軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1759話 コテージでの集合

不思議の森からの帰宅直後、ラーデの妻メテオリタとの邂逅を果たしたライト達。

夜の帳が降りきる前にコテージに入った。

『メテオリタ、ここでよく足裏を擦るのだ』

『ン? 何で?』

『家の中に泥汚れを持ち込まないためだ』

『分かったわ。ラー君がそう言うなら、それは必要なことだものね』

玄関入口にある泥除けマットで丁寧に泥を落とすよう、ラーデがメテオリタを指導している。

メテオリタは人族が家の中で暮らす際の慣習など分からないので、それを知っているラーデが懇切丁寧に教えてあげているのだ。

そして玄関入ってすぐにあるリビングで、レオニスがラーデに声をかけた。

「まずは晩飯食ってから風呂、といきたいところだが……とりあえず、ラウルが戻ってくるまで待つか。ラーデ、俺達は向こうの家で着替えてくるから、その間ここで嫁さんといっしょにおとなしく待っててくれるか」

『うむ、承知した』

「よし、じゃあ着替えてくるか。ライト、行こう」

「うん!」

レオニスの指示にラーデが快諾し、レオニスは小さな方の家で着替えるためにライトとともにコテージを一旦出た。

この後十分もしないうちにライト達はコテージに戻ってきたが、その間メテオリタはずっとコテージの中を興味深そうにキョロキョロと眺めていた。

『人族が住む家というの? こういうのを見るのって、すっごく久しぶりだわぁ。……てゆか、この家、人族が住むにしてはかなり大きくない?』

『この森には様々な種族がいて、森の外にもたくさんの知己がいるからな。さすがに巨人族や巨大な竜族まで入れられる作りではないが、それでも多くの客を迎え入れられるように、という願いで作られた家なのだ』

『そうなんだぁ……ラー君も、いつもここで寝泊まりしてるの?』

『たまにな。普段は其方が寝ていたあの平地で寝ている』

リビングにあるテーブルやクッションなど、手当り次第にクンクン、と匂いを嗅いでいるメテオリタ。

メテオリタは五桁の年月を生きてきたが、こうして人族の家の中に入ることは稀なようだ。

ただし、全くの未経験という訳でもないらしい。

そんな当たり障りのない会話をしているうちに、コテージ玄関がバタン!と開いた。

玄関扉の向こう側にいたのは、ラウルに連れられてきたリンドブルムだった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

時は少し遡る。

一旦中座したライト達より先に、コテージに到着したラウル。

レオニスの指示通り、ラーデの二番目の子であるリンドブルムを呼んできたのだ。

ラウルはカタポレンの家に帰宅後、すぐに転移門で中央の天空島に向かった。

そして【修験者の迷宮】に入ると、そこには仰向けで大の字になって寝そべっているリンドブルムがいた。

「リンドブルム!緊急事態だ!」

『……ほげ? ラウル? アナタ、家に帰ったんじゃなかったのー?』

竜の姿であられもない格好で寝そべっていたリンドブルム。

出かけ先で大人数で買い物などしてはしゃいだせいか、ライト達が帰った後ドッと疲れが出てうとうとと寝入りかけていたようだ。

そのせいか、急いで駆けつけてきたラウルを半ば寝呆け眼で見るリンドブルム。

そんなリンドブルムに、ラウルが大慌てで事実を告げた。

「カタポレンの家に帰ったら、ラーデの嫁さんのメテオリタがいたんだ!!」

『………………』

寝起き直後で、ほぼ目を閉じた状態のリンドブルム。

竜の寝起き顔などかなりのレアシーンだが、今はそんなことを言っている場合ではない。

ラウルの言葉を聞いても、しばしぽけーっ……としていたリンドブルムだったが、数秒後に目をクワッ!と見開いた。

『何ですってぇーーー!?!?!?』

先程まで寝呆けていたリンドブルム。

ラウルが告げた衝撃の報告に、ラーデ譲りの黄金色の瞳が大きく見開かれ、ガバッ!と起き上がった。

『え、ちょ、何で何で!? ママンってば、どうしてそっちの方に行っちゃったの!?』

「ちょっと聞こえた話だと、ラーデの匂いを辿ってきたらしい」

『ぁー、うん……確かにママンって、そういうとこ敏感に感じ取るの得意だったわ……』

想定外の出来事にプチパニック状態だったリンドブルムだが、ラウルの話を聞いて納得している。

彼女は他の子と同じくラーデの単為生殖で生まれた子だが、ラーデの妻であるメテオリタのことも実の 母(ママン) と認めて慕っているらしい。

「俺はご主人様に、リンドブルムを連れてくるように言われてここに来た。ファフニールのところで母親の里帰りの話も聞いていたしな。さっき別れたばかりのところをすまんが、リンドブルムもカタポレンの家に来てくれるか」

『分かったわ。ママンがそっちに行ったというなら、一番手近な私が迎えに行かなきゃならないのは道理だもの』

「そうしてもらえると助かる。すぐに行こう」

『ええ』

ラウルの要請にリンドブルムが同意し、二人は中央の天空島入口にある転移門でカタポレンの家に移動していった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

そうして駆けつけたカタポレンの家のコテージ。

リンドブルムがこのコテージを訪れるのは、カタポレンの森が本当にラーデの療養先に相応しいかどうかという視察以来、二度目のことである。

リンドブルムは転移門での移動直後に、コテージの中に入るために人型に変身した。

そして玄関前まで来たのだが、はたと立ち止まりラウルに声をかけた。

『……ここに、本当にママンがいるの? ママンの大きさだと、絶対に入れないけど……』

「ン? メテオリタも身体を小さくしてから中に入っていったぞ?」

『え、そうなの? 里帰りする前のママンは、普段の私より小さくなることなんて絶対になかったのに……』

「コテージに入る前に、ラーデが嫁さんに小さくなるよう言ってたからな。それに従ってたぞ?」

『そっか……パパンがそう言ったなら、ママンが素直に言うことを聞くのも当然ね』

ラウルの証言にリンドブルムはびっくりしていたが、それもほんの一瞬のこと。

メテオリタはラーデのことを大好き過ぎて、ラーデ以外の余程の無理難題でなければ大抵のこもを受け入れてしまう。

娘であるリンドブルムもまた、母のそうした思考回路をよく知っていた。

そうしてラウルがコテージの玄関を開けて、レディーファーストよろしくリンドブルムが先に中に入ると、そこにはラーデと並び会話をしているメテオリタがいた。