軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第226話 着々と進むクエスト

それから一週間が過ぎても、結局フェネセンがライト達の前に姿を現すことはなかった。

ライトもレオニスもずっとフェネセンの身を案じてはいたが、どうしようもなく月日ばかりが過ぎていく。

とはいえ、レオニス達もただダラダラと無為に過ごしている訳ではない。

オーガの里の防御結界作りに日々奔走していた。

まず、結界の出入りに必要な【加護の勾玉】作りに欠かせない『大珠奇魂』問題。ナヌス達の作るものと同名の、人族の世界で使われている武器防具用の強化素材。

これが果たして【加護の勾玉】作りに使えるかどうか。

結論から言うと、可能であった。しかも人族の作る大珠奇魂の方が性能が高いらしく、ナヌス達が用いるものよりも浸潤時間が半分の一日程度で完了するという。

それらの内容をレオニス達に報告していたヴィヒトが、複雑な顔で何やらブツブツと呟く。

「我等と同じ基材を用いて作っているそうだが、一体何が違うというのだろう?作り方そのものや手順などが違うのか?」

「これはあれか、人族の職人に弟子入りして修行すべきか?いやしかし、誇り高きナヌス族が人族に弟子入りを 希(こいねが) うなどと……」

「いやいや、それこそ傲慢にして愚昧というものか……いずれにしても人族の持つ叡智、ますますもって侮れん……」

この結果を受けて、最初の3個分だけを鍛冶屋で購入できる既製品の大珠御魂を用いることが決まった。さすがに作成予定30個分全てを賄うとなると、とんでもない量の大珠奇魂が必要になるからだ。

しかもオーガが用いるサイズの勾玉にするため、勾玉1個あたりに大珠奇魂2個が必要になるという。これを30個分と用意するとなると60個の大珠御魂、即ち300万Gもの資金がかかることになる。

現役の金剛級冒険者たるレオニスならば、決して出せない金額ではない。だが、ヒヒイロカネの時のようにそう簡単にホイホイと譲れるような額でもなかった。

故に、まずは急ぎ必要な最初の勾玉3個分の大珠奇魂6個だけをペレ鍛冶屋の既製品で賄い、残りの54個分は素材採取しながらルティエンス商会で順次交換入手していこうということになったのだ。

