軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1074話 ご当地グルメ三昧と浜辺の散策

冒険者ギルドセンチネル支部を出たライトとラウル。

受付嬢マリヤからもらった観光マップを片手に、センチネル内の様々な店を回った。

ジャーキー屋では、ラウルのお目当てのシーファルコンジャーキー以外にも様々な品があった。

ライト達もよく知るパイア肉やペリュトン肉、他にもエビルキマイラやマンティコアの肉のジャーキーまである。

そこの店主の話によると、アクシーディア全土から様々な種類の肉を取り寄せてはジャーキーに加工しているらしい。何とも探究心旺盛な店主である。

そしてその探究心は肉系だけに留まらず、ジャイアントホタテやフライングエイやキラーシャークなどの魚系にまで及んでいた。

ちなみにこのフライングエイやキラーシャークは、センチネルの街から程近いところにある竜尾大河という川に出る固有魔物である。

川に鮫が出るの?という疑問が湧くところだが、あまり深く考えてはいけない。

クラーケンのイードだって淡水湖に住んでいるのだ、鮫が川に住んでいても何らおかしくないのである。

そしてもちろん大本命のシーファルコンジャーキーも、たったの一種類でない。

普通シーファルコンジャーキーといえば、シーファルコンの腿肉を指す

だがその店には、腿肉だけでなく胸肉や手羽元手羽先、肩肉なんて希少部位まであるではないか。

これにはさすがのラウルもびっくり仰天である。

そして、そうした各種珍味が並ぶ図を前に黙って指を咥えるラウルではない。

どの品も小粒のジャーキーを味見させてもらったラウル、何と全て気に入って全種類を購入することにした。

在庫の多寡により量にバラつきはあるが、最低でも各種1kgは購入した結果、総額10万Gものお買い上げになっていた。

もちろん店主はホックホク、珍しくて美味しい食材を入手できたラウルもホックホク。

ライトだけがただただ口をあんぐりとさせながら、ラウルの爆買いを眺めていた。

ジャーキー屋での滞在時間も一時間を優に超え、店を出て昼食を食べることにしたライト達。

道すがら二人はのんびりとした会話を交わす。

「ラウル、今日もすっごいたくさん買い物したねぇ」

「おう、あの店の干し肉はどれも予想以上に美味かったからな」

「ラグナロッツァの市場には、干し肉屋さんってないの?」

「ンー、さすがに干し肉だけを売る専門店ってのは見たことがないな。肉屋なら必ず干し肉もあるのは知ってるがな」

「そうなんだー。そしたら今度、ジョージ商会で売っている干し肉も見に行こうね!」

「そうだな。他の冒険者が買い付ける御用達の味を知るのも、勉強になりそうだ」

道中でラグナロッツァの干し肉話で盛り上がるライト達。

ラグナロッツァは大国アクシーディアの首都、大抵のものは売っているし手に入る。

だがやはり、パイア肉や、シーファルコンジャーキーといったご当地グルメや、あるいはぬるシャリドリンクのような尖った特産品までは手が及ばない。

そうした珍しいレア物が欲しければ、各地に赴いて直接買い付ける他ないのである。

そんな話をしているうちに、受付嬢マリヤが教えてくれた人気の食事処『迷える小ワシ亭』に到着したライト達。

店の中に入ると、かなりの客がいてとても賑わっている。

それでも何とか空席を見つけ、ライトとラウルはテーブルに着いた。

壁のメニューを見て、二人が頼んだのは『シーファルコンジャーキー丼』と『シーファルコンジャーキー鍋』の二つ。

一応ライトが丼、ラウルが鍋を頼んだが、どちらもシェアする予定である。

程なくしてテーブルに運ばれた丼と鍋、二つのジャーキー料理に舌鼓を打つ。

「このジャーキー丼、甘辛のタレがご飯に絡んで美味しーい!」

「鍋の方も、煮汁に肉の旨味がたっぷり出てて絶品だな」

「ラウル、ラグナロッツァに帰ったらこの味を再現できる?」

「さすがにすぐに再現できる気はしないが、久々に研究のし甲斐のある食材に出会えたのは間違いない」

「そしたらさ、こないだの呪いの鉄鍋でジャーキーを使った芋煮鍋を作ってみない?」

「お、それいいな、普通の具材の芋煮よりもさらに美味い芋煮ができそうだ」

