軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

162 王都騎士団④

「ではそれぞれやりましょうか。ですがこちらのほうが数が多いですな……」

ベリウス団長が思案する。

「別の所では使い魔と戦ったりしてたけど……?」

「なるほど。それも良い経験になる……。ですが無理を承知でお願いするならば、ぜひとも対人戦の経験を積ませたいのです」

「そういうことなら別に、私は何人相手でも構わないわよ」

「本当ですか!?」

「まあ俺も何人かくらいは相手にできると思う」

「そう言っていただけるとありがたいです。是非お願いいたします」

相変わらず腰の低いベリウス団長。

団長自身はもう歳が歳だろうから参加しないにしても、隊長だけで四人……。いやガルム副団長だけは別格だろうな。

副長クラスは隊長たちと比べるとそこまで戦闘能力が高いようには見えない。こっちならある程度の人数が相手できそうではあった。

問題はアイルか。

「大丈夫か?」

「いえ……少し緊張が……」

「固くなる必要はないわ。別にどんな結果になろうと、これは模擬戦なのだから」

「そうはいっても私のせいでお二方の評判に傷がついたらと思うと……」

「傷ついて困るもんでもないさ。息抜きだと思ってやってくれ」

「わかりました……」

相変わらず表情は固いがまあ仕方ないな。

頑張ってもらおう。

そんな話をしていると、横で聞いていたベリウス団長がこんな提案をしてきた。

「もしよろしければ私がお相手いただくというのはいかがですかな?」

「え?」

「衰えた身ではありますがこう見えても若い頃はそれなりにならしたものです。老人のわがままに付き合わせてよろしければ、一つ稽古と思ってお相手いただけますかな?」

アイルを見る。

「それでも良いか?」

「はいっ! 全力で当たらせていただきます」

ということなのでこちらはそうしよう。

気を使わせたかも知れないな。

「わたしもいつでもいいわよ」

「では、順次始めましょうか」

◇ガルム視点

「これが同じSランク……だと?」

ランドとミルムが副隊長たちと戦うのを見て驚愕するガルム。

ガルム自身、単体でSランクに上り詰めた元冒険者だった。

「まるで歯が立たんぞ……」

ミルムの魔法は副隊長たちを寄せ付けないばかりか、途中からはあえて攻撃を受ける余裕すら見せていた。

それでいてなお、あの少女に傷ひとつつかない。

文字通り指先一つで剣を受け止められているのだ。

「あり得るか? そんなこと……」

ガルムが視線をランドに移す。

こちらもまた常人離れした戦闘を繰り広げている。

「ネクロマンサー……ほとんどテイマーの延長線上のものと聞いていたが……これではまるで別物ではないか……」

ガルムの頬に冷や汗が伝う。

ランドの剣はミルムに比べれば普通なのだ。

だがだからこそ、その地力の差が際立ってしまう。

剣技の問題ではない。そもそも冒険者の剣は魅せるためではなく殺すために特化しているため、騎士団と比べれば独特の変則的な型を持つ。

差が出るのは根本の力、基礎体力、覇気、精神的な余裕……どれをとっても副長レベルでは、いや隊長格ですらまるで話にならないほどに圧倒的な差を見せつけている。

「こんな化け物が…… 敵(・) 対(・) するというのか……?」

ガルムのつぶやきは誰にも聞かれることなく虚空に消えた。