軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第58話「恩方ダンジョンの現実」

#第58話「恩方ダンジョンの現実」

自宅に戻り、夕食を終えてひよりと話していた。

「恩方ダンジョン、思っていたよりきつかったな。結局、1人あたり20体程度しか倒せなかった。スピード系のダンジョンはきついと聞いていたけど想像以上だったよ」

俺がぼやくと、ひよりはあっさりと返してきた。

「でも、それって3階層でレベル3の人が戦うなら普通じゃない? むしろ頑張ってる方だと思うけど。最初は10体も倒せば十分だと思うわよ」

さすがひよりは優しいな。でも、そう言われても気分は晴れない。

「でもなぁ、一気に稼ぎが減っちゃったんだよな。今はレベルアップを優先したいから仕方ないけど……やっぱりへこむな。魔石も少し大きくなって1個30円になったのは嬉しいけど。3人で60体倒しても2000円程度なんだよな」

「それは……確かにきついわね。今までは1日1万円近くになっていたのでしょ?」

「あと恩方ダンジョンまでの往復に一日三時間はかかるのもきついよな。バイトを辞めたから自由な時間は増えたけど、移動時間の増加と稼ぎ減少のダブルパンチはしんどいよ」

「まあ、それは仕方ないわよ。ハンターで生活していく上で浮き沈みはどうしても出てくるし。特に新しいことを始めた場合はしばらく厳しい時期が続くのは普通らしいわよ。まずは慣れが必要かな」

ひよりは苦笑いしつつも慰めてくれた。俺もどうしようもないとは思っているがこうやって愚痴を聞いてくれるだけでもありがたい。しかも最愛の人だから猶更だ。

でもあまり愚痴ばかりだと愛想付かされそうな気もするからそこは注意した方がいいのだろうか?俺はもう少し女の子の気持ちを考えた方がいいかもしれないな。

「そういえば、朝倉さんが落ち着いたらまたオフィスに来てほしいって言ってたわ」

「何か用があるのかな? 丁度、俺もベア系モンスターの討伐で何かアドバイスがもらえたらと思ってたんだけど」

「どうやら契約金額を少し上げようって話になってるみたいよ。ダンジョンでの報酬が減ってるなら丁度いいでしょ?」

「ありがたい……でも何で金額が上がるんだ?」

「やっぱり使役モンスター関連じゃないかな。使役モンスターとの念話、そして会話もできるなんて日本では前例がないからね」

ひよりの推測に俺も頷く。確かに現時点ではそれしか思いつかない。ほんと使役モンスター様様だ。ともかく少しでも報酬の補填があれば俺は雑念なくレベルアップに集中できるのでありがたい。

「それより今日はひよりの方は順調だったみたいだな」

「ええ、私はレベル2だからさすがに1階層は余裕がまだあるわ。私がクイックスライムを捕まえたり弱らせたりしてロアがとどめを刺すという感じね。今日だけでロアは60体のクイックスライムを倒したよ。私とロアが慣れたらもっと増えると思う」

「そのペースなら半年もすれば必ずレベルアップするな。ありがたいけど……ひよりもずっと一緒にやれるわけじゃないよな」

「そうね。その辺りは朝倉さんとも相談ね。私もずっとレンと一緒に活動できれば理想だけど、そうはいかないかもしれないし。それに思った以上に同じことを続けるのは精神的にも体力的にもきついから毎日は無理かもしれないし……言うほど討伐数は増えないかもしれない。レンはよくこんなことを毎日続けていたわね」

「考えが浅くてごめん。順調と思っていたけど、ひよりにとってはかなり大変な作業なんだよな」

「いいのよ。私もはっきり言えばいいだけの話だし。それでも無茶させようとしたら怒るかもしれないけどね」

「そうならないように……善処します」

「ふふ、そうしてね」

「もちろん俺の大事な人だから無理はさせないよ」

「えっ……もう、いきなりそういうこと言うのずるい」とひよりは顔を赤らめた。

自然と2人して笑顔になった。そして俺たちはその後もいろいろな話をした。課題は多いが、こうしてひよりが隣にいてくれるだけでも心強い。

こんな良い子が彼女になってくれて俺は本当に幸せ者だ。