軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第379話 クエストイベントの相違点

「さて、次は8ページ目か……だいぶ時間はかかったが、あと3ページでこのクエストイベントも完了か」

「じゃあもうひと踏ん張りするか!」

ライトの記憶では、この【湖の畔に住む小人達の願いを叶えよ】という名のクエストイベントは全部で10ページ、総数50個のお題で完了する。

10ページ中7ページをクリアした今、残すところあと3ページ分。ようやくゴールも見えてきた、といったところか。

クエストイベントの7ページ目を全クリアしたライトは、気合いを入れつつ次の最新ページに移行した。

====================

★小人族の危機に備えよ act.5 【パラリシスパイシードリンク】を作ろう!★

〔パラリシスパイシードリンク 原材料〕

【36.暗黒花の花粉10個 報酬:スキル書【金属錬成】 進捗度:0/10】

【37.グランドポーション1個 報酬:青竹色の香炉1個 進捗度:0/1】

【38.砂漠蟹の大鋏3個 報酬:エネルギードリンク1ダース 進捗度:0/3】

【39.コズミックエーテル1個 報酬:代赭色の香炉1個 進捗度:0/1】

【40.黒色のねばねば1個 報酬:錬金王の大鎚 進捗度:0/1】

====================

「ふむ、パラリシスパイシードリンク、か。解毒剤の次は麻痺回復剤か、まぁ順当っちゃ順当だよね」

「暗黒花とねばねばはまぁいいとして。砂漠蟹かぁ……どーーーしよ、これ。砂漠ってからには、あのノーヴェ砂漠だよね?」

最新ページの新しいお題を眺めつつ、思わず唸るライト。

特にクエストNo.38のお題にある『砂漠蟹』という言葉。このサイサクス世界において、砂漠という言葉が示す地はただ一つ。ノーヴェ砂漠を指しているのである。

ノーヴェ砂漠といえば、その寒暖差のあまりの激しさ故、人間はおろか魔物ですら数種類しか生存に適さない過酷な環境として有名だ。人族の街どころかオアシスすら皆無で、最も近い街は砂漠と荒野の境目に小さな宿場町が点在しているくらいしかない。

また、このサイサクス世界だけでなくBCOというゲーム世界にもノーヴェ砂漠は冒険フィールドとして存在していた。

中級者向けの冒険フィールドで、もちろんライトも前世では散々素材集めやレアアイテム拾いのために出向いた覚えがある。

ライトにしてみれば『ああ、とうとう来たか』という感じである。

そして、ここで問題になるのは『どうやってノーヴェ砂漠に行くか』ということである。

素材名である『砂漠蟹』とは、ノーヴェ砂漠に棲息するサンドキャンサーを指す。そのサンドキャンサーの大鋏を採取するには、当然のことながらノーヴェ砂漠に狩りをしに行かねばならない。

だが、ノーヴェ砂漠の過酷さは 夙(つと) に有名だ。そんな場所に子供が一人で向かうなど、無謀もいいところである。

それにライトの保護者であるレオニスだって、よほどの理由でもなければノーヴェ砂漠行きなんて絶対に猛反対するだろう。

ゲーム世界ではソロプレイでどこにでも自由に行けたが、今の子供の身ではそれは適わない。大事な家族であるレオニスの意向も尊重するのは、ライトにとって当然のことだった。

「んー……これはちょっと何か対策とか考えなきゃいけないな」

「それより先に、グランドポーションとコズミックエーテルのレシピ作成をマスターしといた方が良さそうだ」

ライトがぶつくさ言いながら、今度はマイページ内のレシピコレクションを開く。

クエストNo.37のグランドポーションとNo.39コズミックエーテルは、クエストイベント7ページ目の報酬で得たレシピで作ることができる新種の回復剤だ。前者はHP1800を、後者はMP800をそれぞれ回復させる。

