軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第534話 ミーナの成長と持ち帰り品の謎

ラウルが温室建設の最終日をガーディナー組の職人達と過ごしていた頃。

ライトは朝から転職神殿に出かけていた。

「ミーアさん、ミーナ、おはよう!」

『ライトさん、おはようございます』

『主様、おはようございます!』

カタポレンの家の自室から転職神殿に飛んだライトを、転職神殿巫女ミーアと使い魔の力天使ミーナが笑顔で出迎える。

「二人とも、変わりなく過ごせている?」

『はい、おかげさまで日々恙無く過ごせております』

『私も主様とミーアお姉様の言いつけをきちんと守ってます!ねー、お姉様?』

『ええ、ミーナもとても良い子ですよ』

「そっか、それは良かった!」

ライトの三番目の使い魔として、使い魔の卵からミーナが孵化してから三週間余りが経過した。

孵化したミーナをミーアの妹という位置づけにしたことも当たったようで、今では二人とも仲良く過ごせているようだ。

『ライトさんの方は如何ですか? そろそろ【神霊術師】の方もMAXになる頃では?』

「はい、もう★9にはなってて、あと少しでMAXになります」

『でしたら、本当にあと少し頑張れば二つ目の四次職マスターですね!』

「でもその『あと少し』がねー、また長くて遠いんですけどねー……アハハハハ……」

ミーアからの問いに、ライトは苦笑しつつ答える。

ライトが二つ目の四次職【神霊術師】にランクアップしたのが三月半ば頃、もうすぐ一ヶ月半くらいになる。

その間春休みの遠征等様々な出来事があったが、職業習熟度上げも日々コツコツとこなしてきた。その甲斐あって、先日★9に到達したばかりだ。

ちなみにこの職業習熟度の★は、一つにつき10%到達を表す。

今のライトの★9は90%を超えており、その次の★10で100%。つまりはMAXとなり、四次職をマスターしたことになる。

「あっ、でも今日から黄金週間に入るので、学校も九日間お休みなんですよね。なので、黄金週間のうちには【神霊術師】もマスターできると思います!」

『まぁ、それは習熟度上げの絶好の機会ですね!次はどの職業に転職なさるんですか?』

「次、ですか? あー、そういえばそろそろ次の職業も考えておかなきゃですよねぇ」

ミーアに次の職業を問われたライト、はたと考え込む。

四次職をマスターしたら、さっさと転職して次の職業に移行しなくてはならない。が、ライトはまだ次の職業を何にするか、全く考えていなかった。

「うーん、いつもなら物理職優先で進めていたんですが。最近は魔法職もいいなぁ、と思うようになってきたんですよねぇ」

『魔法職ですか。そしたら僧侶系はどうですか? 僧侶系は回復スキルのスペシャリストですし、実生活でも使えると思いますよ』

「そうですねー……回復スキルを覚えておくのもいいかなぁ……うん、そうしよっかな!」

ミーアの勧めにライトも納得しつつ頷く。

実際のところ、ライトはBCOの中で回復スキルを使った試しがない。回復スキルをかけるよりも、ハイポーションやエクスポーションなどの回復アイテムを使用した方がよほど早くて楽ちんだったからだ。

だが、BCOシステムが実生活にも活かせるとなれば話は別だ。

ラグーン学園での授業や登下校中など、万が一何らかの怪我をしたり疲労が蓄積した場合でも、回復スキルで即座に治すことも可能になる。

もっとも、その使用場面は他人に見られないよう極力注意しなければならないが。

特に体育の後とか、疲れた時にいいよね!……でも俺、この世界に来てから体育で疲れたこと一度もないけど。

あ、そしたら眠気覚ましに使えるかも? 眠気も一種の疲労から来るものだし。試験勉強や受験勉強の時に使えるよね!……俺まだ試験も受験も当分ないけど。

あーでもこれから夏になるし、夏と言えばプールだよね!プールで泳いだ後の回復魔法とか、サイコーじゃない!?……って、ラグーン学園にプールってあったっけ?…………ンー、ない、かも。

ま、学校にプールがなくてもね、目覚めの湖行けば好きなだけ泳げるし!今年の夏は、イードやアクア達と思いっきり水遊びしよう!

ライトは頭の中で回復スキルの使い道をあれこれ考える。

しかし、回復スキルの使い時はあれこれあれど、今のライトには当分出番はなさそうだ。

だが、備えあれば憂いなし。ハイポーションやエクスポーションが使えないような場面でも、回復スキルがあれば役に立つ時がきっと来るに違いない。

そうとなれば、次の職業は僧侶系だ!とライトは心に決めたのだった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「さて、そしたら今度はミーナのレベルとステータスをチェックしましょうか」