絶品ご当地グルメを頬張りながら、和気藹々と会話するライトとラウル。

特にラウルの方は、ジャーキーという新たな未知の食材に対して研究する気満々のようだ。

そしてライトの提案『呪いの鉄鍋でジャーキー入り芋煮を作る』に対し、ラウルも前向きに捉えている。

普通、呪いの鉄鍋なんてものを入手したらお蔵入りしそうなものだが。ラウルの場合、呪いを承知で購入したので活用してナンボである。

いずれにしても、呪いの鉄鍋を活用できて何よりである。

昼食を済ませ、お会計450Gの支払いを済ませて店を出るライトとラウル。

次に向かうはシーファルコンの出没場所である浜辺。ライトのナイショの目的地ブリーキー島が見えるという海辺だ。

いよいよライトの大本命『呪われた聖廟』をこの目で見られる―――ライトの心は、弥が上にも高揚していった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

『迷える小ワシ亭』から出て、のんびりと歩くこと約三十分。

人気も家屋もなくなってしばらく進んだところに、広大な砂浜が見えてきた。

「ここが、シーファルコンの出る浜辺かな?」

「多分な」

「はー……海ってさぁ、何度見てもすっごく広いね!」

「ああ、川や池、湖とも違う景色だよな」

普段は見られない海を見るだけで、テンション爆上がりのライト。

サイサクス世界の海を見るのは、エンデアン、ラギロア島に続き三ヶ所目である。

引いては寄せる波打ち際、海だけが見せる独特の動きと音。これ一つだけで何時間でも眺めていられそうだ。

とはいえ、本当に波打ち際だけを眺めている訳にもいかない。ライトはラウルとともに浜辺をゆっくりと散策する。

ザッ、ザッ、という足音を立てながら、二人は砂浜を歩いていく。

サイサクス世界の海辺には、ほとんどゴミが落ちていなくて綺麗なものだ。

このセンチネルの街の場合、一日三回の巡回中にゴミを見つけたら拾って持ち帰る、という習慣があるおかげでもある。

だが、そうした習慣のないエンデアンやラギロア島でもゴミ問題は全くない。それはきっと、海から流れてくる不法投棄のゴミなどが一切ないからだろう。

綺麗な海っていいなー、と思いながら歩くライト。

その矢先、浜辺の固有魔物である海蜈蚣が砂浜から飛び出し、ライト達目がけて襲いかかってきた。

「キシャアアアアァァァァッ!」

身の丈3メートルはあろうかという、巨大な蜈蚣。

数多の足をワシャワシャと動かし、大きな牙をガチャガチャと鳴らしながら威嚇してくる。

海蜈蚣がライトという標的を定め、鎌首をもたげた瞬間。

ライトの横にいたラウルが、無言のまま手を前に出し手刀を横に薙いだ。

「?????」

ラウルが横一文字に手刀を斬ってから数瞬。

海蜈蚣の動きが止まり、その身体が上下真っ二つに分かれた。

ラウルが風魔法を発動し、海蜈蚣の巨体を切り裂いたのだ。

その見事な腕前に、ライトはすぐに絶賛した。

「おおおー、今のはラウルの風魔法だよね!?」

「ああ。こいつの身体は縦に長いだけで、厚みは然程なさそうだったからな。風魔法一つで事足りると判断した」

「無詠唱でこんな強い魔法を出せるなんて、やっぱラウルはすごいや!」

「お褒めに与り光栄だ」

パチパチパチパチ!という大きな拍手をしながら、ラウルの魔法を大絶賛するライト。

このサイサクス世界の魔法は、基本的に長い詠唱は必要としない。

だが、それでも技名のような数言の短い詠唱は必要だ。実際レオニスも、戦闘中に攻撃魔法を使う時は攻撃魔法の名称を唱えている。

しかし、ラウルにはそうした攻撃魔法の名称すら不要らしい。

本人曰く「頭の中や心の内で、出したい魔法のイメージを強く想起すれば魔法は使える」とのこと。

ここら辺は妖精独自のものなのか、あるいは種族毎に魔法の使い方が異なるのか、はっきりとした要因は分からない。

「あ、ラウル、この海蜈蚣の死骸、ぼくがもらってもいい?」

「もちろん。蜈蚣じゃ食えるところなさそうだしな」

「ありがとう!」

早速海蜈蚣の死骸を入手したライト。ホックホクの笑顔でアイテムリュックに仕舞い込む。

それからもライト達は、しばらく浜辺の散策を続けていった。