軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第72話「初日の効果」

#第72話「初日の効果」

朝稽古を終えて麦茶で一息ついた。

「稽古付けてくれてありがとう。かなりためになったよ」

「ああ、かなり良くなったと思うぞ。明日からも頑張ってくれ」とルナが労いの言葉をかけてくれる。

とは言え俺としてはあまり良くなった気はしないのだがな。さすがに1日だけでなんとかなるとも思っていないからまあいいが。

そして、その後は協会の人を呼んで恩方ダンジョンへ向かった。

「……ちょっとキツいな。背中と太腿が重い。ひよりは大丈夫か?」

「私は平気よ」

「タフだな、ひより」

「私は軽めだったし、そもそも剣道やってたからね。足と握りは慣れてるんだ。あとルナさんはレンにつきっきりで私の方は特に修正が無かったし」

恩方ダンジョンに到着したらもう昼前だ。俺とラム、リンは3階層へ、ひよりはロアと1階層へ向かった。朝稽古で討伐の時間が短くなっている。そのため少しでも頑張りたいところだが疲れがかなり残っていてやばい。今日は安全第一でいこう。

<<ラム、リン、クイックベア3体以上には慣れたつもりだけど、今日は朝稽古後でちょっとしんどいから敵が3体以上の部屋は見合わせよう。2体が来たら交戦。3体は……配置が良い時だけでいく>>

<<はい、ご主人様。早めに倒して援護に回ります>>

<<わたしも頑張りますです>>

三階層を進むと、2体のクイックベアを見つけた。すぐに2体組が見つかるとか幸先がいい。

<<いくぞ!>>

構えはなるべく稽古通りを意識する。背骨を立て、地面を押し、息を吐く。そして基本的には俺が盾になることは変わらない。でも、少なくとも打ち込む時だけは稽古でやったことを意識しよう。

距離を取って牽制することで相手がじれてきた。その相手が突っ込んできた瞬間にまずは受け流した。

そして腕や肩で振らず、体の押しで剣を運ぶことを意識。ドンという低い手応えと共に、クイックベアの勢いがそこで途切れた。

「……いい感じで入った!?」

相手は混乱しているように見えるな。ではもう一発……と何度かの交戦で相手は倒れた。これはかなりいい。前はもっと撃ち込まないと倒れなかったが数発撃ちこんだだけで倒れた。どうやら威力が上がっているのは間違いなさそうだ。

ラムとリンの2体1の方もしばらくして終わった。なんと2体1のラムとリンよりも1対1のこちらが早く終わったのか?どうやら俺が1対1になれば楽勝だ。以前より短い手数で相手が落ちる。

<<凄いです。ご主人様。こっちよりも早く終わっている>>

<<ご主人様が強くなって誇らしいですです>>

「これはいけるぞ……」

続く2体組の相手も同様に倒すことができた。クイックベア2体組ならばもう楽勝かもしれない。

ならばやはり次は相手がクイックベア3体組でもいこう。

<<ラム、リン、予定変更だ。クイックベア3体組でも倒しにいく。思ったよりも体が軽い>>

<<はい、ご主人様。でも無理はしないでくださいね>>

<<こちらも了解しましたです>>

その後、しばらくして3体組を見つけた。試すチャンスだ。

「こっちだ!」

俺はいつものように挑発の声を張り上げた。それで3体共にこちらに向かってきたがラムとリンがそのうちの1体を食い止める。

俺は2体が一直線上に来るように斜め後退に動き、その後も挟まれないように動きながら牽制した。あとはこのまま距離を取ればいい。そして不用意に相手が突っ込んできたら打ち込んでやる。

ラムとリンが残りの2対1を制してやってきた。後は俺も1対1になり楽勝だった。相手が三体でもいける。できれば俺の相手が2体の時でも倒せれば理想だがそれはまだ厳しいので次の課題としたい。

午前に三時間の朝稽古をしている関係でダンジョンに潜れるのは昼からの時間とかなり短くなった。それでも手数が減ったおかげで討伐効率は少し良くなっている。その結果、今日も1人あたり三十体近くの討伐ができた。稽古初日としては御の字だろう。

ひよりにその旨を報告すると喜んでくれた。

「レン、今日1日だけでかなり強くなったんじゃない?」

「ありがとう。いきなり稽古の成果が実感できるとは思わなかったよ。明日からも頑張るよ」

姿勢と素振りだけで戦いが変わる。

ルナの言葉は誇張ではなかった。

今日はこれまで以上に疲れた。でも疲れているのに、帰りの足取りは軽かった。疲れよりもワクワク感が勝っている。

稽古の間は不器用だと思って少し落ち込んだが、不器用でも繰り返せば変わることがすぐに実感できた。明日からも繰り返せばもっと良くなるのでは?稽古が楽しみになってきたぞ。

こうして期待が大きく膨らんだ。明日の稽古も討伐も頑張っていこう。