軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

454、割り振りと説明

馬車から最初に降りてきたのは……ダルセルだ。一番最初に駆けつけてくれるなんて、本当にありがたい。食料は一番大事だから、ダルセルがここにいるだけでこれから来る人たちが安心するだろう。

「レオン様、ただいま到着いたしました」

「ダルセル、こんなところまで来てくれてありがとう。見ての通りまだほとんど何もないんだけど、これからここを賑やかで住みやすい街にしていきたいんだ。よろしくね」

「こちらこそよろしくお願いいたします。……しかし、すでに建物があるようですが?」

ダルセルが周囲を見回して発したその言葉に、俺は近くにあった建物に軽く触れながら首を横に振った。

「これは俺が土魔法で適当に建てただけだから、全部簡易的なものだよ。これから建築士の皆に、これを一つずつ壊して木造のしっかりとした建物を作ってもらうんだ。これはそれまでの皆の住居として必要かなと思って作っただけだよ」

「こ、これを……土魔法だけで作られたのですか?」

「うん。構造はかなり簡単だから、そんなに難しくないんだ」

「……そう、なのですね」

ダルセルが唖然として周囲を見回しているけど、俺にとってこの程度は大変でもないんだよな。ダルセルもこれからは俺と関わることが多くなるだろうし、俺の力に慣れてもらおう。

「俺は使徒だからね。このぐらいはできるよ」

俺のその言葉とこの景色に使徒だということを改めて実感したのか、ダルセルはその場で跪いて祈りを捧げた。

「ははっ、俺にはそんなことしなくて良いよ。できればそこの礼拝堂でミシュリーヌ様に祈りを捧げて欲しいかな。ミシュリーヌ様が直接作られたものだから、神域になってて祈りが届きやすいと思うよ」

「そうなのですね……! では毎日祈らせて頂きます」

ミシュリーヌ様、また熱心な信徒が生まれたかもしれません。

「じゃあダルセル、これが商会の簡易の建物だから中を見てくれる? 住居よりは頑張って作ったから、臨時のものとしては問題ないと思うんだけど」

「ありがとうございます。では、失礼いたします」

それから建物の中を見たダルセルは商会長の顔になって、商会員達に次々と指示を出して内装を整えていった。これなら商会は問題なさそうだね。

「ダルセル、食材は問題なく運べてる?」

「もちろんでございます」

「それなら良かった。じゃあこれから食堂を開いてくれる人が到着するから、まずはその人と取り引きをしてほしい」

「かしこまりました」

後はダルセルに任せても大丈夫だと判断した俺は、商会となる建物を出て次に到着した人達の下に向かった。

「皆、来てくれてありがとう。この中に料理人として来てくれた人はいる?」

「あっ、それ俺たちです」

手を挙げたのはまだ若い男性が三人だ。友人同士とかなのかな。

「じゃあそこの三人はこっちに来て。食堂となる建物に案内するよ。食材を調達してもらう商会も紹介するね」

「ありがとうございます」

「皆は元々食堂で働いてたの? 敬語を話せるってことは中心街で?」

「はい。中心街にあるカフェや食堂で働いてて、俺たち三人は実家が近所で友達なんです。今回は大公領で人員を募集してるって話を聞いて、全員彼女もいない身軽な身なので皆で行くかって話になって」

それで友達三人で実家を出てくるとか仲良いなぁ。なんかこういう関係性って羨ましい。俺にもロニーやリュシアン、ステファンとか友達はいるけど、今から友達を作るのは難しいからなぁ。

「来てくれてありがたいよ。しばらくはこの領地の人間がほとんど皆の食事で暮らしていくことになると思うから、よろしくね。責任重大だよ?」

俺が少しふざけた口調でそう言うと、三人は楽しそうな、しかしやる気に満ちた表情で頷いた。

「お任せください」

「頑張ります!」

それから三人を食堂と商会に連れて行き、また馬車が集まる場所に戻るとちょうどジェロム達が到着したところだった。

「レオン様、皆で参りました」

「ジェロム、ベルタ、来てくれてありがとう」

「思っていたよりも街がしっかりとしていますね」

「土魔法で作った簡易のものなんだけどね」

ジェロム達の住宅はどこにするかな……ジェロムは基本的に大公邸で働いてもらって、その周辺に作る予定の温室や農園の管理、さらには他の農家への知識伝達を任せたいと思っている。

そうなると大公邸の近くが良いけど、ベルタが何の仕事をするかによっては違う場所の方が良いよな。まだジェロムの家族には、何を任せるのか決めていないのだ。とりあえず本人達の希望を聞いてからかな。

「ベルタはジェロムと一緒に農園の管理をやりたい? それとも他にやりたい仕事がある? ジェロムの息子さん達も、農業志望だって聞いたけどその意思は変わらない?」

「……実は私はやりたいことがあってね、裁縫が好きなんだ。だからもしレオン様さえ良ければ、服飾工房とかで働けると嬉しいんだけど」

「そうなんだ!」

ベルタは豪快な性格かと思ってたら、意外にも繊細な仕事が得意なんだな。

「ロジェ、アルノルを呼んできてくれる?」

「かしこまりました」

他の移住者の対処にティエリと当たっていたアルノルを呼んでもらい、移住者の中に服飾系の仕事を希望している人がいるのかを聞いた。

「……数人おりますが、皆が年若い女性で工房をまとめるような人物がいないことを危惧していました。なのでベルタが工房長として働けるのならば、それが最適かと」

「分かった。ベルタ、そういうことなんだけどどうかな? 経験がないことは気にしなくて良いよ。この領地にはそんな人ばっかりだからね」

「経験がなくても良いなら、ぜひやらせて欲しい!」

「了解。じゃあ決まりね」

ベルタが服飾工房で働くなら、二人の住居は大公邸に近すぎない方が良いかな。ちょうど中間地点ぐらいにしよう。

それから二人の子供達三人は予定通り農業を希望したので、農業地域にする予定の場所に建てた住宅へ案内して、ジェロム達家族のこれから住む家が決まった。