軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

23、家族と話し合い

「ただいまー!」

俺が家のドアを開けてそう声をかけると、母さんと父さんが厨房から慌てて駆け出してきた。

「レオン! 良かったわ、無事だったのね」

「レオン! 何もされなかったかい? 帰ってきてくれて良かった」

母さんと父さんが、目に涙を浮かべながら喜んでくれている。

こんなに心配してくれてたなんて、寄り道なんかしないで早く帰ってきたほうがよかったかも……

「二人とも俺は大丈夫だよ。何もされてないし、夕食会に招待されて、ご飯を食べながら少し話しただけだから。それどころか、服までもらっちゃったし……」

「そういえばすごくいい服を着てるね……これ高いんじゃないか?」

「レオン、こんなもの貰ってしまって大丈夫なの? 後からお金を請求されても払えないわよ」

今度は二人ともあわあわと慌て始めた。

俺はなんだか力が抜けて思わず笑ってしまった。やっと緊張感から解き放たれた気分だ。

「これは貰ったものだから大丈夫だよ」

「そうなの? でもなんで貴族様が、レオンに服をくれるのかしら? それにそもそもなんで夕食会に呼ばれたの?」

「レオン、母さんと父さんにしっかり説明しなさい」

どうしよう……二人に嘘はつきたくないけど、どこまで言えばいいのか……

流石に転生したことは言えないから、俺が読み書きや計算をできるってことは隠しておいた方がいいよな。

そうすると、全属性のことは話した方がいいかもしれない……気味悪がられないかな。父さんと母さんに嫌われたら結構凹むかも……

でも王立学校に行くことも言わないとだし、これ以上誤魔化すわけにはいかないよな。

俺が母さんと父さんに話をする決意をしたその時、家のドアが開いた。

「ただいまー! あっ! お兄ちゃん帰ってきたの? 良かったぁ」

マリーが帰ってきたみたいだ。マリーにも話を聞いてもらったほうがいいよな。

「おかえり、マリー。お兄ちゃんから話があるから聞いてくれる?」

「うん! 聞くよ!」

「ありがとう、母さんと父さんも俺の話を聞いてくれる?」

「ええ、リビングに行きましょう。今日の夜営業はお休みにする予定だったから、話が長くなっても大丈夫よ」

「うん。ありがとう」

そうして俺たちはリビングに移動し、みんなで席についた。

「じゃあレオン、話してくれるか?」

「うん。昨日俺を夕食会に誘いに来てくれた人は、フレデリック様って言うんだけど、最初は本当に偶然知り合ったんだ。それで、俺が王立学校に入りたいと思ってることを知ったら、教材を貸してくれるって言ってくれて、昨日はそれを受け取りに行ったんだ」

俺がそういうと、母さんと父さんはかなり驚いたような表情になった。

「レオンは王立学校に行きたいの? でもどうして?」

「それにどこで王立学校について知ったんだ? この辺からは受験する人なんてほとんどいないと思うけど……」

平民もたくさん受験するって言ってたのに、この辺の平民は受験しないのかよ! まあ、たしかにこの辺で、王立学校の話を聞いたことなんてないけど……

「王立学校のことは、一緒に中心街に行った人が教えてくれたんだよ。マルセルさんって言うんだけど、その人が魔法具を作ってる人で魔法具を見せてくれた。それで俺が、魔法具に興味があるって言ったら、王立学校に行けば魔法具もあるし、役人になれば魔法具のある生活を送れるって言われて、王立学校に行きたいって思ったんだ」

「魔法具って、たしか貴族が使う便利な道具だよね?」

「そうだよ! すごく便利で画期的なものなんだ! まだこれからどんどん発展していくと思う!」

俺がそう言うと、父さんと母さんはふふっと笑って言った。

「レオンは本当に魔法具が好きなのね。目が輝いてるわよ」

え!? 俺そんなに顔に出てる? なんか恥ずかしい……

でもこの不便な世界で、便利なものがあるならそこに飛びつくのもしょうがないよな、うん。

「レオンが王立学校に行きたいって言うのはわかったよ。父さんと母さんは応援するよ。レオンの生きたいように生きればそれでいい」

「マリーも! お兄ちゃん応援する!」

「本当に!? みんなありがとう」

そんな無謀なことやめなさいって言われるかと思ってた……認めてもらえると嬉しいな。話して良かった……

「でも王立学校に合格できるの? 家では勉強を教えてあげることはできないわよ……」

「それは大丈夫! フレデリック様が教材を貸してくれて、少し教えてもらったから。マルセルさんにも教えてもらえるし」

「それはありがたいけど……なんでそこまでしてもらえるのかしら……? うちはただの平民でお金もないのに」

やっぱりそこ不思議に思うよなぁ。全属性のこと話さないとダメだよな……

「それには理由があるんだけど……あのさ、俺の魔力属性って回復だったでしょ? 実は、他の属性も全部使えるんだ。それで、全属性の人はすごく珍しいから、力を貸して欲しいって言われたの。その代わりに、俺の手助けもしてくれるって」

