軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1302話 久しぶりのお茶会

ライトとレオニスがテキパキとお茶会の支度をしていく。

その様子を、二人の女王やウィカ、シロがワクテカ顔で眺めている。

しかし、コヨルシャウキはお茶会などということを今まで一度も経験したことがないので、ライト達が何をしているのかさっぱり分からない。

そんなコヨルシャウキの様子に、水の女王と地の女王が話しかけた。

『コヨルシャウキちゃん、どうしたの?』

『あの兄弟は、一体何をしておるのだ?』

『えーとねぇー、あれはねぇー、私達に美味しいものをご馳走してくれようとしているのよー』

『美味しいもの?』

『そう。ライト達はよくお茶会と称して、私達属性の女王や神殿守護神、そして神樹達にも美味しいものを食べさせてくれるのよ。ねー♪』

『ねーーー♪』

ライト達が催すお茶会を、とても楽しみにしている様子の女王達。

ニコニコ笑顔で向かい合いながらウキウキしている二人に、コヨルシャウキがさらに問うた。

『何のためにそんなことをするのだ?』

『何のため? うーん、それは……皆と仲良くお話をするため、とか?』

『そうねー、美味しいものを食べながらお話をするのって、とーっても楽しいのよー?』

『そうそう、コヨルシャウキちゃんも一度経験してみれば分かるわよ!ライト達が出してくれるスイーツは、すーっごく美味しいんだから!』

コヨルシャウキの突拍子もない質問に、二人の女王は懸命に考えながら真面目に考えて答える。

何故お茶会なんてことをするのか?という素朴な疑問は、女王達は一度も考えたことがなかった。

ただ単に、ライト達が美味しいものをご馳走してくれるから、それをありがたく受け入れていただけである。

しかし、未だにコヨルシャウキには理解できないらしい。

『此方は人族などと違うて、食事など要らぬのだが……』

『あら、コヨルシャウキちゃんもなの? 実は私達も、基本的に食物を摂る必要はないのよねぇ。ほら、私達精霊は魔力さえあればいいから』

『でもー、美味しいものを食べると魔力も増えるしー、何より幸せな気分になるのよねー』

『ねーーー♪』

二人の女王の花咲くような笑顔に、コヨルシャウキは黄色の瞳をぱちくりとさせている。

コヨルシャウキは食事そのものを不要と断じていたが、自分と同じく食事を必要としない女王達はそうではないことに少なからず驚いていた。

『ふむ、そういうものなのか……それはちと興味が湧いてきたのぅ』

『でしょでしょー?』

『うんうん、コヨルシャウキちゃんも私達といっしょにお茶しましょうね!』

それまでコヨルシャウキと地の女王の間にいた水の女王が不意に立ち上がり、スススー……とコヨルシャウキの反対側に移動する。

コヨルシャウキが水の女王と地の女王に挟まれる形だ。

そんな話をしている間に、レオニスの敷物の準備が整った。

『コヨルシャウキちゃん、私達もあの敷物の上に座るのよ』

『ささ、私達も行きましょー♪』

『う、うむ』

水の女王に右手を、地の女王に左手を引っ張られて敷物の上に連れていかれるコヨルシャウキ。

きゃいきゃいと華やぐ女子三人を、ライト達はお茶会の支度をしつつ微笑みながら見守っていた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

そのうちライトのブレンド水が用意できたので、早速ライトがユグドランガに向けて解説を始めた。

「はい!今日のランガさんへのブレンド水は、こちら!ベースの水は天空島に新しくできたアクアの泉のお水で、それにグランドポーションやコズミックエーテルを混ぜてみました!」

