軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第312話「情報共有と協力」

#第312話「情報共有と協力」

日本とI国、そのいずれもが特殊な秘密の戦力を有していた。そして、来るかもしれない更なる危機に対抗するために、その情報を共有することにした。

I国では宝箱から出てきた使役モンスターそのものが特殊だった。超レアな特殊ケースで最初から知能が高く人化でき、更には主人と共にダンジョン外に出ることができる存在だったのだ。

一方で日本は違う。日本では宝箱を出した人間、すなわちレンがやや異常だった。使役モンスターを一から育てたのだ。一般的には外れ枠でほとんど使うことすらしなかったのにも関わらずだ。

使役モンスターが外れ枠というのは世界共通認識。ロマーニ首相も最初は全く意味が分からなかった。

そこで、高泉首相はレンの手法や現状を更に詳細に説明した。

I国とは違い使役モンスターを段階を追って育成したことについてだ。レベルが上がることによって、まずはコミュニケーションに始まり、人化、そしてダンジョンの外に出ることが、徐々にできるようになったといいうことを伝えた。

ただし、それは大変な道のりでもある。

それぞれの階数で使役モンスターと共に一万体の敵モンスターを倒し一歩一歩、前進していくのだ。そこではレベリングは一切使わない。

完全なる他人の手を借りない地道な育成だ。そうして、今はレンと一部の使役モンスターはレベル6に達している。

今は全員がレベル6に向けて攻略を進めている状況と説明した。

長期の地に足を付けた強化。

ロマーニ首相は率直にため息を付きながら語った。

「(使役モンスターを育てる? レアでもないのに? よくそんなことをしましたね)」

「(……しかもレベリング一切なしですか。それでレベル6は凄い、ちょっとあり得ない。使役モンスターを育てようとしたこと自体が凄いですが、その成長の仕方も特殊すぎる。我が国では人間でも、レベリング無しでそこまで強くなったものはほとんどいません)」

「(それにしても、知能が低い使役モンスターと共に一万体討伐というのが想像もできません。さすがにそれはクレイジー。自国では既に知能があり、更には先を急いでいたこともあってレベリングを採用し英才教育の元で育てました)」

高泉首相も頷いた。

「(そうですね。私もI国の立場であればレベリングを採用し、英才教育で育てていたでしょう。それは間違っていない、当たり前だと思います)」

「(レンは考えかた自体が異常、使役モンスターを育てるなんて他にやっている人は日本でもいません。そして、その育成はかなり難しい)」

「(そのため、我が国の軍隊とも言える自衛隊の隊員に同じことをさせようとしていますが、最初の段階で躓き、現時点ではほとんど再現できていません)」

その高泉首相の言葉を聞いてロマーニ首相は頷いた。

「(それは当然でしょう。おそらく常人には無理。相当な精神力が必要かと。どんな人物なのか興味がありますね。まるで日本アニメの登場人物のようです)」

ロマーニは日本の文化にも詳しい。アニメ好きだ。思わずレンという人物に興味を持った。ただし今はそんなことを言っている場合でもない。

ともかく両国の特殊戦力は似ている部分はある。それは共に使役モンスターが原点になっているということだ。そのため、お互いに理解も比較的早かった。

しかし、その根本部分が違う。その使役モンスターの生まれ方も、その後の育成の方向性も全く違うのだ。

そして共通しているのは、どちらも“異常”であり、再現が難しいことだ。

お互いに情報を共有し、しばらくの沈黙が落ちた。そして両者共に理解した。

どちらも再現するのは現状では難しい。共に今の戦力を地道に育てるしか方向性がないということだ。もちろん、その再現性の研究自体は必要であるが。

そして、この情報が仮に表に出れば世界を揺るがすのは間違いない。絶対に他国に漏らすことはできない。

そこで再度お互いに約束した。

「(何かあれば即時、情報共有)」

「(そして、必要な場合は相互の戦力支援を検討する)」

そうして両国の首相は固い握手を交わした。そして合意は成立した。

表向きには情報は出ていないがこれこそが……

「ダンジョンに対抗する特別な戦略的パートナーシップ」その中核と言える。

もちろん、特殊な秘密戦力については公式記録にも残らない。

両国で共に二十名未満しか知らない情報だ。文書化など、できるはずもない。だから他国は現時点ではその内容について全く知らない。

その後は、その”秘密の戦力”を引き合わせてはどうかという話にもなった。それもロマーニ首相からの提案だった。

「(実は今回、その”秘密の戦力”を極秘に連れてきています。もし、あなた方が問題ないようであれば、引き合わせようと思いますがどうでしょう)」

その言葉に高泉首相は迷った。確かにその秘密の戦力を引き合わせた方がいいとは思える。新しい発見があるかもしれない。

ただし、本当に会わせてもいいものかどうか?その判断がすぐにはできそうにない。

そこでロマーニ首相に回答した。

「(あなたたちは、まだ数日はいますよね? 両者を引き合わせることについて、今日中に判断し連絡します。早ければ明日にも引き合わせます。それでいいかしら?)」

「(分かりました。良い返事を待っています)」

そうして日本とI国の”秘密の戦力”が会うかもしれない。そんな状況になっていった。

もちろん現時点ではまだレンはそのことについて知らない。数時間の後、首相からの緊急の連絡を受けて、その情報を知ることになるのだった。