軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第202話 クエストイベントの報酬

目覚めの湖でイードとウィカと別れた後、フォルとともにカタポレンの家に帰ったライト。

夕焼け色に染まる家に入ると、レオニスが既に帰宅していた。

「ただいまー」

「おう、おかえりー」

「あっ、レオ兄ちゃんもおかえりー」

「丸一日ずっと目覚めの湖に行ってたのか、楽しかったか?」

「うん!!」

レオニスの問いにライトは力強く返事をした。

そんなライトの実に嬉しそうな笑顔に、問うたレオニスも笑みがこぼれる。

「そっか、そりゃ良かったな。じゃあ飯の時に話を聞かせてくれな。晩飯用意しとくから、お前はフォルといっしょに風呂で汗流してきな」

「はーい!」

レオニスに言われた通りに、ライトはフォルとともに風呂でさっぱりしてからレオニスと晩御飯を食べる。

今日一日の出来事を、レオニスに聞かせるべくライトはたくさん話をした。

「今日はね、湖の畔に住む小人達の集落に行ってきたんだ!」

「目覚めの湖の畔に住む小人達、か?」

「うん、ナヌス族っていうんだって。レオ兄ちゃん、知ってる?」

「一応あの湖の周辺には、小人族や鬼人族の集落があることは知ってるが……小人族の方は実際に見たことは一度もないな」

「そうなの?」

「ああ、小人族から見たら俺なんてとんでもなくバカでかい巨人もいいとこだからな。遭遇して驚かせても可哀想だし」

さすがレオニス、ナヌス族の存在は知っていたらしい。以前ラウルとの会話で『カタポレンの森の生態系はほぼ把握している』と豪語しただけのことはある。

「何かね、ナヌスの人達の方もレオ兄ちゃんのこと知ってたよ?」

「ん?そうなのか?」

「うん。里の長曰く、レオ兄ちゃんは『カタポレンの森の守護者』なんだって」

「……何でまたそんなことに?」

ライトからの思いがけない話を聞き、ポカーンと口を開けたまましばし固まるレオニス。

心底意外そうな顔で不思議がるレオニスに、ライトは長から聞いたことをそのままレオニスに話して聞かせた。

「……そっか、俺の知らん間に小人族からそんな評価をもらってたのか」

「まぁ俺がカタポレンの森の警邏をしてるのは、事前に魔物暴走を抑えるという……ただひたすらに人間側の勝手な都合なんだが」

「でもそれが人間だけでなく、カタポレンの森に住まう他の種族達のためにもなっているのなら―――これ程嬉しいことはないな」

レオニスは照れ臭そうにはにかみながら、これまで自分が行ってきた仕事への高評価を静かに喜んでいる。

その高評価も同族の人間からではなく、カタポレンの森に住まう異種族の小人族という本当に意外なところから出てきたのだから、思わぬ評価に喜びも一入というものだろう。

「でもって、今度レオ兄ちゃんもいっしょに連れてくるねって言ったら、皆大喜びの大はしゃぎの大慌てでね?」

「ん?俺も小人族の集落に行っていいのか?」

「うん。ナヌスの里の周りには、侵入者を阻む結界が張られてるんだけど。その結界を難なく通れる【加護の勾玉】を、レオ兄ちゃんに里に来てもらうためにまた新しく作る!ってものすごく張り切ってたよー」

「そうなのかー、じゃあ今度俺もライトといっしょにナヌス族の里に行ってみるかー」

何やらアイドル扱いされているレオニスだが、ライトの話術ではそこまで熱気が伝わらないのか当のレオニスはのんびりと受け答えする。

「うん、いっしょに行こうね!……あ、里に入るのに必要な【加護の勾玉】、一ヶ月で作るって長が言ってたよ。だからいっしょに行けるのは、一ヶ月くらい先になるかなー」

「そっか、じゃあそれまで楽しみにしとくか」

これからの楽しみができたことに、二人して喜んでいた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

晩御飯を済ませたライトは、寝る前にしばし自室に篭もる。

今日のイベントの成果を改めて確認するためだ。

ライトは早速マイページを開き、イベント欄をチェックする。

「クエスト1から5まで、既に進捗度は全部満了になっているから」

「あとは報酬のところのボタンを押して受け取るだけ、なんだが……」

「これ、どういう形で報酬受け取りになるんだ……?」

ライトはクエストイベントを眺めながら、しばし考え込む。

その報酬内容は、クエスト1から4まではゲーム内通貨のG資金でクエスト5がブロードソードという武器になっている。

思えばこのG資金、この現実世界でも引き出したり使えるものなんだろうか?