『ほう、アクアの泉とな。それはもしかして、其処におられる水神と水の女王が創り給いし泉か?』

「そうです!ランガさんもご存知でしたか?」

『うむ。エル姉様が、天空島に新しい泉が誕生したことを殊の外喜んでおられたのでな』

「そうなんですね!アクア、皆に喜んでもらえてよかったね!」

『うん、僕達が作った泉が皆の役に立って喜んでもらえるなら、これ程嬉しいことはないよ』

今日のブレンド水の内容に、ユグドランガもどことなく嬉しそうな声で話をしている。

ちなみに今回、いつもよりお高い回復剤類をブレンドしたのは、ベースのアクアの泉の水自体が高魔力を含んでいるからだ。

アクアの泉の水自体が良いものなので、それに負けないくらいの高級回復剤をチョイスしたのである。

「レオ兄ちゃーん、ランガさんにブレンド水をあげるのを手伝ってくれるー?」

「おう、いいぞー」

早速ライトがレオニスに声をかけ、自らもブレンド水の入ったバケツを持ちながらふわり、と飛んだ。

ライトが空を飛ぶのを見て、ユグドランガ達が驚いている。

『おお、ライトよ、其方も空を飛べるようになったのか?』

「はい!風の女王様のところの辻風神殿の守護神、青龍から鱗をもらいまして。その鱗の力を取り込むことで、ぼくも空を飛べるようになったんです!」

『人族の進化は、真に日進月歩よのう』

『青龍というとー、シロちゃんと同じ四神の守護神よねぇー。私もいつか、風の女王と青龍に会いたいわぁー』

『うん、私も四神仲間に会ってみたーい!』

ライトが飛べるようになったことを、ユグドランガは人族の進化と捉えている。

だがしかし、いくら何でもそれは拡大解釈のし過ぎというものである。

そして、皆より一足先にブレンド水をご馳走になるユグドランガ。

ライト達がその根元にブレンド水をゆっくりとかけていく。

『おお、これがアクアの泉の水か……実に清らかで、芳醇な香りの中にも力強さを感じる』

「ランガさんのお口にも合うようで、良かったです!」

『エル姉様が、このアクアの泉を絶賛するのも当然だな。若き水神に水の女王よ、このように素晴らしいものを天空島に作ってくれたこと、心より感謝する』

アクアの泉の水の美味しさを大絶賛し、その生みの親であるアクアと水の女王にも礼を言うユグドランガ。

それに対し、アクア達もまた嬉しそうに微笑む。

『どういたしまして。天空島の皆の役に立てただけでなく、冥界樹のユグドランガさんからもそんな風に喜んでもらえるなんて嬉しいな』

『そうですわね!私達のしたことが、天空島の皆だけでなくこんな遠く離れた場所でも喜んでもらえて、とっても嬉しいですわね!』

思わぬところで自分達の仕事を褒められて、アクアも水の女王も照れ臭そうにしている。

そうしてユグドランガへのご馳走が振る舞われた後は、ライト達のお茶会開始である。

敷物の上には、アップルパイやクッキー、大福に芋ようかん等々様々なスイーツが並ぶ。

「さ、じゃあ俺達もお茶会を始めるか」

「うん!」

「「『いッただッきまーーーす!』」」

ライトとレオニス、ウィカがいただきますの挨拶をした後は、皆思い思いに好きなスイーツを手に取っていく。

初めてのお茶会で勝手が全く分からないコヨルシャウキには、両側についた二人の女王がせっせと世話を焼いている。

水の女王が『このアップルパイ、すーっごく美味しいのよ!』と言いながら小皿に取ってコヨルシャウキに渡し、地の女王も『あ、こっちの草餅?も前に食べて美味しかったわぁー♪』と言いながら自分の分とコヨルシャウキの分を一つづつ取っていく。

それをその度に『おお、そうなのか?』『ありがとう。……うむ、何やら苦いのと甘いのが同時に来るな?』等々、満更でもない様子でスイーツを食べている。

ちなみにウィカの前にはイエローサーモンのお刺身、シロの前にはカタポレン産巨大林檎がデデン!と置かれている。

通常の林檎の何倍も大きい巨大林檎だが、白虎のシロの前にあると普通サイズの林檎に見えるからおかしなものだ。

そしてシロは、生まれて初めて見る林檎を前に、クンクン、と匂いを嗅いでいた。

そんなシロに、ウィカが優しく声をかける。

『シロちゃん、その赤い実は林檎といって、すごく甘くて美味しい果物なんだよ』

『果物……この地底世界には、このような真っ赤な実をつける木はありませんの』

『だろうねー。林檎はそのままでも食べられるけど、真ん中には芯があるから外側の美味しいところだけ齧るといいよ☆』

『分かりました……ウィカ様がそう仰るのなら、きっとすっごく美味しいんですよね!』

最初は訝しがっていたシロだが、愛しのウィカが『すっごく甘くて美味しい』と言うならば疑う余地はない。

未知の食物に対し、意を決したようにカプッ!と巨大林檎に齧りついた。

するとどうだろう、シロの口の中に林檎の芳しい香りと甘い汁が口いっぱいに広がるではないか。

それ以降のシロは、目を丸くしながら夢中で林檎を齧り続けている。

夢中になってガツガツと林檎を頬張るシロを、ウィカが糸目笑顔で見守っていた。