軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1637話 懐かしい場所

カタポレンのご近所さんとラーデ親子が、神樹ユグドラツィのもとで交流を深めた翌日。

ライトとレオニス、ラウル、そしてラーデはサマエルとともに、南の天空島を訪れていた。

「うわぁー……南の天空島って、北とも中央とも違う作りで、すっごく広い場所なんだね……」

『ここは我が住処であると同時に、数多の天空竜の居住区でもあるからな』

「確かにな……身体がデカい天空竜が何百頭も住むには、それなりに広い場所が要るわな」

『然り。かつては父上も、この天空島に御座しておられたのだ』

想像以上に広くて大きな場所に出たことに、ライトもレオニスも驚きを隠せない。

サマエルの瞬間移動で飛んだ先で、まず目についたのは荒涼とした岩だらけの荒れ地と、周囲をぐるりと取り囲むように連なる山々。

山の高さは、平面に近い荒れ地を標高0メートルとすると500~600メートルのものが多く、一番高いものでも1000メートル程度。

これらの山の峰々が、まるで柵のように島の周囲に環状となって繋がっていた。

そしてサマエルの帰還を察知した天空竜達が、次々と主のもとに集まってきた。

荒れ地で寝そべっていた者、山の麓で寛いでいた者、溜池で水を飲んでいた者、その他諸々の天空竜達が血相を変えてすっ飛んでくるではないか。

皮膜型の翼をバッサバッサと動かし、その勢いのまま地面にドスン!と着地する度にライト達の身体が3cmほど宙に浮く。

そうして瞬く間にライト達は四方を多数の天空竜に囲まれた。

その数は三桁を優に超えていて、傍から見たら絶体絶命の危機に瀕しているとしか思えない状況なのだが。

全ての天空竜はサマエルに向けて頭を深く垂れており、攻撃される心配はなさそうだ。

『我ガ主、オカエリナサイマセ』

『うむ、出迎えご苦労。今日は我が父上が来てくださった。いつも以上に周囲の空域への警戒を怠らぬようにせよ』

『ハハッ!』

主(サマエル) に命じられた天空竜達が、ほんの数頭を残して一斉にあちこちに散らばっていく。

その残った数頭は天空竜の中でも一際体格が大きく、主の護衛として常時サマエルにくっついている役目を持っているようだ。

再び静けさが戻ってきたところで、サマエルがレオニスとラウルに向けて声をかけた。

『さて……では父上、まずはかつて父上が 塒(ねぐら) にしていた山に行きましょうか』

『うむ。サマエルよ、案内を頼む』

『お任せください』

ライト達はサマエルの後について、島の周りを囲む峰々の中で最も高い山に移動していった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

山の頂上に着いたライト達。

そこには火口などはなく、かなり広めの平地があった。

その広さは、田舎の小学校の校庭くらいはあるだろうか。

山頂に降り立ったラーデが、周囲を見渡しながら呟く。

『懐かしいな……ここは全く変わってないな』

『今は私の住処として使わせていただいていますが、父上がお戻りになられたらすぐにでもお返しいたします』

『そのようなこと、気にせずともよい。其方が使って寛げているなら何よりだ』

『ありがとうございます』

二人の会話からするに、ここはかつてラーデが自室のように過ごしていた場所のようだ。

島の中で一番高い山だけあって、展望台のように天空島全体を見渡すことができる。

他の島々も含めてなかなかに絶景である。

するとここで、サマエルが振り返りレオニスとラウルに声をかけた。

『早速、例のアレを始めてもらおうか』

「「了解ー」」

サマエルの催促に、レオニスとラウルが快く応じる。

今日ライト達が皆で南の天空島を訪れた理由。それは『サマエルがハドリーからもらった茶色い卵を孵化させるため』である。

ライト達は山頂平地の真ん中に移動し、卵の孵化のための様々な準備を始めた。