軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

89、歴史の授業と図書館

ロニーと朝に屋台の話をして、今は二限目が始まるところだ。今日の二限目は歴史なのでちょっと楽しみだな。

授業時間になって少し経ってから、かなり歳をとったおじいちゃん先生が現れた。

「わしが歴史の授業を担当する。これからよろしく頼むぞ」

そう言って歴史の授業が始まった。自己紹介もなしなの!? 結構なおじいちゃん先生だけど、大丈夫なのかな。

かなり腰は曲がってるし顔はヨボヨボだ。ただ、髪の毛だけは綺麗な緑色のまま。パサパサだけど……

そういえば、この世界の人って歳をとっても白髪にはならないのかな? 今まで白髪の人にあまり会ったことがないかも……?

「では、この国が作られたところから話を始めよう。五百年程前、この大陸には大国がなく小国が乱立していた。国が生まれてはすぐに滅ぶ。戦乱の世じゃった」

日本でいう戦国時代みたいなことだよな。その時代に転生しなくて本当に良かった。

「人はどんどん死んだ。子供は生まれても育たなかった。環境が悪すぎたのじゃ。戦いにより土地は荒れ、作物が育ちにくくなった。食べるものが減っていった。それによりまた争いが激しくなる。そんな悪循環が起きていた」

やばすぎるだろ……そんなに酷い状況だったのか? 下手したら人間絶滅するじゃん。

「そんな時、ある小国に一人の少女が生まれた。その少女は神の使徒様じゃったのだ。使徒様は全ての属性魔法を使いこなし、様々な神の知識を持っていたそうだ」

使徒様の話だ! 今までずっと使徒様だって言われてきたからめちゃくちゃ気になる。

「使徒様にはどんな攻撃も効かない。使徒様は何もないところから物を取り出せる。使徒様は長い距離を一瞬で移動できる。このような逸話がたくさん残っておる」

使徒様ってそんなにすごい人だったのか!? 全然俺とは違うじゃん!

それにしても、どんな攻撃も効かないってバリアみたいだ。それに、何もないところから物を取り出せるのはアイテムボックス、長い距離を一瞬で移動するのは転移だよな。

なんか、小説の中の話みたいだ。

…………うん? でも、それってこの世界の話だよな?

それなら、この世界でそれらの魔法は使えるってことなのか? それとも使徒様限定かな?

今度試してみたいな…………

「そんな使徒様が戦乱の世をまとめたのじゃ。たくさんの国を併合して、ラースラシア王国を作った。それがこの国の始まりじゃ」

そこからの話は、戦乱の世の話だった。異世界の戦国時代の話なんてかなり興味があるけど、俺はずっと使徒様のことが気になっていた。

使徒様の話はさらっと終わっちゃったけど、どんなことをしたのかもっと詳しく知りたいな。俺と同じような能力を持ってる人だし、興味があるのだ。

図書館に行けば使徒様についての本があるだろうか?

俺はそう考えて、授業が終わりリュシアンと昼食を食べてから、図書館に向かった。お昼休みはかなり長いので、ご飯を食べた後に時間が取れる。

うーーん、やっぱり図書館いいな。俺は図書館に入り深呼吸をした。なんとなく雰囲気が落ち着くんだよな。

さて、使徒様の本はどこにあるだろうか?

俺は自分で見つけたいなと思ってしばらく歩き回っていたが、見つけられなかったので断念して受付にいる職員に聞いてみた。

「すみません。使徒様の歴史についての本を探しているのですが、どこにあるかわかりますか?」

「はい。ご案内いたします」

俺がそう尋ねると、すぐに受付から出てきて案内してくれた。図書館の職員って本の場所全部覚えてるの? それだったら凄いな。

「こちらの本でよろしいでしょうか?」

案内してくれた場所にあった本は『使徒様の偉業』というタイトルの本だった。

「この本で大丈夫です。案内ありがとうございます」

「いえ、では失礼致します」

俺はその本を手に取って、近くにある椅子に座って本を開いた。

最初の数ページは、とにかく使徒様を称える文言が並んでいる。これを書いた人は使徒様を崇拝してたんだな。

それが終わると、やっと使徒様が残した偉業についての話が始まった。頻繁に使徒様の凄さを称えることに話が逸れるので読みづらかったが、そこを飛ばして読めばそれほど内容はないのですぐに読み切った。

