軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

455、美味しいご飯を

ジェロム達が各々の家を整え始めたところでまた馬車が集まる場所に戻った俺は、今度は建築士の皆のところへ向かった。

第一陣としてこの領地に来てくれた建築士の皆は総勢十五人。この十五人が領地発展の要となる。

「皆、大公領に来てくれてありがとう。皆にはこれから忙しく働いてもらうことになるけど、無理はしすぎないように気をつけて」

「はい! これからよろしくお願いします!」

俺の声かけに、建築士の皆は元気よく挨拶をしてくれた。凄くやる気がありそうな人たちばかりだ。これは良い人材が集まったかも。

「建築資材を運んでくれる商会は数日後に到着する予定だから、それまでは俺が運んできた資材を使って仕事をしてもらうことになる。まず作って欲しいのは皆の住居かな。そしてそれができたら大公邸。その次は商会、食堂、工房って順番にしようと思ってる。たくさん作るものがあって焦るだろうけど、俺が土魔法で作った建物もあるし、ミスしないよう慎重にお願いね」

皆の顔を見回しながら告げたその言葉に、ほとんどの建築士が首を傾げて複雑そうな表情を浮かべた。そして一番前にいた若い男性が口を開く。

「あの、大公邸を一番に作らなくていいんですか?」

「うん、やっぱり皆の住居が先かなと思って。大公邸は作るとなったらかなりの時間がかかるだろうし、皆はちゃんとした家があった方が疲れが溜まらないでしょ? だから住居が先の方が効率的だと思って」

ここはかなり迷ったんだけど、長い目で見た時の効率を重視することにしたのだ。仮住まいとちゃんとした家がある状況、絶対に後者の方が仕事効率は上がるだろう。

「……かしこまりました。そういうことならまずは住居から作らせていただきます」

「お願いね。第二陣の建築士たちが来たら住居の建築はそっちに任せるつもりだから、その時には大公邸を皆にお願いするよ。大公邸の図面は王都で頼んでるから、それも来たら見せるね」

皆は自分たちに大公邸の建築を任せてもらえるという事実にホッとしたのか、少し不安そうな表情を緩めて頼もしく頷いてくれた。

「楽しみにしています。私たちにお任せください」

それからも領地に来てくれた様々な専門家と話をしていき、やっと一息ついた時にはもう辺りはかなり暗くなっていた。領地に着いたのが午後の比較的早い時間だったから、数時間は動き回っていたのか。

「ロジェ、今夜は皆で一緒に夜ご飯を食べようと思うんだけど、アルノルたちに伝えてきてくれる? 礼拝堂前の馬車がたくさん停まってるところの近くで良いかな。俺が食事は提供するし、テーブルとかも準備する」

まだ皆は料理が作れるほどに落ち着けていないだろうし、初日はこうするつもりだった。やっぱり移住してきて不安はあるだろうから、美味しいご飯が食べられれば少しは安心感に繋がるだろう。

「かしこまりました。ローラン、レオン様を頼む」

「もちろんです」

俺に身の危険なんかないのに護衛のローランに念押しをしたロジェは、アルノルたちがいるだろう方向に向かって足早に去っていった。あの様子ならすぐに戻ってきそうだな。

「じゃあローラン、準備を始めようか」

「かしこまりました!」

俺はまず光源からということで、広範囲を照らすように光魔法のライトを発動し、その下にテーブルと椅子をいくつも並べていった。そしてまずは熱々を提供する必要がない料理を、テーブルに並べていく。

やっぱり大公領だしスイーツは必須かな。クッキーやシフォンケーキなど、アイテムボックスに大量に入っているものを取り出す。

『ん? 主人、スイーツか?』

「ははっ、ファブリスはスイーツに関しては本当に鼻が良いよね。寝てたんじゃなかった?」

『そうだったが、良い匂いがしたからな』

「じゃあ一つだけ先にあげる。何が良い?」

『デカいミルクレープが良いな』

「了解」

俺は苦笑しながらミルクレープをホールのまま取り出し、ファブリスの前に置いた。そしてファブリスが幸せそうにミルクレープを食べ始めたのを確認して、準備を再開する。

飲み物はお茶で良いかな。肝心の料理はパンとスープと、ステーキならたくさん入ってるかも。いや、でも焼かれた肉ってそこまでの量がないんだよなぁ。

ここはバーベキュー形式にしようかな。

俺は料理用コンロをテーブルの上に設置していき、その上に鉄板を乗せた。急拵えだから炭火じゃないけど、気分だけは焼肉だ。

「レオン様、アルノルとティエリが皆を呼んできますので少しお待ちください」

「分かった。ありがとう」

準備の途中でロジェが戻ってきたので手伝ってもらい、三人で手分けしたことで一気に準備が進んだところで、皆が夕食の会場へとやってきた。

「なんだこれ、すげぇ!」

そう叫んだのは建築士の若い男性だ。そしてその男性に釣られて、皆が次々と楽しそうに声をあげてくれる。俺はそれが嬉しくて、より一層気合を入れて準備を進めた。

「全員集まったかな?」

準備が終わって席が埋まったところで皆を見回しながら声をかけると、何人かが代表して全員いることを伝えてくれた。俺はその声に笑顔で頷き、食事開始の合図をする。

「足りなくなったら追加もあるから好きなだけ食べて良いよ。肉を焼くのは皆が交代でね。あとスイーツも食べてみて欲しい。知ってるかもしれないけど、大公家が経営してるシュガニスってお店で出してるスイーツなんだ。それからそこまで量はないんだけど、ご飯もあるからパンの代わりに食べてみて。これから大公領の特産品とする予定だから」

それから皆で肉を焼いて白米のおいしさに感動して、パンやスープも楽しんで、最後に甘いスイーツで締めるという幸せな夕食を終えた。

ここから大公領の歴史が始まるな。