軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

319、ウォーターサーペントと直接対決

『ファイヤーストーム』

まず一番に攻撃をしたのは俺だ。魔物の森で使えるかなと開発した魔法の一つ、ファイヤーストーム。かなり高温の炎の嵐を巻き起こす魔法で、一定範囲内にいる魔物全てを焼き尽くすのだ。

どれほどウォーターサーペントに効くか……そう思いながら俺の莫大な魔力を注ぎ込んでファイヤーストームを維持していると、炎の中から断末魔のような叫び声を上げたウォーターサーペントが這い出てきた。

「ギャォォォォッッ!!」

うわっ、相当怒ってるっぽい。でも粘液があちこちで剥がれ落ちているようだ。ウォーターサーペントの魔力に俺の魔力が勝ったらしいな。

さすが俺だ、頑張って鍛えた甲斐があった。

『主人凄いぞ! あそこまで高温ならば彼奴らも粘液を維持できぬ』

「ふふっ、凄いでしょ!」

俺は一人で練習していた魔法が誉められてかなり嬉しく、ドヤ顔が止められない。だって普段は俺の魔法を披露する場がないんだ。平和なのは良いことなんだけど、ちょっと寂しかったんだよね。やっとお披露目の機会が来た。

「じゃあ粘液が再生する前に攻撃しちゃおう。とりあえずファブリスが左のやつで俺が真ん中、皆さんが右で!」

『相分かった』

「了解っ!」

俺は剣にバリアを纏わせて真ん中のウォーターサーペントに向けて駆け出した。そしてそれと同時にファイヤーストームを消して、高温のファイヤーボールを飛ばす。

『ファイヤーボール』

ファイヤーボールはかなりの速度でウォーターサーペントの胴体に当たり、元々ボロボロになっていた粘液をさらに蒸発させた。

そしてその剥き出しになった皮膚に、バリアで切れ味を強化させた剣を全力で突き立てる。グサッ……おおっ、相当深く刺さったな。

「ギャッ、グギャォッ!」

うわぁっ、ウォーターサーペントは最後の力を振り絞っているのか、剣を突き立てた俺を振り払おうと体を振り回す。バシンッ、ズドンッと地面や魔植物にぶつかりながら苦しんでいるようだ。

「うわっ、ちょっ……」

俺は剣を抜くタイミングを逃して、ウォーターサーペントの動きに振り回されている。ダメだ……足場が滑ってて上手く体勢が立て直せない。剣を抜くにも踏ん張れないし……

とにかく魔物の動きを止めなくちゃダメだな。バリアは自分の身を守るのに使ってるから……そうだ。ファブリスが風魔法で敵を押しつけて動けなくするって言ってたよね。それをやってみよう。

『ウインド』

まだ詠唱が決まっていないのでとりあえずウインドと呟き、風でウォーターサーペントが地面に縫い付けられるようにイメージした。おっ、成功だ。

ウォーターサーペントが苦しげなうめき声をあげて動きを止めたところで、俺は落ち着いて剣を握り直し、再度ウォーターサーペントの顔の近くを狙って剣を振り下ろした。

それによってウォーターサーペントは絶命したようだ。

ふぅ……ちょっと苦戦したけどなんとか倒せたな。ファブリスの方も問題なく倒せたようだ。三人は……ちょっと苦戦してるかな。助けに行こう。

『レオンっ!!』

そう考えた瞬間、頭の中にミシュリーヌ様の声が響いた。かなり焦っている様子だ。俺は慌てて本を取り出して返答する。

「どうしたのですか? あっ、ちょっとだけ待ってください。ファブリス! 三人を助けてあげて!」

『了解した』

「もう大丈夫です。それでどうしたのですか?」

『魔人が動き出したのよ! レオン達もしかしてだけど、穴の近くで戦闘をしてる!? 激しい戦闘音が聞こえて、一応様子を見てくるってクドゥフェーニがレオン達の方に向かってるわ!』

マジか……穴の近くではあると思ってたけど、向こうの世界に戦闘音が聞こえるほどだったなんて。確かにウォーターサーペントは相当暴れてたし、地響きとか凄かった。うわぁ……最悪だ。

「あと何分ぐらいで来ますか?」

『あと五分ほどでこっちの世界に来るわ。そしてさらに十分ほどで今のレオン達がいるところに来るわね』

「俺達が先に時空の歪みに向かったら間に合いますか?」

『ファブリスの全力なら、もしかしたら……』

ウォーターサーペントの方を見てみると、ついさっき三体目も倒したらしい。これなら行けるかも……!

