軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1243話 レオニスの帰還と役割分担

コルルカ高原奥地手前から、転移門で急遽カタポレンの家の畑にある転移門に戻ったレオニス。

まだ午前中だったためか、開梱作業に勤しむラウルとその手伝いをするラーデがいた。

レオニスが突如転移門に現れたことに、ラウルが早々に気づき様子を見に現れた。

その腕にはラーデが抱っこされている。

「おう、ご主人様、おかえり。えらく早いご帰還だな?」

「コルルカ高原奥地で緊急事態が起きた」

「何だ、どうした?」

「かつての炎の洞窟と似たような状況になっている」

「!!!!!」

ラウルの軽い問いかけに、レオニスが手短に帰ってきた理由や状況を話す。

炎の洞窟の件はラウルは関わっていないが、それでもライトやレオニスから話には聞いている。

レオニスが帰ってきたことからも分かるように、コルルカ高原奥地が抜き差しならない状況にあることはラウルにもすぐに理解できた。

「じゃあ、ご主人様はそれを何とかする手立てを得るために、一旦こっちに戻ってきたってことか?」

「ああ。コルルカ高原奥地に転移門を作って、直接ここに移動してきた。普通に飛んで移動してたら、また向こうに戻るのにもかなり時間を食うからな」

「そうなのか……俺に何か手伝えることはあるか?」

事情を知ったラウルが、レオニスに手伝えることはないかを尋ねる。

これからレオニスは何ヶ所かを回るつもりだったので、ラウルの申し出をありがたく受けることにした。

「そうだな……そしたらラウルには、魔術師ギルドに行ってもらいたい」

「魔術師ギルドか? そこで何をすればいい?」

「まずはギルド内売店で、魔物除けの呪符をありったけ買ってきてくれ。あと、もしピースにすぐに会えるようなら浄化魔法呪符『究極』を今あるだけ全部受け取ってきてくれ」

「分かった。代金はご主人様のツケってことでいいか?」

「それでいい」

手伝いを申し出たラウルに、レオニスは魔術師ギルドに行って各種呪符の購入を頼むことにした。

これから鷲獅子騎士団員に応援を頼むにしても、先程アルフォンソに渡したように魔物除けの呪符が必要になる。

そして可能ならば浄化魔法呪符『究極』も追加で入手したいところだ。

ただし、魔術師ギルド売店でも割とポピュラーな魔物除けの呪符はともかく、浄化魔法呪符『究極』は特殊な品で一般的ではないので、新たに入手するのは難しいかもしれない。

そのためレオニスは、売店だけでなくピースにも会うようにレオニスに指示を出したのだ。

「俺が魔術師ギルドに買い出ししてる間、ご主人様はどこに行くんだ?」

「まずは鷲獅子騎士団に応援を要請しなきゃならん。鷲獅子騎士団団長のアルフォンソに頼まれたし、実際広大なコルルカ高原奥地のどこかにいる金鷲獅子を探すには人手が要るからな」