イノセントポーションやセラフィックエーテルの上位品であり、これらもまた市販されていない非売品のプチレアアイテムである。

クエスト報酬で得たレシピは、以下の通りである。

====================

☆グランドポーションレシピ☆

【材料】

荒原鷹の斬爪5個

イノセントポーション3個

エネルギードリンク2滴

闘水2個

巨大蜈蚣の硬皮3個

これらを混ぜ合わせて【遠心分離】1回かけて濃縮する

====================

====================

☆コズミックエーテルレシピ☆

【材料】

咆哮樹の木片5個

セラフィックエーテル3個

エネルギードリンク2滴

退魔の聖水2個

暗黒蜂の後脚3個

これらを混ぜ合わせて【遠心分離】1回かけて濃縮する

====================

レシピに提示されている各種素材をメモに書き留めていくライト。メモにペンを走らせている間も、分析を兼ねたライトの愚痴は止まらない。

「あー、これも結構手間かかりそうだなぁ」

「咆哮樹と暗黒蜂はカタポレンの森にいる魔物だからいいとして……荒原鷹に巨大蜈蚣?後で図鑑で棲息地を調べとかなくちゃ」

「つーか、このレシピ作成の材料集めも何気に時間食うよね……おかげでクエストイベントのボリュームが実質倍近くなってんじゃね?」

「……まぁ、生産職という新しいコンテンツも盛り込まれてるリニューアルバージョンっぽいから、仕方ないっちゃ仕方ないんだけど」

そう、ライトが呟いているように、ライトが知っている前世のゲームでのクエストイベントと今世のクエストイベントは内容が異なる点が結構ある。

その相違点の最たるものが『クエストクリア報酬の中に、生産職用のスキルとレシピ作成があること』と『そのレシピ作成で実物を作らなければ、次のクエストに進められない』という二点である。

まずライトの記憶では、この手のクエストイベントのお題は『素材集め』『冒険フィールドでの通常モンスター討伐数』『コロシアムでの対人戦試合回数』などが代表的であった。

だが、素材集め以外の二つが出てこない代わりに生産職のレシピ作成が中盤以降に出てきた、という感じだ。

この世界では人々が闘いを披露するような場所、いわゆるコロシアムがあると聞いたことはないし、対人戦や試合回数を競うシステムの代替えとして生産職用のクエストが充てられているのかもしれない。

そしてその新たなコンテンツ、生産職用のレシピもただ単に報酬としてもらえるだけなら『お、ラッキー!今度時間ができた時にでも作ってみようっと!』となるのだが。レシピ作成でアイテムを作らなければイベントが進められないとなると、話は変わってくる。

暇ができたら作る、という時間的余裕や選択の余地など一切なく、否が応でも早急に作らねばならないのだ。

ここら辺、 創造神(うんえい) の厳しさとか容赦の無さが伺えるというものである。

「……でもまぁね、レシピで特殊な回復剤を作れるってこと自体はいいことだし。これも将来の就活のお役立ちってことで、習得しておいて損はないよねー」

「これだけいろんな回復剤が作れるようになったら、冒険者引退後は薬師としての再就職待ったなしだよね!何なら薬の店を開店してもいいかも!」

「あー、就活に苦労しない人生ってのは本ッ当ーーーに素晴らしいなぁ。人間やっぱ手に職持たないとね!」

前世では就職氷河期と呼ばれる世代に生まれたライト、その苦難の道は嫌というほど味わった。骨身に染みるどころか魂レベルで染みついた過去生での苦渋は、二度目の人生では味わいたくない!何としても回避してやる!と思うのが当然である。

とはいえ、今から第二第三の就活を考える8歳児というのも何ともアレだが、本人は至って大真面目である。そう、経験者は一味も二味も違うのだ。

「とりあえず、咆哮樹と暗黒蜂は近いうちに採取しに行こう。砂漠蟹とか難しいのがクリアできないうちは、闘水や退魔の聖水の増産でもしとくか」

「クエストイベントも終盤になってきたし、そろそろ香炉以外のスペシャル報酬が欲しいなー。……ま、もらえるものは何でも嬉しいけどさ」

「イベント完了のために、また素材集め頑張ろう!」

ようやく見えてきたゴールを目指し、新たなるステップアップにライトは闘志を燃やすのだった。