俺がそこまで言うと、母さんと父さんはポカーンと口を開けたまましばらくフリーズしてたが、しばらく経つと口をはくはくと動かし始めた。

何か言いたいけど、驚きすぎて何も言えないって感じかな。

一番最初に口を開いたのはマリーだった。

「お兄ちゃん、全部の魔法が使えるってこと? 凄いね! かっこいい! マリーも全部使いたい!」

気味悪いと思うんじゃなくて、かっこいいって言ってくれるなんて……マリーはまだ子供でよくわかってないのかもしれないけど、それでも嬉しい。

「マリーありがとう。でもこれは誰にも言っちゃいけないんだ。内緒にできる?」

「うん! できるよ!」

俺はマリーから勇気をもらって母さんと父さんと目を合わせた。

「父さん母さん、俺のこと怖いとか気味悪いとか思う?」

俺は目を見てそう聞こうとしたが、怖くなって途中で俯いてしまった。肯定されたらどうしよう……

「レオン、母さんたちがそんなこと思うわけないでしょ」

「そうだよ。そんなことでレオンのことを気味が悪いなんて思うわけない。逆に全部の属性魔法が使えるなんて、すごくてびっくりしてただけなんだ」

「そうよ、母さんも驚いちゃって。でもさすが私たちの子ね。自慢の息子よ」

母さんと父さんがそう言ってくれる。俺は安心感と嬉しさで思わず涙が出てきてしまう。

「母さん、父さん、ありがとう」

俺は満面の笑みを浮かべながらそう答えた。

「当たり前よ。このことは誰にも言わないし、私たちはレオンのことを応援するわ。貴族様がレオンの力を必要としてくれて、レオンのことも助けてくれるって言うなら心配いらないわね。精一杯頑張りなさい」

「父さんは、レオンが後一年と少しで家を出て行ってしまうのは寂しいけど、レオンを応援してるからね」

「私もお兄ちゃんのこと応援してるよ!」

「みんな……ありがとう。俺、頑張るよ!」

みんなが応援してくれて嬉しい。俺、転生したのがこの家族で良かった。

「じゃあ、今日は夜営業もお休みだし、みんなでご馳走を作って食べましょうか!」

「そうだね。マリーは何が食べたい?」

「パンケーキ!」

「ふふっ、マリーは本当にパンケーキが好きなのね。でもパンケーキはデザートにしましょう。ご飯は何が食べたい?」

みんながそんな会話をしているときに思い出した。アンヌさんが教材を入れてくれたカバンに、家族へのお土産も入れてくれたんだった!

「みんな、実はフレデリック様の屋敷のメイドさんが、お土産を持たせてくれたんだ! 見て!」

「お兄ちゃん、これなあに? お塩?」

「マリー、これは砂糖だよ」

「砂糖?」

「そう。すっごく甘いんだ」

「そうなの!? 甘いの大好き!」

「今日はこれで、俺がフレンチトーストを作るよ」

「まあ、レオンが作ってくれるの? 楽しみだわ」

「レオンの料理は美味しいからな」

みんなが笑ってくれてる。良かった……

「中心街のカフェで食べたやつを再現するから、絶対美味しいよ!」

「本当に!? やったー! 美味しくて甘いの好き!」

「じゃあみんなで食堂に行こうか」

「ええ、そうしましょう」

「「うん!」」

そうして俺たちは、家族みんなで食堂に向かい、一緒にフレンチトーストを作った。家族みんなで作ったフレンチトーストは、中心街で食べたものより美味しく感じた。

ちなみにフレンチトーストは大好評で、マリーが砂糖の虜になってしまった。

俺は中心街に出かけるたびに、家へ砂糖をお土産に買ってこないといけなくなった。まあ、凄く喜んでくれるからいいんだけどね。