「そうか。なら、魔術師ギルドで買い物をした後に鷲獅子騎士団に行けばいいか?」

「そうだな。鷲獅子騎士団の専用飼育場の場所は分かるか?」

「いや、分からん。だが、魔術師ギルドの売店なり冒険者ギルド総本部で聞けば問題ないだろ」

「ぉ、ぉぅ、そうか……手間かけさせてすまんが、誰かに道を尋ねて来てくれ」

買い出し後の合流の場所、鷲獅子騎士団の専用飼育場の場所を全く知らないと自信満々に宣うラウル。

そもそもラウルはこれまで、鷲獅子騎士団など公国生誕祭の飛行ショーを観るくらいしか縁がなかった。なので、専用飼育場の所在地など知りようもないのも無理はない。

そしてレオニスがさらに話を続ける。

「つーか、俺は鷲獅子騎士団に応援を要請した後、もう一ヶ所だけ行かなきゃならんところがある」

「ン? そうなのか? どこに行くんだ?」

「竜騎士団の専用飼育場だ」

「何でまた竜騎士団に? もしかして、竜騎士団にも応援を要請するのか?」

レオニスが言うもう一つの行き先、それは竜騎士団の専用飼育場だという。

一見鷲獅子騎士団とは関係なさそうな場所なのに、何故今この時に竜騎士団専用飼育場に行く必要があるのだろう。

その意味が全く分からない様子のラウルに、レオニスが理由を説明した。

「こないだの邪竜の島討滅戦の際に、瘴気対策で浄化魔法呪符『究極』を竜騎士達全員に配ったのを覚えているか?」

「ああ、そういや俺もピースがログハウスで描いた呪符を何度か回収して、それをご主人様や竜騎士達に渡して回ったな」

「そう、それそれ。その時に未使用で余ったものは、後日まとめて返してもらう約束をしてたんだが。まだ受け取ってないんだ」

「ああ、それでか……魔術師ギルドで浄化魔法の『究極』がすぐに手に入るか分からんもんな」

「そゆこと」

レオニスの解説に、ラウルがこの上なく得心している。

今回レオニスがラグナロッツァに戻ったら、三ヶ所を回るつもりでいた。

一つは鷲獅子騎士団の専用飼育場。言わずもがな、アルフォンソが書いた手紙を届けて金鷲獅子の捜索のための人員を派遣してもらうためだ。

二つ目は、魔術師ギルド。これはラウルに依頼した通りで、魔物除けの呪符と浄化魔法呪符『究極』を入手するためだ。

そして最後の三つ目が、竜騎士団の専用飼育場だった。

それは、竜騎士団達に直接用があるのではなく、先日の天空島での戦いの際に用意した浄化魔法呪符『究極』の余剰分を回収するつもりでいたのである。

一人で三ヶ所を回るのはそれなりに時間を食いそうだが、ここでラウルの手助けが得られるのはありがたい。

レオニスが直接話をしなければならない鷲獅子騎士団や竜騎士団と違い、魔術師ギルドでの買い出しだけならラウルにも任せられる。

呪符の買い出しはラウルに任せて、レオニスは両騎士団を回ることにした。

二人はカタポレンの家の中に入り、ラグナロッツァの屋敷に繋がる転移門があるライトの部屋に向かった。

ライトの部屋に入ると、ラウルが抱っこしていたラーデをライトのベッドの上にそっと置いた。

「ラーデ、俺は今からご主人様のお遣いをせねばならん。ラーデはここで留守番しててくれるか?」

『分かった。我を連れて人里には行けんからな。ただし、一つだけ頼みがある』

「ン? 何だ?」

『人里での用事を終えた後、其方らはコルルカ高原に行くのだろう? コルルカ高原に行く際に、我も連れていってはくれまいか』

それまでずっと静かに二人の話を聞いていたラーデ。

留守番するように話しかけるラウルに、一度はそれを承諾しつつもコルルカ高原に連れていけと言うではないか。

ラーデの突然の頼みに、レオニスが不思議そうな顔で尋ねる。

「どうしてラーデはコルルカ高原に行きたいんだ? 今のコルルカ高原は、かなり危険な状況にあるんだが」

『コルルカ高原には、鷲獅子の王がいる。其方らが言うところの金鷲獅子だな』

「ああ。今回俺が鷲獅子騎士団とともにコルルカ高原に遠征に出かけたのは、金鷲獅子に会うためだしな」

『我はかつて邪皇竜に身体を乗っ取られるまでは、鷲獅子の王とも友誼を結んでいたのだ』

「そうだったんか……」

伏し目がちにレオニスの問いに答えるラーデに、レオニスもラウルも何と言葉をかけていいものやら分からない。

ラーデは皇竜メシェ・イラーデとして空と竜を統べる存在。

そして金鷲獅子は中空の覇者として地上に君臨する存在。

両者とも特別な存在であり、争うことなく友誼を結んでいたというのは驚くべきことだ。

そして友誼を結んだ友の危機と聞けば、ラーデが何故コルルカ高原に行きたがったのかもよく分かるし、その願いを叶えてやりたいとも思う。

「よし、そしたらラグナロッツァに行く前に、外の転移門の行き先を追加しとくか」

「さっきご主人様が帰ってきたように、こっちからもコルルカ高原に行けるようにするってことか?」

「ああ。そうすりゃラーデもラグナロッツァを経由せずに直接コルルカ高原に行けるからな」

「そりゃいい!良かったな、ラーデ!」

『ああ、我の願いを聞き入れてくれてありがたい』

レオニス達は再び家の外に出て、転移門のところに向かう。

転移門の操作パネルを開き、ホログラムパネルを開いてカスタマイズを始めるレオニス。

行き先に『コルルカ高原奥地』と入手し、操作完了したレオニスがラウル達に向かって話しかけた。

「ラウル、魔術師ギルドの呪符を俺に渡したらお前はすぐにこのカタポレンの家に戻って、ラーデといっしょに転移門でコルルカ高原に向かえ」

「了解」

「ただし、俺や鷲獅子騎士団員と合流する前に勝手にあちこち動くなよ? 鷲獅子騎士団の方も出動の支度で多少時間がかかるだろうから、お前らの方が先に移動するだろうし」

「分かってるって。右も左も分からん場所で、あちこち彷徨くほど馬鹿じゃねぇって」

「ならいいがな。ラーデもおとなしく俺達の到着を待てよ?」

『承知した。我の願いを聞き届けてくれたことに、恩義を感じはすれど仇で返すことなど絶対にしないと誓おう』

ラウルとラーデに、行き先のコルルカ高原奥地でおとなしく待機しているよう厳重に釘を刺すレオニス。

コルルカ高原の地理に疎いラウルやラーデまで行方不明になったら、それこそ洒落にならない。

「じゃ、改めてラグナロッツァに行くか」

「ラーデ、俺がこっちに帰ってくるまでここで待っててな」

『承知した』

レオニスとラウルは再びカタポレンの家の中に入り、ラーデはそのまま外で転移門の近くでラウルの帰りを待つことにした。

家の中には入らず、レオニス達と一旦分かれたラーデ。

地面に足を放り出すように座り、カタポレンの木にその背を凭れかける。

そして晴れた青空を眺めつつ、遠い地にいる旧友の身を案じていた。