描かれることが多かった。なので、いずれは会話もできるようになるんじゃないかなー、とはほんのり思うものの、現時点でミーアに提示できるような確証は一切ない。

故に、しばらく様子見しよう、としか言えなかった。

するとここで、ミーナがライトに問うてきた。

『ところで主様。私は使い魔としては三番目で、ルディは四番目なのですよね?』

「ン? そうだよ、それがどうかしたの?」

「私より先に生まれた兄姉、一番目と二番目はどんな御方なのでしょう? 実は前々からずっと、そのことが気になってまして……」

「ぁーーー、そうだね……そういやまだここには、一度も他の使い魔の子を連れてきたことはなかったね」

ちょっぴりモジモジしながら、ライトに己の兄姉の存在のことを切り出したミーナ。

確かにミーナからしてみたら、自分以外の使い魔のことが気になるだろう。どういう種族で、どんな見た目なのか、同じ使い魔の先輩という存在が気にならないはずがない。

特にミーナは今日孵化させた卵のことをずっと弟妹と呼び、会える日を心待ちにしていた。

兄弟姉妹に対する想いが人一倍強いミーナのこと、きっとフォルやウィカにも会いたくて仕方がないのだろう。

「そしたら今度、他の使い魔の子達もここに連れてくるよ」

『ホントですか!?』

「うん。むしろ今まで気づかなくてごめんね。ミーナもずっと会いたかったんでしょ?」

『はい!私にとって、二番目と三番目のお兄様かお姉様ともお会いしたいです!』

ミーナにそう言われるまで、全く気づかなかったことを詫びるライト。

そしてミーナは、自分より先に生まれた使い魔のことを『二番目と三番目のお兄様お姉様』と言った。

これは、一番目の姉はミーアであることを指し示していた。

ミーナの生まれたその日に、ライトの指示によりミーアを姉と仰ぐこととなった。

いつも自分の傍にいて、常に深い愛情をもって接してくれるミーア。

彼女の存在はもはやミーナの中で、主であるライトと同等に思えるくらいに大事な人となっていた。

そしてそんなミーナの想いを、ライトもミーアも瞬時に理解する。

ミーアはミーナの頭を優しく撫でながら、いつものように静かに微笑む。

『そうですね。私もミーナのお兄様とお姉様に、是非ともお会いしたいです』

『どちらも主様が孵化させたのだから、きっとミーアお姉様と同じくらいとても優しくて、立派で素敵なお兄様お姉様だと思います!』

「近いうちに連れてくるから、ミーアさんもミーナも楽しみに待っててね」

『『はい!』』

ライトとの新たな約束に、ミーアもミーナも花咲くような笑顔で嬉しそうにしていた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

その後はいつものように、お茶会と洒落込むライト達。

お茶会と言っても、実質的にはルディのレベル上げ観察なのだが。

とはいえ、先週のヴァレリアとのお茶会にてだいぶ手持ちの食べ物を消費してしまったライト。今日はあまりたくさんの食べ物を出してあげられそうにない。

それでも何とかいくつかのスイーツを出して、早速ルディに振る舞うライト。

ラウル特製のクッキーやミートパイなどを、ミーアやミーナにも渡しながらルディに与えていく。

「ルディ、美味しいクッキーだよ、どうぞ!」

『ルディ、こちらのミートパイもものすごく美味ですよ』

『主様がくれるご飯やおやつは、それはもうすっごく美味しいのよ!』

『♪♪♪』

三人が勧めてくる食べ物を、言われるがままに食べていくルディ。

ラウル特製スイーツだけあって、ルディも実に嬉しそうに食べている。ルディにとってもラウルのスイーツは美味しく感じるようだ。

そうしていくつか食べていくうちに、ルディの細長い身体が少しづつ大きくなっていっている気がするライト。

使い魔が拾ってくる食品類と比べると、その他の食物から得る経験値は少ないはずだが、それでもちゃんと食物からの経験値はそれなりに入っているようだ。

その変化を確かめるべく、早速ルディのステータスを見てみることにしたライト。

『アナザーステータス』を発動し鑑定した。

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【名前】ルディ

【種族】黄金龍

【レベル】3

【属性】光

【状態】通常

【特記事項】従属型使役専属種族第三十九種甲類

【HP】180

【MP】90

【力】24

【体力】18

【速度】15

【知力】15

【精神力】12

【運】21

【回避】18

【命中】18

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「おお、レベル3に上がってる!しかも名前のところもちゃんと『ルディ』ってなってる!」

『名前もちゃんと記載されているのですね!』

『もうレベル3だなんて!やっぱりルディはすごい子ですね!』

ライトの鑑定結果を聞き、ミーアもミーナもすっかり姉バカモードに突入している。

キャッキャウフフとはしゃぐ姉妹に、ライトもついつい微笑みが溢れる。

すると、それまでスイーツを頬張っていたルディが、口のなかのものをゴクン、と飲み込んだ後ににこやかな笑顔になる。

『あうじたま、ねえたん、とってもおいちい、ありあと』

「『『……ッ!!!!!』』」

何と、先程生まれたばかりのルディが喋ったではないか!

