軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

148 来客

『 主人(あるじ) 様、お取次ぎを求められているお客様がいらっしゃいますが、いかがいたしましょう』

ダンジョン攻略へ向かう前の準備期間として設けた休暇中、ロバートからそんなことを言われた。

「名乗っていたか?」

『ええ。ミッドガルド商会のマロン様と』

「マロンさんか! すぐに会う。準備をしておいてくれ」

『かしこまりました』

スウッと身体を透過させて離れるロバート。

それでなくても優秀な執事だが霊体をつかいこなしてることによって拍車がかかっているようだった。

「ご無沙汰しております。ランド様」

「いや、わざわざこんなところまで来てもらって……」

「それは全く問題ありません。非常に面白いものも見れましたしな」

アンデッドタウンとなったこの領地を見て面白いというあたりがさすがというかなんというかという感じだった。

あれからこちらは色々あったので一時頭から抜けていたんだが、ミルムの渡したコウモリを通じて近々来ることだけは伝えられていた。

装備の製作の目処が立ったか、あるいはもう出来上がったということになるはずだ。

「で、来てくれたってことは……」

「ええ。ご依頼いただいておりました装備の件でございます」

だがその表情は暗い。

不思議に思っているとミルムが口を開いた。

「死の匂いがするわね」

「死の匂い……?」

何事かと思っているとマロンさんが頭をかき始めた。

「流石は死の王とまで称されるヴァンパイアロード様といったところでしょうか……」

一瞬そう言って苦笑いを浮かべたマロンさん。

次の瞬間には真剣な表情に戻り、状況を伝えてくれた。

「単刀直入に申し上げましょう。我が商会最高の職人であったセラ……ハイエルフとドワーフのハーフと申し上げたあの職人が……死にました」

俯くマロンさん。

その表情は商会の損失や俺達との取引への影響以上に深刻なものを感じさせていた。

もちろん死という大きな出来事がそうさせる部分もあるだろう。

だがセラと言ったか……その職人とマロンさんの個人的なつながりや想いが、彼をその表情にさせているように感じ取れた

「連れてきているのでしょう?」

「お気づきでしたか……あれから私もネクロマンサーというものについて調べました。ですがランド様以外の情報にたどり着くことはできず……それでもランド様の情報を頼りに、この状況でもなにか希望があるのではないかと思い……」

それは商人の言葉ではなかった。

マロンという個人の、一人の人間としての切実な願いだった。

「本人に未練はあったか?」

「それはそうでしょう……なにせ最後になった剣は間違いなく過去最高の素材で、過去最高の出来栄えが約束されていたと判断できるほどの状態でありながら、工程の途中で息絶えておりましたから……」

「なるほど……」

それならいけるかもしれないな。

「どちらにしても早いほうがいいんじゃないの?」

「そうだな。マロンさん、職人の遺体は……?」

「こちらです」

大量に持ち込まれたと思っていた荷物の中に、たしかに棺になっている木箱があった。

「随分小さい……って女か⁉」

ドワーフと言っていたし職人と言っていたからてっきりむさ苦しいおっさんかと思っていたら、見た目は十歳くらいにしか見えない少女だった。

まあいい。今はそれどころじゃないな。

ただ……できるか?