軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第245話「司くん処理班、結成(紗月視点)」

#第245話「司くん処理班、結成(紗月視点)」

最終的に石動さんから出た言葉はお願いだった。

「現時点では君たちにしか頼めない。なんとか司さんを抑えてほしい」

これ石動さんに言われると困るんだよね。お世話になっているだけに断りずらい。おそらく本田さん、佐藤君の2人もそうだろう。

本田さんは深いため息をつき、しばらく黙ったあと了承した。

「分かりました。ただし今回の件は名目上はアイドルの護衛になりますよね。それもきっちりこなす必要がありますよね」

「もちろんだ。その上で司さんをうまく押さえて欲しい」と石動さん。

そうだよな。アイドルの護衛をしっかりやらないとテレビ局側から追い出されてしまうだろう。

その上で司くんをうまく抑えないといけない。やるべきことが多いな。

そこで本田さんは条件を出した。

「了解です。ただし、司さんが何か問題を起こしても、私たちの責任にはしないでください。注意や警告をしても勝手に動くものはどうしようもありませんから。特に彼の動きは全く読めません」

「もちろんだ」と石動さんはすぐに答えてくれた。こういうところは石動さんのいいところだ。仕事はさせるけど責任までは押し付けない。だからこそ人が付いていくのだろうと思う。

佐藤くんも続いた。

「不満はありますが……会社のためなら仕方ありません。やります」

まあ佐藤君はこう言うだろう。これは予想通りだ。なんだかんだで彼に主体性はない。

本田さんが不満を述べながらも承諾したからそれに追随しているだけだろうね。まあ佐藤君のことは別にどうでもいい。どうせ今回の件でもあてにはできそうにない。司くんも彼の言うことは聞かないだろう。

そして、ついに私の番。私も言うべきことは言わないと駄目だ。確認すべきこともある。

「その……私のレベルで大丈夫でしょうか? レベル2の護衛ともなるとレベル4以上が必須条件だと思うのですが。知っておられると思いますが私だけは他のお二人と違って、まだレベル3ですよ」

「大丈夫だ。アイドルは全員レベル2だ。レベル3の君なら十分護衛になる。それに女性の方が彼女たちも安心するはずだ」と石動さん。

なるほど、確かに。女性アイドルの周りの護衛は男ばかり。そういった意味では私はレベルは低いながらも適任かもしれない。

彼女たちを守る護衛もいる。レベル2の彼女らを守るレベルの護衛がいる現場ならばレベル3の私でも問題はなかろう。とは言えそれだけなら不要な気もするが。

そして、その次の言葉がひっかかった。

「できるだけ司さんの近くにいて牽制してほしい」

ふーん、そう来たか。

やっぱりアイドル護衛としては全く期待していないのね。護衛ではなく私だけは“司くんの見張り役”専門という感じね。

まあそりゃそうだろう。レベル3なんてレベル2とそれほど変わらない。護衛としてはぎりぎりのレベルだ、というか私はレベル3の中でも実力は低い。

普通に考えて護衛業務はあり得ない。現実にそれを期待されても困る。

”アイドルが女性ばかりだから安心するだろう”というのも言い訳のようなものだね。結局は司くんの抑え役か……ますます気に入らないな。

なんで私がそんなことをしないといけないのさ。会社側のミスなんだから会社側でなんとかしろっての!

まあでも、テレビ出演のチャンスでもあるし……“さつきちゃんねる”の復活もワンチャンある、だから断る話ではないんだよな。特に追加でいい案はないけど受けておくか。

「分かりました。何があっても、責任を私達3人に追及しないというならば引き受けます。できる限りのことはします。でも司くんが暴走したら、おそらく私達3人では恐らく止めることはできません。その点は了解ください」

「ああ、分かった。できる限りでいい、頑張って欲しい」と石動さんが頭を下げてきた。

ほんとこういうところはずるいよね。お偉いさんに頭を下げられたら私なんかのぺーぺーはどうしようもない。頷くしかないだろう。何とか貸しにしたいのだけどそれはすぐには思い付かなかった、がっくりだ。

ともかく話は決まった。私としてはなんとかこの機会をプラスに変えたい。最近はダンジョンの監視役で体がなまっていたし丁度良いとも言える。

そうやって、まずはプラス思考で動いて行こう。マイナスに考えても何も良いことはない。

こうして私、本田さん、佐藤くんの “司くん抑止三人組”の派遣となった。正直なところ私は司くんを止める自信はゼロだ。

それでも自分のことを考えないとね。

その現場で私のやるべきことは何だろうか?まずは女性と言う立場をうまく利用してアイドルにうまく取り入る必要がある。そうすれば仕事もやりやすいだろう。彼女たちは司くんや他のハンターへの不満もあるかもしれない、その辺りの聞き役にもなったらいい。

その上で司くんの説得か……これはできるだけ本田さんと佐藤君にお任せしよう。説得できる自信が全くない。逆に言い合いになりそうで怖い。私が原因でトラブルに発展したら目も当てられないよ。

「とりあえず私はアイドル達とできるだけ友達になります。女性の方が話しやすいと思いますので。当面はそちらに付きっきりになると思うので最初しばらくは司くんのことはお任せしますね」と本田さんに伝えた。

「ああ、その流れがいいだろうね。宜しく頼むよ。ただダンジョン内でアイドル護衛中の司さんの抑えはおそらく紗月さんになるだろう。それ以外ではなるべく司さんにコンタクトをとって説得するけどその点は理解して欲しい」と本田さん。

「分かりました」

まあそうだろうな。テレビを見た感じでは司くんはいつもアイドルの近くにいた。おそらくそのポジションは変わらない。となると私はその隣ぐらいに立つ可能性が高い。

そして本田さんと佐藤君は遊撃でモンスターを討伐したり、弱らせたりするポジションになるだろう。司くんから遠ざかる。そうなるとダンジョン内では私が司くんを抑えるしかない。

はぁ、ややこしいな。でも、とりあえず決まったことだ。

気に入らない仕事の依頼で自信も全くないけど……覚悟を決めるしかない。できる範囲で頑張ろう。