軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第189話「みんなからの要望」

#第189話「みんなからの要望」

ダンジョン内控室に、俺、ひより、ルナ、ラム、リン、ロア、ルフ、クー――の合計8人(3人+5体)が勢揃いしていた。

今日はラムから緊急の打ち合わせをしたいということで集まっている。いつもより張り詰めた空気。そんな中、ラムが一歩前に出て口を開いた。

「改めて言います。もし地上にモンスターが出たら、私たちに戦わせてください。戦いたいです」

その言葉に俺は思わず制した。

「でも、まだ結論を出さなくてもいいだろ?」

するとリンがすぐに続けた。

「今決めておかないと、いざという時に動けないかもしれませんです。今のうちに決めましょうです」

……確かに、その懸念はある。だが――。

次に沈黙を破ったのはロアだった。

「僕たちはみんな、ご主人様に感謝してるんだ。だから戦いたい。ごめん、今日だけは“ご主人様”と呼ばせてほしい」

「ロア……でも、戦う義務はないんだぞ。地上には自衛隊とかもいる」

「ええ、義務じゃないわ。でもご主人様のために戦いたい。それが私たちの意思なの」とルフが続けた。

「ルフ、そうは言ってもだな」

クーも拳を握りしめて言った。

「俺たちは、ご主人様がいなかったらここまで成長できなかった。全部、ご主人様のおかげだ。恩返しがしたい」

「いや、違う、みんなが成長したのはみんなが懸命に頑張ってきたからじゃないか」

どうしたのだろう。いつもは控えめなみんなが今日はぐいぐい来る。もっと意見を出して欲しいとはいったから多少は意見が出るようになったけどここまでみんなが積極的なのは初めてかもしれない。

それに成長したのは俺のおかげというよりはみんなの頑張りだ。決して俺だけが頑張ったわけでもない。

ラムとリンも、静かに頷く。

「私たちはいろいろとダンジョンについて調べました。他の使役モンスターたちの話も聞きました。扱いが全く違うと知って、驚きました。ショックでもありました。私たちが特別なんだと知りました」

「そうなんです。他のほとんどの使役モンスターは「外れ」「邪魔者」扱いされている。でも、ご主人様は私たちが出てきた時から愛してくれましたです。本当に私たちは幸せものです」

「それは当たり前だ。俺は一人でやっていたからな。お前たちが現れてくれて、本当に嬉しかったんだ」

「そう、あの時喜んでくれたよね。だから、僕たちはそんなご主人様が大好きなんだよ」ラムが笑った。

「私たちはご主人様に恩返しがしたいの。だから戦わせてほしい」とルフ。

「俺は、ご主人様とその大切な人を守りたい。それができなかったら一生後悔する。だから戦いたい」とクー。

みんなが戦いたいと言う。そして俺の方が感謝しているのにみんなが俺に感謝していると言ってくれる。でも俺には迷いがある。俺はみんなを危険な目に合わせたくない。みんなが大事なんだ。

「……みんな。でも俺は、お前たちを危険な目に合わせたくない」

「でも、ご主人様は私たちを体を張って助けてくれましたよね。自分だけ助けるとかずるくないですか?私達もご主人様を助けたいです」とラム。

「俺が助けた? だって、それは当然だ。お前たちは、俺にとって大切な仲間だから」

「私たちも同じです。ご主人様のことが大切です。守りたいです。だから、私たちに戦わせてくださいです」とリン。

ロアも真っすぐに言った。

「僕はまだ外には出ていない。でも出たら、ご主人様を守りたい。ずっとご主人様やひよりさんに守ってもらってきたから」

「私もそう思うわ。私たちのことを真剣に想ってくれているならば、戦わせてほしい。それがみんなの気持ちなのよ」ルフの声はいつになく真剣だ。

「どうか俺たちの意思を受け取って欲しい」とクーも頭を下げた。

その様子を見ていたルナが笑った。

「レン、そこまで愛されてるなんて、ちょっと羨ましいな。これはみんなの意思を尊重してあげた方がいいと私は思うぞ」

ひよりも微笑みながら言う。

「ちょっとやけるけど……その気持ちは本物だと思う。それは受けた方がいいよ」

俺にはまだ、どうしても迷いがある。でも、そうだよな。ここまで言ってくれているんだ。答えないわけにはいかないよな。みんなの意思を尊重すべきなのだろう。

俺はゆっくりと頷いた。

「……分かった。もし地上でモンスターが氾濫するようなことがあったら、頼む。戦ってほしい。俺じゃ外ではモンスターにはまず勝てない。だから、俺のためにみんなの力を貸してくれ」

「「「「「「分かりました!」」」」」

全員の声が重なり、控室が震えたように感じた。

「ありがとう。本当に、俺は仲間に恵まれているよ。本当に……ありがとう」

思わず目頭が熱くなり涙がこぼれた。そ瞬間、みんなが一斉に抱きついてきた。

「一緒に頑張りましょう!」「一緒に戦いますです!」「ずっと一緒だよ!」

みんな泣いている。でも笑顔だ。わちゃわちゃとした温もりに包まれ、俺も自然と笑っていた。

「ならばもっと、みんなで強くならないとな」とルナもみんなに抱き着いてきた。

「みんなで一緒に強くなろうね。そして一緒に戦おうね」とひよりも抱き着いてきた。

――そうだな。俺が迷っていたら、みんなが安心して戦えない。迷っている場合でもない。みんなが自分のできる範囲で戦っていけばいいだろう。

俺も、本当の意味で覚悟を決める時がきたのだろう。今のままでは駄目だ。もっと強くなろうと思う。