軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1301話 新たな役割

地底世界の星々をしばし眺めていたコヨルシャウキ。

ふと視線を外し、ライトに向かって問うた。

『して、ここで此方は何をすれば良いのだ?』

「ン? 特にしなければならないことはありませんよ?」

『何? ここでは此方の果たす役目はないと言うのか?』

「役目…………」

ここでも己の役割を求めるコヨルシャウキ。

何とも生真面目なことではあるが、ビースリー開催に生命を燃やす彼女の性格を考えると当然の流れか。

そしてそんなコヨルシャウキの性格上、この地底世界でも何かしらの役割を持たせた方がいいんだろうな、とライトも思う。

そうしてライトはしばし考えた後、徐に口を開いた。

「そうですね……強いて言えばぼくからは、コヨルシャウキさんにお願いしたいことが二つあるかな」

『何ぞ?』

「まず一つ目は、ここにいるランガさんや地の女王様、白虎のシロちゃんと仲良く楽しくのんびり過ごしてもらえれば、ぼくも嬉しいな、と」

『ふむ……先程も言うておったその者達は、この地底世界?とやらの主達か?』

「そうですそうです。……あ、そうだ、まずは皆さんを紹介しますね!」

まだ互いの紹介をしていなかったことに気づいたライト。

早速コヨルシャウキに向けてユグドランガ達の紹介を始める。

「こちらのとても大きな樹が、冥界樹のユグドランガさん。サイサクス世界で最も古い神樹の一本で、樹齢五千年以上なんですって!」

『ほう、五千年もの長き時を生きてきた樹木か……この地の主に相応しい雄姿よの』

「そして、ランガさんの前にいるのが地の女王様と、地底神殿守護神の白虎のシロちゃん。地の女王様は地属性の精霊の長で、シロちゃんは地の女王様を守る守護神なんですよ」

『精霊の長に、長を守る守護神……皆強力な力を持っておるようだの』

冥界樹や地の女王達の解説を聞いたコヨルシャウキが、数歩前に進み出てユグドランガ達に声をかける。

『この地の主達に目通りが叶い、心より嬉しく思う。此方の名はコヨルシャウキ。銀河を司る女神にして、昏き星海より来たりし者 也(なり) 』

『我は冥界樹ユグドランガ、この地底世界に住みし神樹である。ライトやレオニスの友ならば、我等も其方を友として歓迎しよう』

『私は地の女王よー、よろしくねぇー』

『ワタシはシロ、チーちゃんの護衛兼友達よー、よろしくねッ』

和やかに自己紹介を交わす三者に、ライトもレオニスも内心で安堵している。

特にライトは、目の前で繰り広げられている光景に感動していた。

何せBCOの超人気キャラの属性の女王の一人である地の女王と、同じくBCOレイドボスである四神の一柱白虎が、BCOの期間限定イベントのビースリーボスであるコヨルシャウキと同じ場にいるのだ。BCOマニアのライトが感動しない訳がない。

BCOにおけるそれぞれの居場所、所属するコンテンツが全く違うので、本来なら絶対に交わることなどない者達。

そこに冥界樹ユグドランガというサイサクス世界独自の稀有な存在も加われば、激レア感は右肩上がりのうなぎのぼりのマシマシである。

はぁー、ふっくらまんまるな地の女王様、尊いー。

その横で地の女王様を守るもふもふ白虎のシロちゃんも尊いー。

ここにビースリーボスのコヨルシャウキさんが合流するとか、もう俺得でしかないよね!

ニコニコ笑顔でコヨルシャウキ達を見守るライト。

そんなライトに向けて、コヨルシャウキが再び問うた。

『して、其方の二つ目の願いとは何ぞ?』

「あ、二つ目はですね、この地底世界を侵略しようとする悪い奴等が来たら、是非ともコヨルシャウキさんの力でランガさん達を守ってあげてほしいんです」

『何? この地を狙う輩がいるのか?』

「はい」

ライトの二つ目の願いを聞いたコヨルシャウキ。

その黄色の瞳がギラリ!と光る。

「このサイサクス世界には、勇者候補生達が立ち向かうべき巨悪がいます。そいつらは『廃都の魔城』という場所にいて、『四帝』と呼ばれる四人の幹部がいます。そして四帝は神樹族や属性の女王様達など、力ある者達から魔力や生命を奪おうといつも付け狙っているんです」

『何と……勇者候補生達の敵が既にいるのか』

ライト達のみならず、サイサクス世界全ての者達の敵である廃都の魔城の四帝。

その存在を知ったコヨルシャウキの目はますますギラリ!と閃光を放つ。

『勇者候補生の敵ならば、此方にとっても倒すべき敵である。もし其奴等らがこの地に押しかけてきたとて、此方が其奴等を蹂躙してくれようぞ』

「ありがとうございます!コヨルシャウキさんがいてくれたら千人力です!」

コヨルシャウキの頼もしい言葉に、ライトが破顔する。

コヨルシャウキは、その立場上イベントボスとしてライト達勇者候補生と敵対関係にあるが、彼女の心情は勇者候補生側にある。

そう、コヨルシャウキは勇者候補生達を鍛える鬼教官のつもりであり、彼女から見た勇者候補生は愛弟子のようなものなのだ。

『ならばヒカルよ、其方もその万が一に備えて今よりもっともっと強くならねばな』

「はい、頑張ります!…………って、今日はもうビースリーはしませんからね?」

『何じゃ、今日は修行せぬのか?』

「しませんよ……今日はランガさん達にご挨拶に来たんだし。ランガさんや地の女王様達を放ったらかしにして、またすぐに星海空間に移動する訳にはいかないでしょ?」

『うぬぅ、確かに……』

ライトにますますの修行を促すコヨルシャウキ。

もちろんライトもそれに否やはない。が、今日はビースリーに付き合う気はないことをゴニョゴニョと小声で伝える。

その理由にコヨルシャウキも渋々ながら同意していた。

隙あらばビースリーを開催しようとするコヨルシャウキに、ライトはこれからも手を焼くことだろう。

そうしてだいたいの話がまとまったところで、ライトがにこやかな顔で皆に声をかけた。

「じゃ、そゆことで!今からコヨルシャウキさんの歓迎のお茶会をしましょう!」

『お茶会ー? いいわねー♪』

『ワタシ、ウィカ様のお隣の席に座りたい!』

『おお、ブレンド水なる摩訶不思議な水をいただけるのか?』

『???』

お茶会と聞いた女子二人だけでなく、ユグドランガまでもが速攻で食いついてきた。

ちなみにコヨルシャウキだけは、お茶会の意味が分からずに小首を傾げている。

「そしたらレオ兄ちゃん、お茶会の支度をしよっか!」

「おう、ここ最近俺もずーっと働き詰めだったからな。久しぶりのお茶会は嬉しいわ」

「ぼくはランガさんに出すブレンド水を用意するから、レオ兄ちゃんは敷物と皆のおやつを用意してねー」

「はいよー」

ライトの呼びかけに、レオニスも嬉しそうに応じる。

そうしてライトはブレンド水の用意に取りかかり、レオニスは他の準備にいそいそと動き出していった。