作品タイトル不明
第7話「無課金ハンターへ第一歩」
#第7話「無課金ハンターへ第一歩」
俺は、高校を卒業した。
進学はしない。就職もしない。
俺が選んだのは――ハンターになる道だった。
とはいえ、すぐに冒険漬けの日々が始まるわけじゃない。
これまで高校生活に充てていた時間を、そのままダンジョン攻略に使うだけで、基本的な生活パターンは変わらない。バイトは今のまま続けるつもりだ。ハンター一本で食っていけるほど、甘い世界ではないからな。
現実、初心者ハンターの仕事は時給換算で実質100円程度と言われている。初期の頃はもっと高かったらしいが希望者が増えて平均時給が下がってきた形だ。
いくら戦闘初心者でもできる仕事とは言っても怪我のリスクもある上、時間効率も最悪。バイトの方がまだマシだ。ある程度レベルが上がって中層に行けるようになって、ようやく「割に合う」「一般の人と同等の稼ぎ」と言えるようになるらしい。
しかも常に“死”が付きまとう。レベルが上がって中層から深層に行けるようになったとしてもそれは死と隣り合わせの危険な仕事。
すなわちハンターという仕事は初期は全く稼げない、更には稼げるようになっても死の可能性がある危険な仕事という認識が広がっていった。
その結果……初期に爆発的に増えたハンター希望者は減っていった。
今は毎年三万人程度が希望を出し新たにハンターになっているらしい。ただし、そのうちの七割近くは希望を出してハンターになるだけで動かない。まあ高校3年生の時の俺と同じだな。
なので仕事としてハンター希望して登録するのは実質毎年一万人程度。
一方でハンターを諦める人もそれと同じかそれ以上となっているのでハンターの数は実質あまり変わっていない。
まあ当然の帰結だ。特に一般人のハンター希望者は減った。普通は死と隣り合わせの仕事なんてできない。ある程度稼いだら休む人もいるだろう。
代わりに増えたのは財閥企業系のハンター希望者だ。財閥企業系はその資本を武器に宝箱を買いあさり強い武器を初心者に与え、更にはレベリングすることで彼らをレベルアップさせた。
そのためもあって一般人のハンター希望者はその格差に絶望を覚え、更に希望者は減った。
今や仕事として登録する毎年一万人程度のハンターの九割以上は財閥系の社員と言われている。すなわちハンターになりたかったら財閥系にハンター希望の旨を伝えて入社試験を受けその会社の社員になるのが一番の近道なのだ。
でも――俺は一般人ハンターの道で行くと決めた。財閥系企業への就職希望を出すことも考えたが……それは俺の意地が許さなかった。
ゲーム時代も、そして高校になった時も俺はクランと女を金持ちに奪われた。なんとか見返したい、その気持ちが強かった。
無課金の意地を見せてやる。
俺は強くなると決めた。弟と妹がいるからこそ無茶はできないが、慎重に、安全マージンを見ながら、着実にレベルアップしていくつもりだ。