「分かりました。では今すぐ向かってみます!」

一秒でも俺の方が早くて、杖さえ投げ込めてしまえば良いのだ。

「ファブリス! 魔人が来てるらしいから全力で時空の歪みまで向かって!」

俺は転移で全員をファブリスの背中の上に乗せ、バリアで強制的に固定してファブリスにそう叫んだ。それと同時にファブリスは最初に乗った時よりも速いペースで走ってくれる。

『了解した』

うっ……やばい、早すぎて景色も見れないレベルだ。後ろからもうめき声が聞こえてくる。皆さんごめんなさい。

ただ今回はバリアで体が動かないように固定したので、振り落とされることはない。

俺はそんなファブリスの背中の上で、アイテムボックスの中から頑張って杖を取り出した。そしてそれを絶対に落とさないように手で握りしめる。これを時空の歪みに投げ込めば終わりだ。

それからしばらくぎゅっと体を丸くして耐えていると、ファブリスが急停止した。それによって体に負荷がかかりバリアに押しつけられる。うぅ……マジで辛い。

『主人、少し間に合わなかったかもしれぬ』

ファブリスのその言葉に前を向くと……そこにはタウンゼント公爵家で会った、あの魔人が一人で佇んでいた。そしてその背後には空間が歪んでいるような、そこにだけオーロラがあるような、そんな時空の歪みが存在していた。

「何の音かと偵察に来てみれば、まさかお前からこちらにやってきてくれるとは。殺しに行く手間が省けたな。礼を言うぞ」

……もう逃げられないな。戦うしかない。

どうせ戦うなら正々堂々と戦って、今度こそ俺が勝ってやろう。俺はそう気合を入れて一つ息を吐いた。杖は一度アイテムボックスの中に逆戻りだ。

「ファブリス、とりあえず俺が一人で戦うから見守っててくれる? もし危なかったら助けてくれたら嬉しいんだけど……できれば一人で戦いたくて。この前負けたのが悔しかったから」

俺の力がどこまで通用するのか試したいっていうのも本心だし、こう言っておけばファブリスが三人を守ってくれるだろう。

『了解した。危なそうなら手助けするぞ。しかしあいつは強いな……』

「ありがとう。皆さんもファブリスと待っていてもらえますか?」

「ああ、俺達は自分の身ぐらい守れるから気にするな」

「ありがとうございます」

俺はクドゥフェーニから一切視線を逸らさずにファブリスの背中から飛び降りた。そして相手の様子を窺いながら少しずつ近づいていく。

「また会えるなんて嬉しいよ。あの時逃げられたのが悔しかったんだ」

俺のその言葉に、クドゥフェーニは少しだけ眉間に皺を寄せた。

「逃げてなどいない……」

「そうだったの? 俺の記憶では分が悪くなって逃げたはずだけど?」

少しでも冷静さを失ってくれれば隙も生まれるだろう。そう思って挑発するような話をする。すると俺の思い通りにイラついたのか、クドゥフェーニは俺に向かって真っ直ぐに飛び掛かってきた。

よしっ、俺は内心ガッツポーズをしつつ、俺に向かって一直線に飛んでくるクドゥフェーニの背中側に転移をした。そして全力で剣を振り下ろす。

ガキンッ……しかしやったと思った瞬間に、クドゥフェーニは後ろを振り向き俺の剣を受け止めた。けれど空中で踏ん張れないからか、そのまま吹き飛ばされて魔植物に激突する。

俺はその隙を逃さずにすかさず追撃をした。

『ファイヤーストーム』

さっきウォーターサーペントをかなり弱体化させた魔法だ。これで倒せてくれ……そう願いながら魔力を注ぎつつ剣を構えて待つと、クドゥフェーニは炎の中から飛び出してきた。

ガキンッ……うっ、やっぱり力も強いな……

今度は互角の力でどちらの剣も一歩も引かない。クドゥフェーニの服や髪は少し燃えているが、そこまでダメージはなかったようだ。

「お前、前より強くなったか?」

「お前が弱くなったんじゃないの? 今日は俺が勝つから」

そんな会話をしてお互い後ろへ一度退く。ふぅ……やっぱり鍛錬の成果が出てるのかな。一人でも戦えるようになっている。

でもこれからどうすれば良いのか……戦えはするけれど決め手にかける。