そういえば……とライトは先日マイページを開いた時のことを思い出す。

マイページの各種データのひとつ、所持金欄に『10000G』という表記があった。

これはおそらく氷の洞窟に出かけた時の、ツェリザークで出くわした強力な魔物『邪龍の残穢』の討伐に居合わせたことによるものだと思われる。

だが、その所持金10000Gはマイページで目視及び確認しただけで、その後実際に手を付けた訳ではない。

「まぁG資金が使えるかどうかは、後でまた検証してみよう」

そう呟いた後、ライトはとりあえずクエスト1の報酬受け取りボタンを押してみることにした。

すると、受け取り完了の動作を表すのか『チャリーン♪』という小さな謎の音が響いたかと思うと、クエスト文は以下のように変化した。

【クエスト1.ポーション1個 報酬:100G 進捗度:CLEAR】

進捗度のところが『CLEAR』の文字に変化している。進捗度の部分が数字のうちは『クエスト進行中』もしくは『満了後の報酬未獲得』状態を指しているようだ。

進捗度が『CLEAR』になったことで、クエスト1は完了したことになった。

ライトは続けてクエスト2から5の報酬受け取りボタンを順次押していき、現在表示可能なクエストを全て完了させた。

さぁこれでクエスト1ページ目は完了したぞ、とクエストページを眺めるライト。

すると、クエストページの右側に▶ボタンが出現した。どうやら右側に新たなページが発現したようである。

ライトは早々に▶ボタンを押して右側のページに移行する。

そこにはライトの予想通り、クエストの2ページ目が出現していた。

====================

★小人族の人達ともっと仲良くなろう!★

【6.ハイポーション1個 報酬:500G 進捗度:0/1】

【7.ハイエーテル1個 報酬:500G 進捗度:0/1】

【8.ハイポーション10個 報酬:5000G 進捗度:0/10】

【9.ハイエーテル10個 報酬:5000G 進捗度:0/10】

【10.黄色のぬるぬる1個 報酬:レイピア 進捗度:0/1】

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やはりライトの記憶通り、しばらくは回復剤絡みのクエストが続くようである。

ハイポーションとハイエーテルならば、ポーションエーテル同様倉庫に山ほどあってライトでも使い放題のアイテムだ。

黄色のぬるぬるも、今日と同じくレモン味のする黄色のぬるぬるドリンクで代用可能だろう。

この2ページ目はまた来週ナヌスの里に行ってクエスト進行しよう。ライトはそう考えつつ、所持金とアイテム欄を確認するためにマイページの基本データページに戻る。

所持金は12200Gに増え、アイテム欄の武器ページにはブロードソードが1本新たに所持アイテムとしてアイコン追加されていた。

「おお、イベント報酬の金額通りにGが増えてるー」

「ブロードソードもアイテム欄内にアイコンで出てきたか。しかし……これ、取り出せるんか?」

試しにブロードソードのアイコンを一回タップしてみると、別ウィンドウが開き『一般的な幅広の剣』というアイテム詳細とともに『売価:500G』という売却価格も出てきた。

これは『不要なアイテムは売却してG資金化することもできる』ということである。

「んー、ブロードソードはショップ武器だからレアでも何でもないし、すぐに売っ払ってもいいけど……」

「できれば一回、目の前に取り出してみたいな……マイページから取り出す方法が分からないと、この先いくらレア装備やレアアイテムをゲットしても使うことすらできずに宝の持ち腐れになるってことだし」

とりあえず、この手のパネル操作系はまずタップや長押しが基本だよね!と考えたライト、ブロードソードの解説ウィンドウを閉じてから再びタップや長押しを試してみる。

タップだとアイテム解説ウィンドウの開閉しかできなかったが、解説ウィンドウのない状態でアイコンを3秒ほど長押しすると『取り出しますか? Yes/No』という確認ウィンドウが出てきたではないか。

「お、やっぱ長押しすればいいんだな!よし、ここはYes一択でしょう!イエース!からのー、ポチッとなー」

セルフ掛け声とともに上機嫌で『Yes』を押すライト。

すると、ライトの足元に音もなくブロードソードが出現した。

やはりアイテムの取り出し方は、出したいアイテムを長押ししてYesを選択するのが正解のようだ。

一度取り出し方さえ分かってしまえば、後はアイテム欄に戻して売却あるのみ。ライトは足元に現れたブロードソードを持ち上げようと手にする。

「ンがッ、け、結構重いッ」

ライトは何の気なしにブロードソードを持とうとしたが、意外に重量があり思わずよろけてしまう。

今までブロードソードの実物なんて、思えば前世今世ともに一度も手にしたことなどない。それどころか間近で見たことすらなかったことを完全に失念していた。

確かにここはゲームがベースの世界だし、マイページなどというゲーム要素の塊のような強い秘密兵器?がある。だが、そのせいでライトは未だにどこかゲーム感覚が抜け切らずに、こういうちょっとしたところで躓いてしまう。

指先でポチポチ操作するだけのゲーム世界と、己が肉体を駆使し重力や質感が伴うリアル世界。その差はライトが思う以上に、あらゆる場面で大きくかけ離れているのだ。

「あー、基礎体力や足の速さだけでなく純粋な腕力や筋力もつけていかないとなぁ……」

ふんぐぬぬぬぬ……とライトは力を込めながら、ブロードソードを持ち上げてアイテム欄に押し付けるようにして再び収納したのだった。