軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第57話「恩方ダンジョンへの挑戦」

#第57話「恩方ダンジョンへの挑戦」

俺とラム、リンはレベル3になった。次はスピード系ダンジョン――「恩方ダンジョン」の3階層に挑戦する予定だ。

スピード系ダンジョンは新宿ダンジョンのように力押しが通じる場所とは違い、素早い動きに対応する必要があり不人気らしい。

更に立地がやや田舎にあることがその不人気に拍車をかけている。結果、過疎ダンジョンとなっている。低階層は定期的に討伐する必要があるがそれもハンター協会からの特別報酬で対応している状況とのことだ。

しかしながらその過疎状態が今の俺にとっては都合が良い。使役モンスター関連で秘密を抱えているからだ。ハンター協会からの特別依頼を外したことで見事に人がいない状況になったとのこと。これで俺が好き勝手できる。ありがたいことだ。

新宿ダンジョンでは声をかけられることが増え面倒だったがこれで再び戦闘に集中できるだろう。また俺が使役モンスターと連携して戦うというのは基本的には秘密事項となっている。その状況を継続させることができるのでやはりありがたい。

ともかく、これまでとは全く違うダンジョン、そして階層だ。厳しい戦いになるかもしれないが、今は雑音のない場所で集中して討伐することを優先したい。

そう思い、協会にも恩方ダンジョンで活動することを伝えておいた。新しく出たベア系使役モンスターのロアだけでも新宿ダンジョンでレベルアップさせようと思ったがそれもこちらの恩方ダンジョンでやろうと思う。

高尾駅にまで行くと恩方ダンジョンに勤める協会の人が迎えに来てくれた。

「忙しいのにすいません」

「いえ、大丈夫ですよ。基本的にうちの恩方ダンジョン関係のメンバーは暇している人が多いですから。でも、どうしても無理な時はあると思うのでその時はタクシーでお願いしますね」

そんなに暇なのかな?実は忙しいのにわざわざ来てくれたのでは?などいろいろと思いながら送迎してもらった。ありがたい。

その受付の人に聞くと恩方ダンジョンはスピード系で討伐に苦労するから不人気だとため息をついていた。これは今まで聞いてきた情報通りだ。やはり働いている人から見ると人気がなくて暇なのはあまり嬉しくないのだろうか。

そして恩方ダンジョンはスピード系でモンスター名前としては新宿の「ストロング」が「クイック」に変わるとのこと。

一階層はクイックスライム、二階層はクイックゴブリン、三階層はクイックベアで他のモンスターは基本的に出ない。こうやって名前だけ見ると大した違いはないが、実際に戦ってみればその意味はすぐに理解できることだろう。

また今回の恩方ダンジョンではしばらく、ひよりが同行することになっている。途中の駅からは一緒になったので道中ではいろいろと話をした。

「今日からの恩方ダンジョンはしばらく私も同行することになったので宜しくね!」

「ああ、でも大丈夫か?スピード系ダンジョンは厳しいらしいぞ」

「うん、私はレベリングでレベル2になっただけだから適正とされる2階層は厳しいけど1階層ならおそらく大丈夫。1階層でしばらく細々と頑張ってみるよ。協会からも1階層の特別報酬は外してもらったから人にも合わないし気軽にできそう」

ひよりは少し修業をしたいとのことでハンター協会の上司、朝倉さん許可も得ている。おそらくは俺の様子を確認する意味があるのだろう。

「私は1階層……となるとロアと一緒がいいかな?」

「そうしてくれると助かる。俺たちは3階層で討伐するよ。もしひよりたちが1階層で厳しいようならば教えて欲しい。何らかの形で対処するから」

ひよりが参加してくれるのはありがたい。どうやって4人(1人と3体)を割り振ればいいのか迷っていたからだ。さすがにロアだけを1階層で戦わせるのは無理がある。

ひよりはレベル2だが2階層以上はまだ厳しいらしいので1階層でロアと一緒に組んで、ロアのレベル上げを手伝ってもらうことにした。ひよりにとっても良い訓練になるらしいので丁度良かった。

ロアにクイックスライムの討伐をすること、そしてひよりの言うことを聞くように伝えると頷いていた。ちょっと心配ではあるがおそらくは大丈夫だろう。状況は後でひよりに聞けばいい。

そこで俺とラム、リンはひよりとロアと別れて2階層へ。クイックゴブリンをチェックだけした。動きは速いが、まだ十分に対処できる範囲に見える。問題はその次の3階層だ。

3階層のクイックベアは想像以上に手強かった。2~5体の集団で現れるのは2階層のゴブリンと同じだが動きがどうにも読めない。

ゴブリンは集団で動く。そしてある程度は人間と同じ動きをするので対応しやすかったが、ベアは最初は集団ながら戦闘となると本能のままに個々に縦横無尽に動く。どこから攻撃が来るのか分からない。

統率された動きではないのはありがたいが逆にそれが怖い。思いもよらぬ方向から攻撃が飛んできて肝を冷やすことが多い。

現状では相手が同数でも危険だと感じた。そこでまずは二体出現のときに奇襲を仕掛ける作戦にした。だが相手の勘が鋭いのか、思うように奇襲も決まらない。

何とかして片方を2対1の状況にし、残りの1体は俺が1対1で耐える。先に2対1で勝ち切り、残った相手を3対1でたこ殴りにして仕留めるという形に落ち着いた。それなりに安全ではあるが、討伐に時間がかかる。更にクイックベアが2体だけでいることが少ないから効率が悪い。

その結果、恩方ダンジョンの初日、3階層では1人当たり20体ほどしか討伐できなかった。これでは1年経ってもレベルアップは難しい。思った以上に厳しい状況だ。

一方でひよりはロアと上手くやっていたらしい。ひより自身が10体ほど倒した後は疲れてフォローに回ったらしいが、ロアは60体以上を討伐していたとのこと。ロアもこの調子ならば半年もあればレベルアップすることだろう。もちろんその時までずっとひよりが付き添ってくれることが条件だが。

場合によってはロアのレベルアップを最優先するのもありかもしれないな。レベル3が4人(1人+3体)になれば戦いにも幅が出てくる。

こうして恩方ダンジョン初日は終わった。3階層のクイックベア討伐にはまだまだ課題が多い。慣れていくと討伐の効率が上がるのだろうか?もしそうでなければ根本的に何かを変えないと、今後の対策を考えなければならないな。

「クイックベアは厄介だが、必ず何らかの攻略法を見つけてやる。ここからが本当の勝負だ」

俺は気合いを入れ直した。