軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1235話 名無しの洞窟

カタポレンの家を出たライト、とあるポイントに向かう。

それは、カタポレンの家から走って三十分程のところにある小さな洞窟である。

その洞窟は、洞窟と呼ぶにはかなり小さく、ぶっちゃけ『岩の裂け目に毛が生えたようなもの』と称しても差し支えないくらいだ。

入口の高さは二メートルあるかないかくらいで、レオニスやラウルが入ったら頭が閊えそうな小さな洞窟。発見直後に一回だけ魔物除けの呪符を使って奥に入ってみたが、50メートル程度で行き止まりになる単純な一本道構造だった。

そんな小規模なものだから、当然固有の名前などついていないし、レオニスもこの洞窟の存在すら知らない。強いて言うなら『名無しの洞窟』である。

この洞窟は、今年の冬になってから新しく見つけたものだ。

ライトが毎朝行っている、魔石回収ルーティンワークの回収ルートとは全く違う方向にある。なので、この洞窟の存在に長らく気づかなかった。

あー、もっと早くにこの洞窟の存在に気づきたかったなぁ……と思うライト。

何故ならこの洞窟には、ライトが素材として求めてやまない単眼蝙蝠がいるのだ。

今ライトが目指しているのは『エクストラクエスト54番目のお題、濃縮ギャラクシーエーテル10個を集めること』である。

このお題をクリアすれば、その報酬に『身代わりの実追加レシピB』が入手できる。

追加レシピAの方だって、神威鋼の入手の目処すら立ってはいないが、それでも追加レシピAとBの両方を早めに知っておけば、今後より効率良く動けるというものだ。

そしてこの濃縮ギャラクシーエーテルの材料で、目に見えて不足しているものがいくつかある。

そのうちの一つが『単眼蝙蝠の羽』であり、今日はその単眼蝙蝠狩りのためにこの名無しの洞窟を訪れたのだ。

ライトは洞窟の入口手前に立ち、マイページを開いてアイテム欄からエネルギードリンクを一本取り出す。

そして入口から三歩程奥に入り、そのままそこで待機する。

すると、程なくして数匹の単眼蝙蝠がライト目がけて襲いかかってきた。

ライトはすかさず物理系必中スキル【手裏剣】を繰り出して、単眼蝙蝠を次々と仕留める。

普通なら、しばらく戦っていればライトの強さに気づいて怯むか逃げるかするところなのだが。単眼蝙蝠の知能は非常に低いので、同族がどうなろうと知ったこっちゃないしそもそも同族を仲間とも思っていない。

しかもライトの場合、見た目だけなら小さな子供なので単眼蝙蝠の方も『コイツナラ 殺(ヤ) レル!』『余裕ヨユー!』とばかりに油断してかかるのだ。

ライトとしては、雑魚魔物に舐められようが別に全然構わない。むしろ油断してくれる方が簡単に仕留められて楽ちんだし、子供の外観も立派な武器になるんだな、とすら思う。

というか、全く懲りることなく絶えず襲いかかってくる単眼蝙蝠と比べたら、自分を見て速攻で逃げ出すようになってしまった小型及び中型の咆哮樹の方が余程賢いんだな、とも思うライトである。

そして、単眼蝙蝠狩りでポイントとなるのは『単眼蝙蝠の目玉と紐のように長い尻尾の境目を断つように【手裏剣】を打つ』ということだ。

単眼蝙蝠は大きな一つ目が本体のようなものだが、その一つ目の後ろに生えている細長い尻尾を断つと絶命するのだ。

言ってみれば人間で言うところの胴体真っ二つのようなものである。

今のライトが欲しいのは『単眼蝙蝠の羽』だが、その目玉や尻尾も立派な素材の一つ。そのため、羽はもちろんのこと単眼も尻尾も全て良い状態で仕留めたいのだ。

果たしてそれらの素材が役立つ日がいつ来るのかは分からないが、BCO由来の素材はマイページのアイテム欄に入れて保管できるので、どれだけ所持数が嵩もうとも全く問題ない。

ライトは次々と襲いかかってくる単眼蝙蝠を相手に、サクサクと仕留めてはアイテムリュックに収納していく。

仕留めたばかりの獲物はマイページのアイテム欄に収納できないので、ひとまずアイテムリュックに入れてから持ち帰って解体するのだ。

そうして三本目のエネルギードリンクを飲み干し終えたところで、ライトは単眼蝙蝠の死骸を全てアイテムリュックに回収してから一旦洞窟の外に出た。

エネルギードリンクは一本につきSP500回復するので、三本で合計1500SPを消費した勘定になる。

単眼蝙蝠はライトの【手裏剣】一発で仕留められるので、狩った数も1500匹を超えた。

ライトが目指す濃縮ギャラクシーエーテル10個分に必要な『単眼蝙蝠の羽』は4万個。

羽は一匹につき二個採れるので、二万匹は狩らなければならない計算だ。

それを思うと1500匹なんてまだまだ足りないが、それでも『千里の道も一歩から』の諺通り、少しづつ積み重ねていかねばならない。

そして、ここまでの所要時間は移動時間を除き約一時間半。

手持ちの懐中時計を見ると、午前十一時になる頃だ。

「ンー……少し早いけど、もうすぐお昼ご飯になるし。一旦家に帰ろっと」

少し時間は早いが、帰りの移動時間を考慮して早めに切り上げることにしたライト。

アイテムリュックを背負ったライトは、再び森の中を駆けていった。