軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第197話「ロアもダンジョンの外へ」

#第197話「ロアもダンジョンの外へ」

ロアのレベルアップが近い、ということで少しドキドキしながら朝倉さんに連絡を入れた。すると透子さんが一緒に見たいということでおよそのレベルアップの日を伝えた。

まあ透子さんについてはもう言われなくても分かっている。逆に来ないと言われたらびっくりするけどね。そしてすでにマンションに住んでいるようなものだ。朝倉さんから聞くまでもないだろう。

ただ気になる点もある。朝倉さんにはエリナさんから陣馬高原ダンジョンの氾濫を治めたのがラムとリンだという話を聞いているはずだ。

しかしその話については何も聞いてこなかった。それが逆にちょっと怖い。

そしてとうとうロアのレベルアップの日になった。俺、ひより、ルナ、ラム、リン、ルフ、クーと全員8人(3人+5人)が集まった。通常は2~3組に分かれているけど、レベルアップの日は全員が一緒になって討伐を進めることになっている。もちろん透子さんも一緒だ。

ラム、リンがレベルアップした日のように今日もどこか張り詰めた空気が漂っていた。

ロアは普段は元気な性格だが今日は緊張して、どこか違っているようにも見える。まあ仕方ないよね。今日からダンジョンの外に出れるかもしれないのだ。でも逆に何らかのイレギュラーがあれば外に出れないかもしれない。

静かに炎を灯したような瞳でモンスターを見据えている。

――そして、その瞬間は突然に訪れた。

ロアがモンスターを倒した直後、ロアが目を瞑りそして静かに何かを確認しているようだ。そして目を開けた。

「ロア、もしかしてレベルアップしたか?」

「はい、レンさん、レベルが上がりました。FSも遷移、僕も外に出られるよ!」とロアが抱き着いてきた。ちょっと涙ぐんでいるようにも見える。

良かったな。でも前回の件で俺はここで学習したんだ。女性の頭を撫でてはいけないはずだ。でもこの右手はどうしたらいい?そこまで考えてなかったぞ。とりあえず背中をポンポンしたがこれで合っているのだろうか?

「良かったね」とひよりも涙ぐんでロアと俺に抱き着いてきた。思えばひよりは俺よりもロアと一緒にいた時間が長かった。俺よりも思い入れがあるのかもしれない。

ラム、リン、ルフ、クーも同様に安心したようだ。俺と一緒の時間が短いとFS遷移しない可能性を感じていたのかもしれない。でもそれは杞憂だったようだ。

「おめでとう!」そんな言葉があちこちから聞こえる。そしてラムは嬉しそうにしている。本当によく頑張ったと思う。

ラムがロアの肩を叩き、リンも「おめでとうです!」と抱きついてきた。ルフとクーもロアに抱き着いてきた。

これでもう、みんなでわちゃくちゃだ。

俺も胸が熱くなった。

「よく頑張ったな、ロア。そして次はルフ、クーだ。みんなして頑張ろう」

そう言うと、ロアは微笑んだ。そしてみんなが頷いている。本当に良い仲間達だ。

「それじゃ、今日はもう少しだけ頑張って、早めに切り上げよう!」

「はい、頑張ります」と皆が声を揃えた。

その後は3組に分かれて討伐を進めることに。やはり次のレベルアップのために効率が大事だからね。ひよりはもうすぐレベルアップだ。そしてルフとクーもあと半月ずつぐらいの間隔でレベルアップするはずだ。

そうすれば全員が外に出られることになる。あと1か月もかからない。

透子さんは例によって手帳に何かを書き込みながらぶつぶつ呟いている。

「FS遷移に主人と一緒にいる時間は関係ない?それとも一定の時間を超えているのかも」

そうか。俺と一緒にいる時間が短いとは言ってもそれなりに長いこと一緒にやっているのは間違いない。

時間は関係ないかと思ったけど、一定の時間を超えているからこそFS遷移したのかもしれないな。とにかくパラメータがさっぱり分からない。それを俺が考えてもどうしようもない。あとは透子さんたち研究者に任せたいと思う。

そして、その日の討伐を終えた。ロアが「外」へ向かう時がついにやって来た。

ロアがダンジョンの出口へと歩いていく。FS遷移したとのことだったから、出れることは間違いないと思いつつもやはり見ていて緊張する。

「では、外に出ます!」とロアは元気に言って飛び出した。そうして問題なく出ることができた。

リンはゆっくり出たけどロアは一気に出たな。使役モンスターによって大きく性格が全く違う。それぞれ個性がある。

外に出れたロアはとても嬉しそうだ。

初めて感じる、ダンジョンの外の空気を堪能しているようにも見える。

その顔を見て俺も素直に嬉しいと思った。みんなが頑張ってきたことが間違いなく形になっている。今後も頑張らないとね。

俺の隣ではひよりも、ルナも、ラム、リンも気合が入っている。

「ラム、リン。ロアにはいろいろと教えてやってほしい。例によって力の加減なども最優先で教えてやって欲しい。間違うと大変なことになるからな」

「もしかして私の失敗のことですか、あのプラスチックケースを壊したことを根に持っているのですか? ちょっとひどいですです」とリンが俺を追求してきた

「いや、まさか、そんなことないよ。全く気にしてないよ」と俺が焦ってこたえると。

「もちろん冗談ですよ」とリン。

ああびっくりした。嫌われたかと思ったよ。でもこんな軽い冗談もいいものだ。やっぱり平和が大事だと思う。

ロアもラムとリンと同じようにダンジョンのモンスターの氾濫に対応する時が来るのかもしれない。

できればそんな時がこないことを願いたいものだが。