軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第35話 贅沢な晩餐

カタポレンの森の家に到着した、ライトとレオニスとアル。

非常に充実した楽しい一日だったが、さすがに全く疲れなかった訳ではない。

ほっと一息つきながら、着替えるために入った自室のベッドにぽふん、と寝転んだ。

「はぁー、疲れたけど、すっごく楽しかったぁー」

このままベッド寝転んでたら、そのまま寝入って朝まで起きれなさそうだ。

アルにお土産も渡してあげなきゃいけないし、ちゃんと起きていなくちゃね。

ライトはのそのそと起き出して、部屋着に着替えた。

着替えてすぐに、食堂に移動する。

レオニスとアルは、既に食堂にいた。

「レオ兄ちゃん、アル、ごめんね。待たせちゃった?」

「いや、俺達も今ここに来たばかりだから、気にすんな」

「ワォン」

テーブルの上に皿を用意して、レオニスが空間魔法陣の中から昼間買い込んだ串焼の入った袋を取り出す。

最初に買った串焼20本は、塩味とか胡椒がかけられているので、後から焼いてもらった串焼30本はアルでも食べられるように味付け一切無しにしてもらってある。

まさに、アルのためにあるような土産だ。

(注:「 ア(・) ル(・) のために あ(・) る(・) 」←決してダジャレではない。)

「ほら、アル。ラグナロッツァで買ってきた、美味しいお肉の串焼だよ!」

アルでも食べられるように、串からどんどん肉を外してお皿に乗せていく。

空間魔法陣の中はお約束通り、中のものの時間が停止される。なので、焼き立ての状態が保たれているのでアルが食べるには少し熱いかもしれない。

「アルにはちょっと熱いかもしれないから、食べるの少しだけ待っててね?」

「クゥン、クゥンクゥン」

アルは今にもかぶりつきたそうで、ウズウズと身体を揺らしヨダレを垂らしながらも、ライトの言うことをちゃんと聞いて懸命に我慢している。

完全にそれはわんこの『待て』状態だが、ちゃんと我慢して待てるアルの、何と賢く健気なことよ。

ライトはレオニスに向かって、お願いした。

「レオ兄ちゃん。アルが早くお肉を食べられるように、少しだけ魔法を使って、早く冷ましてもらうこと、できる?」

「おう、いいぞ。任せとけ」

レオニスは串焼の肉が乗った皿の近くに手を向けて、ゆっくりとした冷たい風を送り出した。

貴重な神獣、銀碧狼のためとはいえ、人類最強の金剛級冒険者の冷風魔法を串焼の肉冷ましのために使うとは、何とも贅沢な光景である。

とりあえずは20秒ほど送風しただろうか、あまり冷たくしても脂が固まって美味しさが失われそうなので、早めに停止してもらう。

「さ、アル。どうぞ」

ライトはアルの目の前に皿を置いた。

その合図を待ってました!とばかりに、早速肉に食らいつくアル。

温度も適温なのか、実に美味しそうにガツガツと食べ続ける。

ライトは皿をもう一枚用意し、その皿に串焼の肉を串から外して乗せていき、レオニスが魔法を使い適宜冷ましていく。

少し冷めた肉を、実に美味しそうに、かつ嬉しそうに頬張るアル。

その作業を何周も繰り返していく三人、いや、二人と一匹。

流れるようなその一連の動作は、実に見事なルーティンワークである。

そして30本分の串焼全部が尽きた頃、アルのお腹も満腹になったようだ。

いつも以上に満たされたような、すごく満足気な顔つきのアル。

それを眺めるライトとレオニスも、嬉しそうだ。

「アル、すっごく喜んでくれて良かったぁ」

「そうだな、ここまで嬉しそうに食ってくれたら、土産で30本も買ってきた甲斐があったってもんだ」

「うん!じゃあ、ぼくたちもそろそろ、お肉食べよっか」

「おう、んじゃ俺達の分の串焼も出そうな」

先に買った20本のうち、2本をライトが食べて、8本をレオニスが食べる。20本で2回分の晩御飯になる計算だ。

ラグナロッツァでの昼ご飯は、串焼5本のうち1本をライト、残りの4本をレオニスが食べていた。

4本でも結構な量だなぁ、とライトは思っていたが、その倍の8本でも平気でペロリと平らげるレオニス。

冒険者稼業ってのは、やっぱり体力が資本なんだなぁ、とライトは感心してしまった。

「今日はお土産だからいいけど、明日はもっとお野菜も食べないとねー」

「んん、そうだな、特にライトは今が成長期だからな。何でも好き嫌いなく食べないとな」

「うん、そしたらレオ兄ちゃんも、ぼくといっしょにピーマンとかたくさん食べようね?」

「………………」

途端に視線をススススゥー……と横に逸していくレオニス。

レオ兄、俺に好き嫌いなく食べろと言ったその口で、自分は好き嫌いしてちゃいけませんよ?

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

晩御飯を食べ終えて、皿の片付けも済ませてから、いつでも寝れるようにベッドに移動して皆してベッドの上に座り込む。

ここ最近の睡眠でずっと定番である、美しく完璧な川の字を作りながら余裕で眠れるほどの、キングサイズよりも更に一回り以上は大きなベッドである。

「さ、美味しい晩御飯もしっかり食べたことですし。今から『本日の反省会』をしたいと思いまーす!」

「反省会、イエーイ!!…………って、ん?反省会??」

「そう、反省会。主に、レオ兄ちゃんの、ね?」

「え。俺?」

レオニスは自分の顔を指差しながら、きょとんとした顔をしている。

「うん。ぼくはね、レオ兄ちゃんに反省してもらいたいことがいくつもあるの」

「え、何ナニ、何よ、俺、何かしたっけ?」

ライトは小さなため息をつきながら、目を伏せた。

「んーとね。何かしたってよりも、しないことの方がね、問題なんです」

「え、え、ホントに何のことだかさっぱり分からんのだが……」

ライトは伏せた目を、クワッ!と見開いた。

ここから、ライトの盛大かつ超弩級の説教無双が始まることになる。