それでも鍛冶屋での既製品購入だけで6個30万G、なかなかの出費である。

研ぎに出した包丁の受け取りついでに再び買い付けに行ってもらったラウルに、鍛冶屋の店主ペレは

「何に使うのか知らねぇが、強化素材だけをこんなに大量に買っていく客なんてわしの長い鍛冶屋人生の中でも初めてじゃ」

と呟いたとか何とか。

そして幸いなことに、単眼蝙蝠襲撃事件が勃発してから一週間以上経過したが、それ以降特にこれといった異変は何も起きなかった。

これは、屍鬼化の呪いをかけられた当時のラキの近くにいた濃厚接触者も含めて、オーガの里の者全員の無事が確定したということだ。

この結果を受けて、レオニスが毎日オーガの里を訪問する必要もなくなり、三日に一度顔を出す程度に収まっていった。

一方ライトは、土日には必ずナヌスの里やオーガの里に訪れていた。

近々始まる予定の、ナヌス達によるオーガの里の結界作りのために必要な魔力回復剤。それらをナヌスの里とオーガの里、両方に半々づつ渡すためである。

「こちらはエーテル、最も回復量が少ない下位の魔力回復剤です。軽い魔力切れの時の応急処置なんかに使ってくださいね」

「こちらはハイエーテル、エーテルよりも魔力回復量が多いです。結界作りの最中に魔力が足りなくなりそう、と感じたら飲んでください」

「ナヌスの里からオーガの里までいちいち運ぶのも大変でしょうから、オーガの里にもこれと同じものを既にたくさん置かせてもらってます」

「ですので、結界作りの最中に必要になったらオーガの人達に遠慮なく言ってください。オーガの人達にも既にそのように話は通してありますので」

ライトがナヌス達に向けて、実物を見せながらそれぞれ解説する。

ライトやオーガ達には手頃で小さなサイズでも、小人族であるナヌス達がエーテルの瓶を抱えながら都度移動するのはかなりの労力になるだろう。

そういった無駄な労力を省き、より快適な労働環境を提供する。ライトのアフターサービスは完璧にして万全なのである。

こうした日々を過ごし、ライトは土曜日の夜に満を持してマイページのクエストイベントのウィンドウを開いた。

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★小人族の盟友を救え!★

【11.ポーション100個 報酬:10000G 進捗度:100/100】

【12.エーテル100個 報酬:10000G 進捗度:100/100】

【13.ハイポーション100個 報酬:50000G 進捗度:100/100】

【14.ハイエーテル100個 報酬:50000G 進捗度:100/100】

【15.水色のぬるぬる1個 報酬:シルバーダガー 進捗度:1/1】

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このイベントのお題の欄を完全に満たすのも、もう三回目になる。これらの報酬を受け取れば、次は4ページ目が出てくるはずだ。

各クエストの報酬を次々と受け取り、完了していく。

そして3ページ目の右側に▶マークが出て、4ページ目のクエストに繋がる道が開かれた。

4ページ目のクエストは、次の内容である。

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★小人族の危機に備えよ act.1★

【16.エクスポーション1個 報酬:1000G 進捗度:0/1】

【17.アークエーテル1個 報酬:1000G 進捗度:0/1】

【18.エクスポーション100個 報酬:10万G 進捗度:0/100】

【19.アークエーテル100個 報酬:10万G 進捗度:0/100】

【20.赤色のぬるぬる1個 報酬:方天画戟 進捗度:0/1】

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これを見たライトは、ウィンドウを眺めつつブツブツと独り言を呟く。

「んー、これならまだ全然楽勝の範囲内だな。早速明日またこれらの回復剤を、オーガの里とナヌスの里両方に渡しに行こう」

「でもって、おそらく次のページあたりから何らかの素材採取のクエストも出てくるだろうから」

「今のうちに少しづつ集めておいて、土日にはレオ兄の素材採取についてってガッツリ採ろう」

「赤色のぬるぬるも、多めに購入しとくか……」

ライトは次々に計画を打ち立てていく。

お題の一番上にある『★小人族の危機に備えよ★』というタイトルも、若干気にはなるが前回の『★小人族の盟友を救え!★』よりははるかに危機感は薄い。

おそらくは先日の単眼蝙蝠襲撃事件のように、不測の事態に備えるようにしろ、ということなのだろう。

ちなみに、いつもお題の最後の〆に出てくるぬるぬる類。実はこれが何気に人気というか、かなりの好評を得ている。

今までのオレンジ味の橙やレモン味の黄色はもちろんのこと、前回のソーダ味の水色もその摩訶不思議な味でナヌスの人達を魅了していた。

「んー、何だろう、この不思議な感覚は……」

「口当たりは甘くてまったりしているのに、口の中でシュワシュワ?ピリピリ?弾けるような感覚……」

「これは何とも病みつきになりそうな味だな……」

「ライトお兄ちゃん、おかわりー!」

ソーダ特有の炭酸シュワシュワ感が苦手な人も若干いたようだが、大人子供問わず概ね好評のようだ。

ちなみにライト自身も、この水色のソーダはぬるぬるドリンクシリーズの中ではかなり好きな方だ。

ぬるぬるドリンクそのものに猛烈な忌避感や嫌悪感を抱き慄いていた、かつての姿はもうそこにはない。

もっとも、ライトでなくともその原料や由来を知れば大抵は恐れ慄くだろうが。

次の赤色のぬるぬるも、ぬるぬるドリンクの中では割とメジャーな部類だ。

お味は色の通りトマト味で、ラグーン学園の昼食メニューにもよく出てくる。もはやライトにとっても定番の味だ。

トマトジュースも人によって好き嫌い分かれるところだが、トマトソースなど料理にも活用できるので小人マダムあたりには特にウケるかもしれない。

小人マダムや小人マドモアゼル達のパワフルさは、レモン味の黄色でライトも身に沁みて理解している。

ナヌスの人達との親睦を深めるためにも、ぬるぬるドリンク類は多めに用意しておこう。

ライトは改めてそう思うのだった。