かなり舌足らずな発音だが、それは生まれたばかりの赤ん坊が発する言葉と思えば当然のことだ。

しかも、生まれて初めて発した言葉が美味しい食べ物への御礼とは、何と賢くて礼儀正しい子だろう。

ミーアとミーナの姉バカモードのみならず、ライトの親バカモードも見事に炸裂した。

「ルディ!もう言葉が話せるようになったんだ!すごい!」

『やはり龍だけあって、世界一賢い子ですね!』

『ミーアお姉様、世界一どころではありません!宇宙一賢い天才です!』

『?????』

ライト達のはしゃぎように、褒めちぎられている当のルディは何のことやらさっぱり分からず、不思議そうな顔をしている。

「これはレベルアップしていけば、もっともっと賢くて強い子になるね!」

『主様!私、これからお使いで拾ってきた食べ物は、全部ルディにあげることにします!』

「よし、ぼくもルディが食べられる美味しいものをいっぱい用意しよう!……あ、ミーナの分もちゃんと用意するからね!」

『では私は、ルディに言葉を教えましょう。私にはライトさ達んのように、食べ物を用意してあげることはできませんが……私も何か、ルディにできることをしてあげたいです』

ルディのレベルアップや成長に、とても期待する三人。

食べ物を用意できるライトやミーナだけでなく、ミーアも言葉を教えることでルディの成長を手助けしたいと言う。

転職神殿の外に一歩も出られないミーアだが、ルディの姉として弟の成長に貢献したい!という気持ちは誰にも負けないようだ。

その熱く滾る想いに、ライトもミーアもとても嬉しくなる。

「そうですね!ミーアさんに教養面で補佐してもらえれば、すっごく助かります!」

『ミーアお姉様にお勉強を教えてもらえれば、ルディの賢さは盤石にして無敵ですね!』

『そ、そんな大袈裟な……二人とも、あんまり持ち上げ過ぎないでください……』

大喜びするライトとミーナに、照れ臭そうに牽制するミーア。

楽しそうに会話している三人に混ざるかのように、ルディがミーアの身体にそっと巻きついてきた。

『♪♪♪』

『まぁ、ルディったら……』

『ルディもミーアお姉様のことが大好きなんですね!』

「……いいなぁー。ルディ、ぼくのとこには来てくれないの?」

先程はミーナを慰めるために、そして今回はミーアに礼を表すために、それぞれの身体に巻きついたルディ。

生みの親たるライトにはまだ抱きついてきてくれないことに、ライトがちょっとだけ拗ねたように呟く。

『???』

『あッ、ほら、ルディ、ライトさんにもご挨拶してらっしゃい』

『そ、そうですよ、ルディ!主様は貴方にとってはお父様であり、最も慕うべき尊き御方なんですからね!』

「えッ!? お、お父様!?」

『♪♪♪』

口を尖らせ拗ねたライトを見て、慌てて言い繕いつつルディにライトのもとへ行くよう促す神殿姉妹。

ミーナにお父様呼ばわりされたライト、拗ねるのを中断して驚愕する。

齢八歳にしてお父様呼ばわりされるとは、びっくり仰天もいいところだ。レオニス&ココ父娘よりも若い父親就任である。

そして姉達に促されたルディ。何を言われたのかちゃんと理解しているようで、早速ミーアからライトに移動してその首回りにそっと巻きついた。

頬ずりしてくるルディの、何と愛らしいことよ。

眩いばかりに輝く鱗はつるりとしていてほんのりと冷たく、すべすべ冷ややかな感触はなかなかに心地良い。

『まぁ、ルディもちゃんと分かっているのですね』

『そうですとも!やはりルディは主様によく似ていて、とても聡明な子です!』

「父親よりは、友達になりたいんだけどなぁー……ま、可愛いからどっちでもいいか!」

まるで大きなマフラーのように、ライトに巻きつくルディ。

四番目の使い魔、黄金色の龍ルディの愛らしさにライト達はすっかりメロメロだ。

この日の転職神殿は、いつも以上に明るい笑顔と笑い声が絶えなかった。