『はーい!』

「ミーナ、お使いで持ち帰る食べ物の量はどう? 結構多い?」

『そうですねー、獲得した品の半分くらいは食べ物な気がしますぅ』

次は自分の出番!とばかりに、ミーナが右手を高く上げて元気良く返事をする。

ミーナが孵化した後、ライトは二週間くらいの間毎日転職神殿に通っていた。

ラグーン学園から帰宅後、夕方の十分、二十分だけでもミーナの様子見に足を運ぶライト。その都度ミーナがお使いで拾って持ち帰ってきた品々をチェックし、ミーナがそのまま食べていいものとそうでないものを教え込んでいたのだ。

その甲斐あって、今ではライトの指導がなくてもミーナの方である程度の判断ができるようになった。ただし、ミーナにとってまだまだ初見のアイテムも多いので、ライトがこまめにチェックしてやらねばならないが。

「それだけ食べ物ゲットしてるなら、ステータスも上がってるかもね。じゃあ見てみようか」

『はーい!』

ライトはそう言うと、早速『アナザーステータス』でミーナを鑑定した。

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【名前】ミーナ

【種族】力天使

【レベル】22

【属性】風

【状態】通常

【特記事項】従属型使役専属種族第三十七種乙類

【HP】440

【MP】1540

【力】66

【体力】88

【速度】176

【知力】154

【精神力】176

【運】88

【回避】176

【命中】110

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「うん、こないだ見た時よりもレベル上がってるね」

『本当ですか!? 今いくつですか!?』

「レベル22だって。良いペースで順調に上がってると思うよー」

『やったー!』

鑑定したライトから、順調に上がってるというお墨付きをもらったミーナ。飛び上がらんばかりに喜んでいる。

美味しいものを食べるだけでレベルアップするとか、何とも羨ましい限りだ。

するとここで、ライトがミーナに向かって問いかけた。

「あ、ところでさ、ミーナに聞きたいことがあるんだけど」

『はい、何でしょう?』

「ミーナ達使い魔って、一体どこからいろんなアイテムを拾ってくるの?」

これは長年ライトがずっと不思議に思ってきたことである。

使い魔達が持ち帰るアイテムは、実に多種多様だ。普段は石ころだの薬草だののあまり使えないものが多いが、だからといってこれがなかなか侮れない。

時にはエネルギードリンクや新品の使い魔の卵などを持ち帰ったりするし、他にもよく持ち帰る食べ物類などは『一体どこから拾ってくるの?』と心底不思議で謎だ。

果てはエリクシルなんてとんでもない激レアアイテムまで得ることもある。

そういった様々なアイテムを、使い魔達は一体どこから拾ってくるのだろう。

ライトはそれをずっと知りたかったが、使い魔一体目のフォルや二体目のウィカは人語を喋らないので、これまで聞きたくても聞けなかったのだ。

だが、ミーナは力天使で人語での会話ができて、ライトとも普通に話せている。ならばミーナが答えてくれるのでは?とライトは考えたのだ。

ライトの質問に、ミーナは小首を傾げながら答える。

『それは、どこにお使いに行くか、とかいうことですか?』

「そうそう、そういうこと」

『えーとですねぇ。お使いに行こうと思うとですねぇ、川や海や山や砂漠、時には雲の上とか地底の奥底なんかにピューッと飛ばされてー、あちこち彷徨いてー……何かいいモノを拾えたら、ここに帰れます!』

「そ、そうなんだ……」

『はい!』

ニコニコ笑顔で答えるミーナに、ライトは『あッ、これ聞いてもどうにもなんないヤツだ』と悟る。

よくよく考えたら使い魔もBCOシステムの一部分であり、サイサクスという 創造神(うんえい) が生み出した駒だ。

ゲームを遊ぶ側であるライト達ユーザーですら、システムの根幹など全く分からないのだ。駒に過ぎない使い魔が分かるはずもない。

そうと分かれば、これ以上詮索してもしょうがない。

ライトは話題を変えることにした。

「そっか、教えてくれてありがとうね。そしたら今度は、食べ物以外の持ち帰りアイテムをチェックしようか」

『はい!主様からいただいた籠を持ってきますね!』

ミーナはいそいそとアイテムを入れていた籠のある場所に駆けていき、大事そうに腕の中に抱えながらライトのもとまで戻ってきた。

『主様、はい、どうぞ!』

「ありがとう。どれどれ、今日は何が入ってるかなー……」

籠の上蓋を開けて、中を覗き込むライトとミーアとミーナ。

中にはライトが重石代わりに置いていったアークエーテルの他に、石ころ、薬草、ポーションなどのお約束の雑魚アイテムがいくつか入っている。

ライトはそれらをアイテム欄に収納していく。

「あッ、エネドリも二個ある!やったー♪」

『主様に喜んでもらえて、ミーナも嬉しいですぅー♪』

『エネルギードリンクがあれば、習熟度上げも捗りますね♪』

持ち帰りアイテムの中でも当たりの部類であるエネルギードリンクを見つけて喜ぶライトに、ミーアとミーナもいっしょに喜ぶ。

そうしてアイテム類を整理し続け、籠の隅にあった最後の一つに目が止まる。

「これは……」

それは焦茶色をした、小さな楕円形の物体。

新しい使い魔の卵だった。