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作品タイトル不明

第300話「世界が見る“日本式”」

#第300話「世界が見る“日本式”」

日本で北海道の駒ヶ岳ダンジョン氾濫があったように、世界でもダンジョンの氾濫は続いていた。

ダンジョンが氾濫した場合、各国は軍隊を総動員して何とか抑え込んでいる。だが現実は厳しい。

都市部は守れても地方までは手が回らない国が多い。常時監視体制が整っていない国では、氾濫は突発的に発生し、どうしても後手に回ることになった。

その穴を埋める形で、日本の自衛隊の海外派遣は徐々に増えていった。

自衛隊の海外派遣は当初は国内でも大きな批判があった。

「自衛隊を海外に派遣するのは憲法違反では?」

「現状で武器輸出なんて許されるのか? 法律違反になるのでは?」

「戦争へ向かう第一歩だ」

「なぜ海外ばかり優先するのか」

「自国の安全が第一ではないのか」

様々な反発の声があった。だが、次第に状況は変わっていった。

各国首脳がSNSで直接、日本への感謝を表明し始めたのだ。しかもほぼ自動翻訳で即座に日本語に変換され、直接国民の目に届く。

「日本の迅速な支援に深く感謝する」

「貴国の自衛隊は我が国の都市を救った」

その言葉は、加工も編集もされずそのまま流れる。

かつては、あえて日本の世界貢献を大きく報じないメディアもあった。政府の貢献を表に出したくないメディアもいる。横並びで自分のところだけ報じるのもどうか?という意識も働いていたことは事実だ。

だが今は違う。各国の公式アカウントが直接発信する時代だ。情報を隠すこと自体が難しい、というかほぼ不可能だ。

SNSでの情報を元に後追い報道も増え、大手メディアも取り上げざるを得ない状況となった。

結果として、日本は世界的にも評判が高くなり、国民もその状況を誇らしげに感じるようになった。そうして高泉政権の支持率は高止まりを続けていた。

ただし、それはあくまで“日本国内が安定している”ことが大前提になる。

もし仮に、日本で大規模なダンジョン氾濫が起きて大きな被害が出れば状況は一変するだろう。

国内を守れないのに海外に自衛隊を派遣するとは何事だという論調になるのは必然。

そういう意味では、レンたちが北海道、駒ヶ岳ダンジョンにおける大規模なモンスター氾濫を短時間で抑えたことは極めて大きかった。

公式には氾濫は小規模だったとなっているが現実には違う。仮にモンスター氾濫の制圧が長期化したり被害が出ていたら国内世論も揺らいでいたはずだ。

そうして、レンたちの圧倒的な活躍を目にした一部上層部。

使役モンスターのFS遷移研究は、政府や自衛隊にとっても悲願となった。

レンたちのような存在が複数生まれれば、日本の防衛構図は根本から変わる。予算も人員も投入され、透子の研究はわずかずつではあるが着実に前進した。

一方で、政府や自衛隊も独自に研究班を組んでいる。だが現実は透子の研究のはるか後方にあり、決定打には至っていない。

そうした状況の中、日本の活躍もあり世界はまだぎりぎり安定を保っていた。

——だが、世界は待ってくれなかった。

海外では、氾濫の規模が少しずつ大きくなっていた。大国でも軍隊の海外派遣は厳しくなりつつあった。

都市部はぎりぎり守れても、地方はほぼ手付かずの国もある。常時監視員の数が圧倒的に足りないのだ。

一方で日本も決して万全ではない。北海道での氾濫は警鐘だった。

だが、それ以上に世界各国は苦しんでいた。だから日本の自衛隊派遣がまばゆく見えた。日本への貢献を求める声が日々増えていった。

やがて、こんな声が増え始める。

「なぜ日本だけは安定しているのだ?」

「なぜ自衛隊を海外派遣する余裕がある?」

そして——

“日本式”という言葉が、世界で使われるようになった。

かつて日本は技術大国と呼ばれた。その時代、世界はこぞって日本の技術を模倣した。

再び日本が世界から脚光を浴びるようになった。

・アイドルなどを活用したハンター動員モデル

・増えた高レベルハンターによる常時監視制度

当然のことだが、世界は日本を称賛するだけではない。

世界は日本を研究し始めていた。

スパイも大幅に増えた。研究機関に接触する者。ハンター協会職員に近づく者。金で情報を買おうとする者。

そして残念ながら、日本人の中にも買収に応じる者が現れ始める。やはり金の力は強い。それで裏切る人間がいるのは防ぎようがないのだ。

それはかつての日本と同じ。当時も日本の技術者は金で買われた。海外協力という名のもとに技術を流出する企業もあった。

後にそういった技術者や企業は技術を抜かれた後に切り捨てられる。国内では裏切り者、売国者扱いされて居場所がなくなるのだがそんなことは夢にも思っていない。同じような問題が起きつつあった。

まだ大きな問題は起きていない。だが、水面下で少しずつ、日本の内部構造、そして情報は外部に知られ始めていた。

アイドル式は無理ならば俳優、歌手、コメディアンにやらせてはどうか?など世界では日本式を真似た取り組みが進んでいった。そして常時監視制度、AIによる危険度判定なども日本を真似たものが採用されていった。

世界は称賛しながらも同時に狙っている。日本に他にも秘密があるのではないかと常に探る動きがある。。

日本でもレンたちのことはトップシークレットだ。まだ海外では誰も、その全貌を知らない。

ただし、いつまでその状況が続くかは分からない——