作品タイトル不明
第259話「思い出した名案(司視点)」
#第259話「思い出した名案(司視点)」
くそ……マジで胸糞悪い。
アイドルのテレビ収録でハンター協会ビルにいたら、よりによってあのレンの野郎と久しぶりに遭遇した。
しかもだ。あいつは女を7人も連れていやがった。よりによって全員、綺麗どころ。
なんなんだあのハーレムは。レンは頭おかしいんじゃないのか。見せつけやがって、うらやましすぎる。
どうしてあんな奴に7人もの綺麗どころが一緒にいるんだ。どう考えてもおかしいだろうに。
俺だってアイドル五人を護衛している身だが、あれを見せつけられたらムカつくに決まってるだろう。レンは他人のことを何も考えいないひどい奴だな。
あまりにもむかついて俺は声をかけた。
「おいレン! なんでお前がこんなところにいるんだ!」
「えっと……みやけ、だっけ? ちょっと呼び出しがあってな、先を急いでいるんだ」
ほんとむかつく野郎だ。更には俺の名前を忘れただと?
いや、落ち着け。あいつはわざと間違ったのだろう。俺の動揺を誘う作戦だ。本当に姑息な奴だな。
ここは余裕をもって冷静に俺が上であることを見せつけないとな。
「俺はいま“アイドルの護衛”で忙しいんだ! うらやましいだろう、テレビにも出演したんだぞ!」
「ああ、頑張ってね」
でも俺がアイドルの護衛をしていると言っても全く羨ましそうにしない。くそむかつく。それもそうか?7人もの女を連れているんだ。いくらアイドルとは言えそこには響かないか?
しかもよく見たらルナもいるじゃないか。ルナも馬鹿だ、本当に人を見る目がない。しょうがない。それならレベルでマウントを取ってやる。
「そうだレン、お前は今レベルいくつだ!」
「この前レベル5になったよ」
なんだと……レンはもうレベル5になったらしい。ということは俺と一緒のレベルではないか。とうとう俺に追いつきやがった。
もうレベルでマウントを取れないだと……。
くそっ、レンはどうせ汚い手段を使って金を稼いでレベリングしたんだろう。まだこいつは警察に捕まらないのか?日本の警察は何してやがる!本当にムカつく!
そんなイライラを抱えながら収録は続いた。まあイライラしながらもきちんと俺は仕事をこなす。さすが俺。まあプロとして当然だけどな。
そして収録が終わり、撤退の準備をしていたら――
なんと、レンがエレベーターを降りて出てきやがった。くそ、レンのやろう、どうしてやろうか?
そう思っていたら。
うちのアイドルユニットのリーダー、桐谷が勝手にレンのところに歩いていきやがった。あいつは何するつもりだ?
「でしたら――ぜひ、私たちに指導してもらえませんか?」
はぁ?なんと桐谷は指導をお願いしているではないか!あいつは馬鹿なのか?ふざけるなっ!!
俺もレベル5なんだぞ!?指導ならまず護衛してる俺に頼むのが筋だろ!
「何を言ってるんだ、俺もレベル5だぞ! 教えるならば護衛の俺が最適だろうに!」
ところが桐谷は女性から教えてもらいたいとか言い出しやがった。
「お願いします! だって、女性のレベル5の方って全く見かけないんです。本当に凄いですよね。私達もできれば女性に教えてもらいたくて――」
ああもう、アイドルってやつは……甘い、甘すぎる。案の定、レンにもルナにもあっさり断られていた。
本当に馬鹿だな。俺に最初から頼めばよかったんだ。
しかし、それよりも問題はそこじゃない。
レンは更に上のレベル6を目指しているだと?あいつは馬鹿か?あんなレベルに簡単に行けるわけないだろ。
レベル5とレベル6の差を舐めすぎだ。レベリング補助してくれる人間がいないから、億積んでも無理って言われる領域なんだぞ。金詰んでぎりぎりレベル5に上げたレンが上がれるはずがない。俺だって厳しいのに……。
……なのに、なぜだ?
あいつは自信満々でレベル6を目指していると言い切っていた。もしかしたら本当にレベル6に到達するのか?
どうやってそこまで行く?
あいつ、オレオレ詐欺かなんかで稼いだ金でレベリングしてたんじゃなかったのか?金だけで突破できる段階じゃないのにどうにも理解できない。何かがおかしい。
レンが本当にレベル6になるというのか?
それが本当ならばまずい。本当にまずい。あいつ、俺を抜き去ってしまうのか?どういうことなんだ?
だが……そこで俺はひらめいた。そうだ、いい案があったじゃないか!!
完全に忘れていたが今こそ実行の時だ。
――レンを、俺のクランに入れてやればいいんだ。
あいつらは「レベル6を目指す」と言っていた。ならば、俺のクラン「エクリプス」に入れてやってあげて、まとめてしまえばいい。
レベル6が8人もそろえば、クランとしては日本トップクラスになる。まあ俺としても、まずまずありがたいところだ。
そうすれば俺がそのリーダーになれる、石動も文句は言えないだろう。それで俺が再び頂点だ。そして日本のトップも目指せる。
レンもどうせレベリングで金欠だろうし、もしかしたら多額の借金もしている可能性がある。ならば金で釣ればすぐ落ちるはずだ。
うまくいけば――あの7人の女のメンバーも全部俺のものになるかもしれないな。まあ7人はさすがに多すぎるからとりあえずは3人ぐらいでいいかな。
なんだ簡単なことだ。これで計画は完璧じゃないか。
さすが俺だ。今日も冴えている。
よし、紗月に言ってレンとの連絡をつけさせよう。今度会って、最高の条件を叩きつけてやる。
待ってろよレン、
――お前はそのうち俺のクランに入って跪くことになるんだからな。