作品タイトル不明
第1783話 浮かれまくるシャーリィ
屋敷の屋上で目玉行事の飛行ショーを楽しんだ後、ライト達はすぐに街に繰り出した。
今日も二手に分かれて行動する予定で、ライトとラウルとマキシは翼竜牧場、ラーデとシャーリィは冒険者ギルドの出店にお出かけだ。
というのも、翼竜牧場にラーデを連れて行ったら今度こそ翼竜達が大パニックを起こすんじゃないか?という懸念が強いからである。
ライト、ラウル、マキシ、そしてラーデを抱っこしたシャーリィはまず冒険者ギルド総本部の出店に向かってのんびりと歩く。
先にラーデとシャーリィをきちんと送り届けてから、ライト達三人で翼竜牧場に向かうのだ。
「シャルさん、今日もラーデの面倒を見てくれてありがとうございます」
「いえいえ、どういたしましてー。てゆか、私は私で一秒でも長くマスターパレン様にお会いしたいし。 出店でのお買い物も、たーっぷり堪能したいもの♪ ただ、もしかしたらラーデ君の方はつまらないんじゃないかと思うけど……」
今日もラーデとともにいてくれるシャーリィに、ライトが改めて礼を言う。
シャーリィとラーデ、二人きりで行動して本当に大丈夫なのか?という心配は一切ない。
というのも、その行き先は冒険者ギルド総本部が経営する出店。
そこにはマスターパレンが常駐しているし、それに加えて今日はレオニスも一日限定イベントで出店横に設置された特別会場にいるのだから。
この二人が同じ場にいれば、そこは地上で最も安全な場所となるのだ。
そしてライトから礼を言われたシャーリィ、ニコニコ笑顔で嬉しそうに答えている。
何故なら冒険者ギルド総本部の出店には、シャーリィが愛して止まないギルドマスターのパレンがいるからだ。
ライト達が翼竜牧場に出かけている間、シャーリィは『翼竜牧場に行けないラーデの傍にいてあげる』という体で先に冒険者ギルド総本部の出店に行くことができる。
愛しのパレンに一年ぶりに会えることに、シャーリィの胸は今から踊りまくっていた。
だが、シャーリィにとっては待ちに待ったスペシャルタイムでも、ラーデにとっては然程興味の湧かない場所になるかもしれない。
そう心配するシャーリィに、ラーデが微笑みながら首を横に振った。
『いや、そんなことはない。人族の営みをこの目で見られるのはとても楽しい。特にその冒険者ギルドとやらは、我が大家さんの勤め先でもあるというからな。果たしてそれがどんなものなのか、じっくりと見ておくつもりだ』
「……それもそうね。というか、冒険者ギルドには私も四年後に入る予定だから、ラーデ君といっしょにしっかりと見て回りたいわ」
『うむ。其方も夢に向かって頑張れ』
「ええ!ラーデ君にそう言ってもらえたら心強いわ!」
ラーデの心遣いに、シャーリィが花咲くような笑顔でラーデをギュッ!と抱きしめる。
踊り子のシャーリィが冒険者になるという夢を語るのを、ラーデは笑うことなく全面的に応援してくれたことがシャーリィには嬉しかったようだ。
そんな話をしているうちに、ライト達は冒険者ギルド総本部の出店の前に到着した。
ライト達三人はここから翼竜牧場に向かい、シャーリィとラーデは一足先にこの出店で過ごす。
「じゃあ、ラウル達も翼竜牧場で楽しんできてね!」
「おう、正午の十二時までには俺達もここに来るから、それまでの間シャーリィ達も存分に楽しんでこいよ」
『うむ。其方達も翼竜達と戯れてくるがよいぞ』
「また後でねー♪ ……さ、ラーデ君、行きましょ♪」
大通りの一角で、二つのグループに分かれたライト達。
ラーデを抱き抱えたまま、ウッキウキのルンルンステップで冒険者ギルドの出店に入っていくシャーリィ。彼女の心は早くもパレンとの甘美なひと時への期待に満ち満ちているらしい。
そんなシャーリィの後ろ姿を、ライト達は微笑みながら見守り続ける。
そうしてシャーリィの姿が完全に消えたところで、ラウルが口を開いた。
「……さ、俺達も翼竜牧場のイベントを観に行くか」
「「うん!!」」
ラウルの呼びかけに、ライトとマキシもまた笑顔で嬉しそうに答える。
三人は踵を返し、彼らの目的地である翼竜牧場に向けて歩いていった。