ざっと読んだ話をまとめると、

ラースラシア王国を作った。

貴族制度やその他様々な制度を作った。

お辞儀や敬礼など神様の仕草を広めた。

一日三食という神様の習慣を広めた。

「いただきます」「ごちそうさま」という神に感謝する言葉を教えてくれた。

酪農と畜産を発展させた。

大豆はそのまま、小麦粉はパンとして食べると健康になれると教えてくれた。

全属性の魔法を使えた。

この世界にない魔法も使えた。

こんな感じだった。

えっと……使徒様って何者? こんなことあるのかわからないけど、使徒様って俺と同じで日本からの転生者だったりする?

いや、流石にそんなことはないかな……でも、お辞儀とか敬礼とか、日本と同じだからなんでなんだろうって思ってたんだ。

それにいただきますとごちそうさまも。この世界に似たような言葉がないと翻訳されないからこの世界でも通じることに驚いたけど、使徒様が広めたものだったなんて。

でも、大豆はそのまま小麦粉はパンとして食べると健康になれるってどういうこと? そんな話は日本で聞いたこともないよな。そういう健康法でもあるの?

というか、その教えがあったからこの世界でパンケーキがなかったのか。

それに大豆! この世界には大豆があるのに、そのまま食べる以外の調理法を見たことがなかったから不思議だったんだ。絶対この教えのせいだよ。

もしこの教えがなかったら、醤油や味噌とか調味料が開発されてたかもしれないのに! 使徒様余計なことを!

酪農と畜産を広めてくれたのはありがたいけどさ……

この世界はもともと植生や気候が日本みたいなんだけど、それだけで人々の生活まで日本的になるわけがないもんな。

今まで感じてきた日本ぽいと思ったことは、全て使徒様が関わってると考えても良いだろう。

確かめる術はないけど、俺と同じで日本からの転生者って可能性が高い気がする。

そう考えると、俺って同じ転生者だから神の使徒なのか? でも、神様と会ったことないしな。

うーん……そういえば、前の使徒様はなんで神の使徒様だと認められたんだろう?

神様と会話ができたとか? 何か証となる物を持ってたとか? 予言ができたとか?

その辺のことは書いてないし、さっきの授業でも言ってなかったからわからないけど、何かしら神の使徒だと認める証があったんだろうな。

そう考えると、俺は神の使徒じゃないよな。皆に認めさせるようなものもないし、そもそも神様と会ったことないし。

とりあえず、これはいくら考えてもわからないからやめよう。この中で特に気になるのは、この世界にない魔法も使えた、この点だよな。これってさっき言ってた転移魔法とかのことだろうか?

俺は全属性という点では使徒様と同じだから、もしかしたら使徒様が使ってた魔法が使えるかもしれない。

これは試してみたい!

今日の放課後に少し時間を作って訓練場でやってみようかな。多分誰もいないだろう。

俺は放課後を楽しみにしながら本を棚に戻し、図書館を出て教室に戻った。早く放課後にならないかな。

「レオン遅いよ! もう授業始まる時間だよ?」

「ごめん、ちょっと図書館行ってたんだよ」

「図書館? 何か気になる本でもあったの?」

「そう。使徒様について調べてたんだ」

結構良い本があったよな。まだ良い本があるかもしれないから、図書館は頻繁に行こう。

「使徒様ってこの国を作った人だよね?」

「そうだよ。歴史の授業で気になったんだよね」

そこまで話したところで先生が来た。それからは、しっかりと午後の授業に集中した。