作品タイトル不明
第247話「新たな護衛メンバー、合流」
#第247話「新たな護衛メンバー、合流」
アイドル護衛兼レベリング補助の件で、政府からテレビ局に連絡が入った。
「追加でアイドルの護衛ハンターを三人ねじ込んで欲しい」──とのことだ。
理由を聞けば、最近の特番での反響が大きく安全管理が更に必要とのこと。
今一つ理由は釈然としないがテレビ局側としても護衛が増えるのはありがたい。場合によってはローテーションを回せばいい。
ただ、どのような人が来るのか?その点が一番のポイントになる。やはりハンターとして最低限の実力が必要。その上でアイドルたちが安心して対応できる人材が必要になる。
両立できる人員は少なく、ある程度は目をつむっているのが現状だ。
そこでテレビ局側でも新しいメンバーについて調べていたが、少しずつ情報が明らかになっていった。
「レベル4が二人、レベル3が一人。全員、御影くんと同じクランだってさ」
その情報を聞いた瞬間、スタッフの表情が少し明るくなった。
レベル4なら一定の実力はある。さらにレベル3ながらも女性ハンターが一人いるというのも大きい。実力も大事だが女性アイドルにはやはり女性の護衛が必要と考えていたからだ。しかし女性ハンターは圧倒的に数が少なくなり手がいないのが現状だった。
また、今の司を何とかしてくれるかも?という期待があった。
司を最初見た時は凄い人材が来てくれたとテレビ局スタッフは喜んだ。レベル5で若く見た目もおとなしそうで怖くない。アイドルの護衛としてぴったりだと考えていたのだ。
しかし最近の司と言えば、剣を使う時にやたらと大声を張り上げたり、戦闘時以外でも自分の武勇伝を語ったりといちいち面倒くさい。アイドル達が適当に褒めてあげたら喜ぶのだが、ダンジョン内ではそんな余裕もないのだ。
「怖いハンターよりはマシ」という理由でアイドルユニット「トライ・スピア」の5人は表面上は受け入れているが、最近はその笑顔の裏には疲れがにじんでいる。
口には出さないが不満が溜まっているようにも見えた。
そんな背景もありクラン『エクリプス』の3人が参加してくれるのはありがたい話だった。もちろんどんな人なのか?実際に見るまでは分からない。
その後、テレビ局側は実際に3人と顔合わせをした。本田、佐藤、紗月の3人だ。3人共に見た感じはとてもまとも。
本田、佐藤の2人の男性は共にレベル4ということだが物静かな感じで、やや頼りない気もするが悪くない。
そして紗月も普通の女性ということでアイドル5人にも受けが良さそうに見えた。
ただし、司の時も最初はそう思った過去がある。実際に稼働させて、しばらく様子を見る必要があると考えていた。
その後は全員での顔合わせとなった。
「本田です。レベル4で長くやっています。御影さん(司)と同じクランということで、よろしくお願いします」
「佐藤です。レベル4になったばかりで、まだまだですが……精一杯やります。私も司さんと同じクランです」
「高嶺(紗月)です。レベル3で実力は低いのですが女性ハンターもいるとありがたいということで参加させていただきます。私も司くんと同じクランです」
三人が丁寧に挨拶。テレビ局の人達は今度こそはまともそうな人達だと喜んでいた。
一方で──司の顔色がみるみる変わっていく。
「……は? なんでお前らがここにいんだよ」司は明らかに不満を隠す気ゼロであった。
そこで紗月も軽く反撃。
「そりゃあ、司くんが騒ぎすぎだからだよ。もう少しおとなしくやっていたら問題ないのに」
そういったやり取りがあったことでやや重苦しい雰囲気にはなったものの「トライ・スピア」5人の感触は悪くなかった。
やはり司の相手が面倒くさいというのが5人の共通の気持ちだったからだ。
また、新しく来るハンターが怖い人たちだったらどうしようと心配していたが3人とも物腰が柔らかい、しかも女性が1人いるということも大きな安心材料だった。
「なんで俺以外のメンバーがいるんだ。ふざけんなよ」と司が言えば。
「まあまあ司さん、今日は初日ですしね。よろしくお願いします」と本田がなだめた。
そういったやり取りもほんわかしていてアイドル5人組に安心を与えた。どうやら司の相手するのを慣れている人がきてくれた。これで面倒な相手はしなくていいという感じだ。
これならば何とかやっていけそうという雰囲気になっていった。
そうして新たな3人の護衛を加えて「トライ・スピア」の5人のダンジョン活動が続いたのだ。その後に司がトラブルを起こすのか?それとも3人は司をうまく抑えつけることができるのか?現時点ではまだ何も分からない。
そしてエクリプスの未来は……と言えば正直なところ暗いと言わざるを得ない状況になった。
唯一、上を目指すメンバーたちもアイドルの護衛になってしまったのだ。レベル3の人間をレベル4に上げるという活動もストップ。その他のメンバーはダンジョンの常時監視、それで実力が上がるはずもなく完全な停滞に入った。
エクリプス全体としての実力は──上がらないどころか低下傾向にある。
それでも会社としては背に腹は代えられない状況だった。